どうも、執事です。


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去年の冬コミに向けて執筆させていただきました、

『スペースオペラアンダーバー』

おかげさまで多くのアンダーバー星人のお手に取っていただけまして、
私としてはこれ以上にない喜びでございました。


皆さま、本当にありがとうございました!


そして!


そして!


そして!


このたびこのブロマガにて『スペースオペラアンダーバー』の
スピンオフ小説の連載が決定いたしました!



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タイトルはずばり、


『ノブダバの野望』


皆さまお察しの通り時代劇ものとなります!


ジャンルは戦国SFといったところでしょうか!


主人公はなんとアンダーバー国王の父親である、
父(パパ)ダーバーが主役でございます。


『スペースオペラアンダーバー』と世界観を共有しておりますので、
皆さまがよくご存じの国王はこの時まだアンダーバー王子でございます。


さてさて、
これから始まる物語の前説明をあまりし過ぎてしまっても野暮でございますから、
早速本編を皆さまに楽しんでいただきたく存じます。


プロローグはどなたでもお読みいただけますので、
ぜひ楽しんでいただけますと幸いです。


それではどうぞ、


お楽しみくださいませ!!!

















【プロローグ】


 アンダーバー城にある噴水付きの庭園で一人のおかっぱ頭の小さな少年と、腰まで届く金髪を一本に結いたスーツ姿の男が戯れている。
 二人の顔面にはまるで白仮面を装着したかのような特徴的な顔立ちが見られ、それだけでも彼等が地球人ではない事が一目で伺えた。

「坊ちゃま、転ばないようにお気を付けくださいませ」

 色とりどりの薔薇が咲く庭園をヨチヨチと歩く少年のあとに付いて行きながら金髪の男ーー執事が柔らかい表情を浮かべている。

「おーさま、たーりょぅ、きーぃく、だぁじ。おーさま、たーりょぅ、きーぃく、だぁじ」

 何事かを繰り返し発して今にも転んでしまいそうな歩き方ながらも庭園遊びを満喫する小さな少年。彼の言葉の意味を執事は頭を捻って考える。そして、半ば脱力するような形で少年へ向けて口を開いた。

「王様、体力、筋肉、大事。で、ございますか?」

 執事の言葉を聞いて少年は嬉しそうに笑った。どうやら間違いないらしい。

「おーさま、たーりょぅ、きーぃく、だぁじ!」

「確かに重要な事ではありますが、どなたがそのような事を坊ちゃまに?」

「あーにぃ」

「アンダーバー王子ですか……いかにもあの方が言いそうな事です」

「まぁま、おぅ、じゅに」

「坊ちゃま、今なんと?」

「まぁま、おぅ、じゅに」

「……アネダーバー様が?」

 おかっぱ頭の少年の言葉を聞いて、脱力した表情を見せていたはずの執事の瞳に真剣さを携えた光がにわかに灯る。

「アネダーバー様が坊ちゃまへ『王はジュニダーバー様がなる』そうおっしゃったのですね?」

「まぁま、おぅ、じゅに!」

 元気良く頷く少年--ジュニダーバーを執事は両腕で優しく抱っこすると、花壇の縁へ座り彼を自分と目線を合わせる形で膝の上へ座らせて真剣な面持ちで口を開いた。

「良いですか、坊ちゃま。まだ理解はできないかもしれませんが、執事は坊ちゃまには、いずれ王様を補佐する立場になって頂きたいのです」

「ほーぁ?」

「王様には必ず優秀なパートナーがいるものなのです。その人は王様を影から支え、時には王様の間違いを正し、王の治世を揺るがないものとする、それはそれは大事な役割なのです」

「…………?」

 キョトンした表情とつぶらな瞳で自分を見つめるジュニダーバーに執事はそれはそうかと頬を緩める。

 新しく聞いた単語を覚えようとしているのかしきりに「ほーぁ?ほーぁ!」と呟き始めたジュニダーバーに執事は再び語り始めた。

「今日は少し予定を変えまして、歴代最強の王と呼ばれている現国王様が地球を最後に守られた時の物語をお聞かせ致しますね」

「いぅー?」

「アンダーバー星から20センチ離れた場所にある地球。青く輝く美しい惑星なのですよ?」

「はーげ」

「突然の暴言に私は戸惑いを隠し切れません。あとでアンダーバー王子にはキツく申し上げておきます」

「あーにぃ!はーげ!」

「因果応報でございますので訂正は致しません」

 満面の笑みを浮かべたジュニダーバーから飛び出したアンダーバーへの無垢な口撃を執事は聞き流すと、ゆっくりと空を見上げる。

「アンダーバー王子はいずれ国王となられます。その時にジュニダーバー様が補佐として側にいてくれるならば、私にとってこれ以上の喜びはありません」

 頭上には気持ちの良い青が広がりながらも、日差しはちょうど少しだけ浮かんでいた雲に遮られていて、これから物語を語るには最適の空模様だと執事は感じていた。

「それではお話致しましょう」

「ぅーこ!」

「アンダーバー様!本当にしょうもない言葉ばかりジュニダーバー様へ吹き込んで、あとでアネダーバー様に怒られても知りませんからね!?」

 空中へ警告する執事の姿に何故か今日一番で楽しそうに笑うジュニダーバー。

 純粋な笑みに執事は即座に毒気を抜かれてしまったのか、大きく深呼吸をして一息つくと再びジュニダーバーを見る。

「これだけ物覚えも良ければきっと坊ちゃまは立派な国王補佐になれます。このお話もいつか坊っちゃまとそして、アンダーバー王子のタメになるはずです。現国王がいかに勇猛で、いかに地球を守ろうとしてきたか。そしてーーどうして今はオマツリワールドへ閉じこもってしまったのかを」

 空気が変わった事に気付いたのか、ジュニダーバーは笑うのを止めた。その挙動に執事は満足気に頷いてゆっくりと過去を語り始める。

 

 

 

 

アンダーバー国王の物語を。
 
 
 







 
 
 
 
【次回、西暦1560年桶狭間へと続く】