彼にはもう一つの武器「図々しさ」がありましたね。
ただこれは諸刃の剣で、それが彼にもやっと分かったのか最近はそれを封印している気がしますが、
加減と相手を間違わなければ十分に効果のあるものだと思います。まあ頑張れ。
そんなワケで今回も言いたいことがある映画に関して書きます。
・ハナ 奇跡の46日間
犬の話っぽいタイトルですが、卓球のお話です。
所謂、涙エクスプロイテーション映画と言うか、ベッタベなお涙頂戴映画なんですが、本当に泣けます。
「◯丁目の夕日」では失笑と舌打ちばっかりしていた私が劇場でどうかと思うぐらい泣きました。
北朝鮮人と韓国人の絆のお話と言えば「JSA」(超名作)がありますが、これも同じく「終わりの見えている友情のお話」です。
俺みたいな人間はこの条件だけで泣けてしまいます。
とにかくお話が丁寧になんです。キャラ描写もしっかりしている。
カルチャーギャップコメディ的な要素を含めながらも、殺伐とした臭いまで演出している序盤から(ちゃんと「跳び蹴り」があります)、
それがスポーツを通して心の触れ合いを見せていく。
そんな中でも立ち塞がる現実の壁。
キャッキャしながらも悲劇的結末が控えているのが分かってしまう作りは「クロニクル」とも共通しますね。
またちゃんと卓球もやっています。ここも誠実。
恐らくかなりVFXは入っていると思いますが、それでも映画に向けての訓練は相当ハードだっただろうなと想像出来る動き。
こういった誠実さがあるから、泣き要素が素直に心に入ってくるんですよ。
どっかの「野球漫画原作なのに、全く野球をやらないクソ映画」とは大違い。
中盤からはずっと泣きっぱなしだったのですが、僕が一番キタのは満を持して登場する朝鮮人が相手に親愛の念を込めて呼ぶあの言葉です。
僕がオススメする映画は、クセがあり過ぎるらしくて所謂「映画好き」ではない人には不評な事が多いのですが、これは万人にオススメ出来る映画でした。
・風立ちぬ
やっと見ました。
僕はジブリや宮崎駿監督の映画は別に興味のない人間です。
正直「ラピュタ」「ナウシカ」「カリオストロ」もそんなに好きじゃあないです。
そんな僕ですが、この「風立ちぬ」は宮崎駿最高傑作だと思いました。
主題歌の「紙ひこうき」の歌詞に「他の人には分からない」とありますが、まさにその通りのお話。
夢に囚われた人間の覚悟のお話。
庵野秀明の声問題も、正直第一声は思いっきり吹きましたが、途中からは全く違和感なく見ることが出来ました。
あの主人公は映画「ソーシャルネットワーク」のマーク・ザッカーバーグと同じで、「人の気持が解らない天才」なんです。
なので、あの棒演技は非常に合っていたと感じました。
まあこの映画の良さはこの三人が語っているのでこの動画を参照です。
・清須会議
三谷幸喜が原作、脚本、監督を手がけた新作です。
ぶっちゃけ、三谷映画は嫌いです。良くない、と思っています。
ノリの好き嫌いもありますが、個々の映画のダメな所もハッキリとあります。
三谷映画全般に言える俺が思うダメな部分を一つ。
今回もまた「オールスターキャスト」です。
それが好きな人もいると思います。僕も「エクスペンダブルズ」とかが好きなので、それ自体には文句はありません。
ただ三谷さんの場合、これを映画でやる意味が「興行収入」的な商業的意味いがいに何かあるのかなあ、と。
実は三谷さんのドラマや舞台劇はけっこう好きだったりします。
ドラマでも大物俳優はゲスト的によく使われますが、そちらの方はあまり不快には思わず、むしろ面白いとまで思っています。
ただそれはあくまでもゲスト的な扱いなので、イヤミがない。
映画だとこの「ハイこの人出しましたよ?面白いでしょ?」が多過ぎてお腹一杯なんです。
あの演出は一時間に一回程度だから許されるのであって、何度も、しかも大スクリーンでやられると効果が半減どころかマイナスになるのです。
結果、それぞれの大物ゲストに少しずつ見せ場を作るため、どうしても映画が長くなってしまう。
これは一つの「映画作品」として、明らかな欠点だと思います。
今回も140分もあります。体感時間はもっと長く感じました。
他に今回の不満点。
いくらなんでも柴田勝家と滝川一益がバカ過ぎる。
そして見た人誰もが「?」と思うであろう忍者のシーン。酷すぎます。
ただ、今までの作品より「三谷節」みたいなものは控えめだと感じました。
でもファンからすると薄味に感じてしまう可能性もありますね。
あと剛力彩芽問題に関して一つ。
当然、セリフは酷いです。
ただ、最後に見せる表情は不気味で素晴らしかった。
あそこは無駄にヘッタクソなセリフで説明させないで、ある一言とあの表情だけで良かったと思います。
とても勿体ないと感じました。
次回は「まどか☆マギカ」について書こうと思っています。