世界の真実を探求するメールマガジン
☆ メルマガPLANETS vol.0 〔お試し版〕☆
発行:PLANETS2012.8.20 (毎週金曜日発行)
http://wakusei2nd.com/
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こんにつあ、PLANETS編集部・秘書A子です。
いつもPLANETSを御愛顧頂きましてありがとうございます。
いよいよ会員限定チャンネル「PLANETSチャンネル」より、
「メルマガPLANETS」の始動です!
本日は、9/7(金)の配信開始に先立ちまして、
特別にサンプル版・0号をお届けします。
少しでも「メルマガPLANETS」の雰囲気を感じ取って頂き、
皆さまにご興味を持って頂けますと幸いです~。
早速ご紹介しましょう!
今号のコンテンツはこちら↓
┌───────────────────────────────┐
├○ メルマガPLANETS vol.0:2012.8.20
├○ [お試し版]
├○
├○ 01.【エッセイ】高田馬場で働いている評論家の日常
├○ 第0回 再稼働と民主主義、そしてテクノロジー
├○
├○ 02.【インタビュー】この人のこの話がききたい
├○ 【9月のこの人】 速水健朗さん(ライター)
├○ 第1回 ゼロ年代カルチャーと二郎の類似点 ├○
├○ 03.【エッセイ】テレビでは言えない話
├○ 第1回 刺されるから言えない
├○
├○ 04.【批評】前田敦子はキリストを超えた
├○
├○ 05.【人生相談】哲学の先生と人生の話をしよう
├○ 第1回「バブル世代の父親がドバイから……」
├○
├○ 06.【過去原稿】今週のお蔵出し
├○ 「人生論と言論戦、アジテーションと交通整理」
├○
├○ 07.【研究と探訪】小人論 ――暴走する片思いのメカニズム
├○ 序章「白雪姫と七人の小人たちの法則」
├○
├○ 08.【動画】世界の真実を語る会
├○
├○ 09.【クロスレビュー】今週の映画批評
├○
├○ 10.【今週の宇野コレクション】
├○ 第1回 figma巨神兵(グッドスマイルカンパニー)
├○
├○ 11.【読者投稿】今週の読者の声
├○
├○ 12.【告知】今週のスケジュール
├○
├○ 13. 編集後記&次回予告
├○
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┗■ 01.【エッセイ】高田馬場で働いている評論家の日常
宇野常寛
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このコーナーでは編集長宇野の時評的エッセイをお届けします。
時事評論から、書評、映画評、最近身の回りに起こったことへの感想
など、縦横無尽に、そしてリミッター解除で書き連ねていきます!
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第0回
再稼働と民主主義、そしてテクノロジー
■原発再稼働問題、消費税増税問題と野田内閣への批判が盛り上がっている。
これは正確には「事実上の大連立」と呼ばれる議会制民主主義の機能麻痺の問
題だと言えるだろう。自民・民主の二大政党の時代はほんの少し前までその
「変わらなさ」によって国民の政治への信頼低下をもたらしていた。そもそも
が自民党も民主党も呉越同舟の「幕の内弁当」的な政党であり、せいぜい「野
党になったほうがはっきり「増税」とマニフェストに書ける」くらいの違いし
かなかった。だが、ここに来てこの両党の「近さ」は「事実上の大連立」とし
て作用することになった。国運を左右するような重要決定が、民意を問うこと
なく大政翼賛会もまっさおの圧倒的多数で可決される……という光景はこれま
でとはまったく異なる意味で議会制民主主義の機能不全を感じさせる。
■この問題を解決するにはどうしららいいのか? 比較的僕の専門に近い分野
から意見を述べさせていただくのなら、この問題は少なからずマスメディアと
いう装置の限界の問題であるはずだ。
■単純に考えると20世紀前半はマスメディア、特にラジオが発展したせいでフ
ァシズムがそれを利用して台頭し、世界大戦が二回も起こって危うく人類が滅
亡しそうになった時代で、20世紀後半の冷戦時代はさすがにそれはまずいから
とにかくマスメディアは政治から独立しようということになった結果、逆にマ
スメディアのほうが肥大しすぎた結果先進国のあちこちで従来の民主主義(マ
スメディアによる世論形成+成熟した市民による社会運動というモデル)がう
まくいかなくなった時代だ。たとえば「悪しき」ポピュリズムというかたちで
一時的かつ集団ヒステリー的な画一化と、その反動の政局混乱が起こったりす
る(ポピュリズム政権は持続力が弱いので)。
■ここで重要なのは民主主義には文化的な「回路」が必要だということだ。古
代における祭政一致がもたらしていた「祝祭化」や現代におけるマスメディア
による「物語化」(劇場化)がこれにあたる。そう劇場かそれ自体は悪ではな
い。むしろ人間の想像力には限界があるので、一と他、私と公を結びつけるに
は何らかの文化的な回路が必要になるのだ。問題は価値観の多様化した現代社
会においてマスメディアによる最大公約数的な「劇場化」では、一と他、私と
公を結びつける回路としてはその機能を果たさないということなのだ。だとす
ると、21世紀の課題は必然的に「ポスト・マスメディア的な公共性の確立」に
なる。ポスト・マスメディアとは何か――それは当然ソーシャルメディアを中
心としたインターネット系のメディアだ。たとえば先のアメリカ大統領選では
オバマ陣営において、インターネットを用いた大規模なゲーミフィケーション
が導入されたことが指摘されている。ゲーミフィケーションとは人間工学や行
動経済学、社会心理学などを応用してものごとを「ゲーム」にすることで(モ
チベーションを上げる、我慢の苦痛を緩和することで)学習や動員の効率を上
げる手法である。もちろん、これは現代アメリカにおける一例にすぎない。日
本に輸入するにはこの国の社会状況や情報環境に即したものを新しく考える必
要がある。しかし重要なのは一と他、私と公を結ぶ回路は、時代とともに変化
しつつあり、民主主義の機能を維持するためにはこうしたテクノロジーの支援
が必要だということではないだろうか。
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┗■ 02.【インタビュー】この人のこの話がききたい!
