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【No.41】「廃炉」の定義が決められない──住民帰還が先行する棄民
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【No.41】「廃炉」の定義が決められない──住民帰還が先行する棄民

2016-05-01 00:40
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    木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                       2016/4/30(No.041)
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    [目次]
    1.東電福島第一原発事故トピック
    【No.41】「廃炉」の定義が決められない──住民帰還が先行する棄民
    2.メルマガ後記
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    1.福島第一原発事故トピック
    「廃炉」の定義が決められない──住民帰還が先行する棄民

    <住民対話の重要性を訴えた英国コープランド市長>
     4月10日〜11日の両日、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズで「第1回福島第一廃炉国際フォーラム」が開催された。主催は経産省資源エネルギー庁と、原子力損害賠償・廃炉等支援機構。2日間のフォーラムへの参加者は641人、同時開催された技術展示では企業、大学、高専、関係機関など37団体が出展した。

     フォーラムでは1日目に住民との対話に関する講演があり、2日目は廃炉作業におけるリスク評価、燃料デブリ取り出しや廃棄物対策の中での技術的な課題や福島第一の現状について講演が行われた。

     印象的だったのは1日目の「海外での廃炉への取り組み及び地域社会とのコミュニティ」のセッションで、過去に放射性物質による環境汚染事故を経験した英国カンブリア州コープランドの市長と、コープランド選出下院議員が「コープランドも電力消費地、大都市とは離れている。福島も同じような状況にあるのではないか」とし、助成金に依存していた地域産業、貧富の差、鉄鉱石採掘が衰退して原子力産業に依存するようになった経緯などについて語ったことだった。

     コープランドにあるセラフィールドでの環境汚染事故については、80年代に大きな抗議行動が発生して海洋への排水が減少したほか、透明性が求められるようになったという。その後は地域コミュニティと関係を深めることが重要になり、原子力施設の運転が安定してできるようになったとした。

     コミュニティとの関係については以下のようなポイントについて述べた。
    1.よいことだけでなく悪いことも知る必要がある
    2.信頼のためには双方向の対話が重要。
    3.コミュニティが意思決定プロセスに関わることが必要
    4.地元のステークホルダーからの意見を受けることによるメリットは大きい

     こうして信頼性を確立できると、双方向の会話ができるようになるという提言であった。

     このほか福島第一原発に関しては、東電廃炉カンパニープレジデントの増田尚宏氏が現状の報告。それに対して、放射能影響研究所の丹羽太貫氏、地元からは「原発震災を語り継ぐ会」の高村美春氏などが意見を述べた。 
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