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本願寺御馳走顛末 (醒睡笑)
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本願寺御馳走顛末 (醒睡笑)

2017-06-17 12:53
    本作の原典は、醒睡笑巻の四「唯有」の章である。
    醒睡笑には話毎に題名がないので、底辺亭底辺がこの仮題を付けた。






    著作 安楽庵策伝
    脚本 底辺亭底辺



    伊勢桑名の本願寺に一代住持の秀海と云う長老が居た。
    七日前から自身の死を悟り、信者達に彼岸の法話を終えた後「南無阿弥陀仏」を伝授して
    高座で合掌したまま逝去したと伝わる高僧である。





    そんな秀海が存命中のある日。
    報恩寺と云う高名な侍から招待された時があった。


    弟子の祐光坊が予め秀海に注意していたことは以下の通り。

    「振舞というと皆、敬意から可能な限りの御馳走を用意して下さります。
    ですので、その御馳走に一言のお褒めの言葉もない場合、招待者は大抵落胆します。
    明朝の振舞はきっと手厚いでしょう。
    ですので、必ずお褒めの言葉を掛けて下さいませ。」

    弟子の進言に対して、秀海は異議なく素直に承諾した。


    その後、二人は報恩寺の邸宅に赴き、高位の人々と共に招待席に座った。
    そして、報恩寺の家人が膳を運び始めた時の事である。

    秀海は汁も菜も見ずに、「報恩寺殿、報恩寺殿!  御馳走!」と声を掛けた。
    慌てて祐光坊がこれを睨むと、秀海は「忘れないうちにな。」と答えた。








    『醒睡笑』

    江戸時代初期に刊行された笑話集。
    著者は安楽庵策伝(浄土宗)。



    『桑名の本願寺』

    本願寺教如が娘の長姫(おさひめ)に開基させた桑名別院とは別物。
    策伝と同じく西山浄土宗の寺院である。

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    『報恩寺』

    同じ桑名市内に報恩寺なる寺院は存在する。
    宗派は浄土真宗・本願寺派である。




    『この話の何が面白いの?』

    同宗の秀会長老を「一代の聖僧」と冒頭で讃えた策伝が、
    真宗の報恩寺を「名だたる侍」と表記している点に考察の余地があるのだろう。

    勿論この話は少し繊細なので、あまりクローズアップされて来なかったし、当然落語化もされていない。
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    底辺亭底辺の「今日も底辺!」
    更新頻度: 鬱時に長文投下します
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