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作家、評論家、編集者、ライター、プロデューサー……
このコーナーでは宇野の仕事仲間の中から「この人に話をききたい」
と思った人にフォーカスして、じっくりお話を伺います。
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【9月のこの人】
速水健朗さん(ライター)
第1回
ゼロ年代カルチャーと二郎の類似点
ラーメンのゼロ年代は「二郎」の時代だった
「戦後の日本の社会の変化を捉えるに、ラーメンほどふさわしい材料はない」
――そんな主張をする『ラーメンと愛国』という本が話題になっている。著者
の速水健朗氏は、『自分探しが止まらない』『ケータイ小説的。――“再ヤン
キー化”時代の少女たち』などの著作で、現代の若者向けサブカルチャーを独
特の視点から探求してきた。そんな彼が今回題材に選んだのは、ラーメン。な
ぜあえてラーメンなのかという疑問には、まさに前出のまえがきがピシャリと
答えている。
そう、この本は単なるラーメン史紹介にとどまる本ではない。その普及過程を
通じて戦後日本の食の歴史を描き、またラーメンのメディア上での表象を通じ
て戦後日本文化史を描き、さらにはそんな食文化やメディア文化を支えた、戦
後日本の国土開発の歴史を描き出すところにまで筆は及ぶ。
今回は、そんな速水氏とともに実際にラーメンを実際に食べに行き、この本の
内容をめぐって話すことにした。インタビューで盛り上がったのは、「二郎」
の話。ゼロ年代文化としての「二郎」から、「二郎」は海外進出可能かという
話題まで、様々なトピックが話し合われた。(構成:稲葉ほたて)
速水 『ラーメンと愛国』は、ラーメンの歴史じゃないんです。戦後の
産業の発展、国土の開発、流通の変化、マスメディアの普及、消費社会
の台頭みたいな流れがあります。それをラーメンというアイテムを用いて
説明した本です。具体的には、工業製品としてラーメンが生まれる過程、
テレビ発の最初のヒット商品チキンラーメンの流通・マーケティング、ご
当地ラーメンと地方の観光開発といった具合ですね。これらは、日本人の
国民意識の形成と関わっている。なので、ラーメンが国民食と呼ばれるよ
うになった。ラーメンを通した国民意識の形成の歴史です。
――この本を読んだ時に印象的だったのが、第五章で書かれていた90年代
の「ガチンコ! ラーメン道」の話です。都会では、ラーメン屋ってこんな
に怖い修行をして、やっとなれる職業なんだろうかと思いながら見ていま
した(笑)。結局、やらせだったわけですけど。
速水 この本でやりたかったことって、ナショナリズム云々の前に、テレ
ビとアメリカという影響を通してみたメディア論的な戦後史なわけで、特
に90年代に登場したまさに「ガチンコ」に代表されるようなリアリティー
ショウについて書いてるんです。
宇野 確かに90年代は「リアリティーショウの時代」でした。それは、よ
くわかるんです。わかりやすくアイドル史で喩えると、80年代は「楽屋落ち
の時代」で、「おニャンコ」の時代でした。そこでは楽屋の半分を見せるこ
とでリアリティーを確保しました。それに対して、90年代は「モー娘。」の
時代ですよね。モー娘の説明が入る。まさに「リアリティーショウの時代」で
す。
しかし、そこで僕は実は「ラーメン二郎」が気になってしまうんですね。なぜ
なら、その次に来たゼロ年代が「AKB48」の時代だったからです。AKB48の説明
が入る。
あの本を読んだとき、「二郎」の話をフォローしないとラーメンマニアが突っ
込むので、とりあえず「二郎」の話をあそこにぽんと入れたという印象を受け
ました。でも、本当はゼロ年代の「二郎」ブームをこそ、リアリティショウの
90年代を描いた第五章の次に、一章丸々使って語るべきだったのではないでし
ょうか。
速水 確かに、あの話の中でうまく繋げるなら、二郎は次の章ですよね。ご
当地ラーメンって、やっぱり物語消費なんですよ。魚介類が入ってるから北海
道ラーメンというように、その土地に根付いたものがポンっと入れてみるとい
った具合。でも、確かに二郎はそういうものではない。
――「二郎」の一号店が慶応大学の近くにあった……みたいな歴史には興味が
ない。
速水 そう、実はラーメンの歴史はラーメン二郎含め、遡ってない。ラーメ
