「これは百年安心年金の崩壊を意味するのですか。」

「それはこの結果をご覧になっているそれぞれの方の視点によると思います。」受話器の向こうから、在席している厚労省年金局の幹部の声が響く。

社会保障審議会年金部会に提出された財政検証の結果は、なんというか、まあ、その、厚労省的なものだった。

前回2009年の再検証ですでに50.1%まで低下していた所得代替率は、今回行われた8ケースのうち、一番良いケースでも51.0%、最悪なケースでは「2055年度に積立金がなくなり完全な賦課方式に移行し、所得代替率は35-37%」になった。

経済前提をさまざまに(非現実的なものまで)組み合わせていろいろなケースを作り、必死に計算したようだが、厚労省を助けたのは、前回は1.26だった出生率が今回は1.35だったことだ。

100年安心年金を過去にうたった自公政権下では、さすがの官僚も年金制度が破綻するとは言えない。