つのこさん のコメント
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田玲司のヤングサンデー 第406号 2022/9/12
あの日の「しゃべり場」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 90年代の終わり頃、僕が夢中で見ていた番組はNHKで放送されていた「真剣10代しゃべり場」だった。
この番組は当時10代の若者10数名が輪になって、その時の自分が抱えている悩みや主張を語り合うというもので、その中で起こる様々な「予期せぬ事」が話題になった。
司会者のいない中、本音をぶつけ合う10代の人達の主張は当然「いびつ」で「知識や経験に乏しい」ので、当時も「青臭い」という批判も多く「ガキどもが偉そうにしていて観ていられない」みたいな批判もよく耳にした。
ところが僕はそんな「青く」て「本気」の彼らの話が新鮮で大好きだった。
録画した放送を何度も繰り返して観ていたので、1期や2期の人達の中には今も名前も覚えている人がいる。
この番組は司会がいないので、進行はその日の当番になった10代の人が担当する。
【ブチ切れる談志】
そして毎回1人だけ「大人」が参加する。
岡田斗司夫さんや、江川達也師匠なども出演している。
彼らも若者の輪の中に入り「偉い大人」も「名もなき10代の人達」と同じ扱いになる。
立川談志さんが出た時は、途中でブチ切れてスタジオを出ていったりした。
その理由が「ガキの戯言に付き合っていられねえ」だったのか「俺を誰だと思ってやがんだ若造が」だったのか、本当のところはわからないのだけど、最後まで全力で自分をぶつける若者と比較されるので実に「大人げない人」に見えた。
さらに「談志退出」に動揺して泣き出す子供や、楽屋まで謝罪、説得に向かう若者もいて、僕はそんな彼らの行動にいちいち感動していた。
当然番組は編集されたもので、作り手の恣意的な部分が入るのは否めないけれど、とにかく彼らの「表情」や「ちょっとしたやりとり」が多くを語ってしまうのが面白かった。
【壁を超える】
この番組に出ていた若者は、見事なまでに属性が多様だった。
映画「ブレックファスト・クラブ」のように、クラスではまず友達にならないような人達が集まって対話する。
「体育会系」「文学少女」「意識高い系」「不良キャラ」「ギャル」に「お坊さん」までいた。
この「壁を超えて出会う」という感じも実に良かった。
「ワールドトリガー」や「進撃の巨人」などに通じる「他者を知る体験」が何週も続くのだ。
そこで彼らに生じる変化は素晴らしく、対話で心の壁を越えていくある種のドキュメンタリーでもあった。
【出たい】
当時の僕は平凡な漫画家で、ゲストのオファーも来なかったけど、とにかくこの番組に参加したかった。
番組に出たいというより「その場」で彼らの話を聞きたかったのだ。
ところが僕には最後まで出演のオファーはなく、番組は終わった。
【ヤングサンデー】
ラブコメ漫画「Bバージン」で「モテるためにはどうしたらいいか?」を描き、対談漫画「絶望に効くクスリ」で400人近くの著名人と対談してきた漫画家山田玲司がその多彩な経験と圧倒的な知識を元に「テレビでは語られない角度」で恋愛、社会問題、漫画、映画、音楽、人生とは何か?など様々な問題を切っていきます。
「人に伝わるものって、結局 熱量。熱量しか人に伝わらない」
以前マツコさんがマツコ会議でCreepyNutsと対談した際に、DJ松永氏の涙ポロリに思わずもらい泣きしながら話した言葉(意訳)ですが、まさにその通りだなぁと感じていて時々ふっと思い出します。
(番組は今のネットメディアや社会の息苦しさに悩む若者の本音が吐露されていて、マツコさんとのセッションも素晴らしく神回でした。もし機会があればご覧になってみてください)
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