ンの歴史の本って言われるのは、心外です。ほぼそこに興味がないんです。
ラーメン二郎のおもしろさって、30何店舗が首都圏という近距離に派生してい
るという絶妙な配置だったり、味のばらつきのパラメータだったり、さらには
そこから派生するインスパイア系みたいな進化の仕方ですよね。しかも二郎の
中だけで完結してる。ラーメンとは違うというのが、ジロリアンの意識の持ち
方です。二郎自体が、SDガンダムみたいな体系に向かってるわけでしょ。ラー
メン史という体系があって、そのルールを踏襲はしながらも、それとはパラレ
ルに世界観を作りだしていったというか。
宇野 インスパイア系はSDガンダム(笑)なんですね。
(次号に続く)
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┗■ 03.【エッセイ】テレビでは言えない話
カリホリ(ジャーナリスト)
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マスメディアとソーシャルメディア、「放送と通信の融合」、そして
パブリック・アクセス……激変する情報環境の最先端を覆面ジャーナ
リスト!?「カリホリ」が、L.A.から発信!
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第1回
刺されるから言えない
現場に着くなり、会場の入り口でプラカードを持っていた中年男性から声をか
けられた。
「珍しいねぇ、取材にきたのか?頭にきてるんだよ。電気が足りない、電気が
足りない、このままだったら、停電が必要だ!なんて急に言い出し始めやがっ
た。脅しだろ、あんなの。役人は役人で馬鹿みたいに「安全対策を進めていま
す」ってことしか言わない。テレビ局なんて酷いもんで、俺たちの意見なんて、
さらさら取材する気がないようだからさ、おかげで、俺たちは、街の皆から変
わり者扱いされているよ」そういきなり捲し立てられるので「すいませんね、
僕もマスコミなんですけど、頑張りますから」と苦笑いして頭をさげ、取材会
場に入れてもらった。
その現場は、アメリカ・ロサンゼルスから車で東に2時間あまり。
サンクレメンテと呼ばれる人口6万人の海沿いの観光地だ。白い砂浜が延々と
続く遠浅のビーチ。年間を通じて良い波が立つと評判で、休日になるとサーフ
ボードを抱えた若者や家族連れが砂浜をカラフルに染める。
そのビーチの東端に、サンオノフレ原発がある。
(続きは本編で!)
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┗■ 04.【批評】前田敦子はキリストを超えた
濱野智史(情報環境研究者)
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前田敦子という存在のもたらした数々の奇跡は、人々に「敦子はキリス
トを超えた」と確信させた。筆者もまたその奇跡を目の当たりにして
『智史による福音書』ともいうべき書を記す使命に駆られている。AKB
48という人類史的事件から読み解くことで、本連載は革新的な近代社会
論になるだろう……!
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前田敦子はキリストを超えた。もともとこれは本メルマガ編集長の宇野常寛が、
今年のエイプリルフールとして公開した「嘘」の書籍タイトルとして世に出た
ものである。それは少なからぬ反響を及ぼしたようだ。
しかし、私はそれが「エイプリルフール」のネタにされたこと、つまり「嘘」
だと解釈されたことにおおいに不満を感じていた。なぜなら私は、本当に、前
田敦子はキリストを超えたと思っていたし、いまもそう思っているからだ。も
ちろん、世界史の水準で見ればあっちゃんがキリストを超えたとはいまだ言え
ない(AKBの活動期間はたかだか数年なのだからあまりにも当然!)。
しかし、現に生きられている宗教・のようなものとして、AKBは原始キリス
ト教に匹敵しうる。いや、キリスト教だけではない。AKBは、日本が初めて
資本主義化と情報化の果てに生み出した、世界宗教のようなものになりうる可
能性を秘めている。
だから本連載は、おそらくAKBをただ分析したり考察したり批評したりする
ものにはならないであろう。AKBという宗教運動に肉薄するための、聖書の
ようなテクストを書かねばならぬ。これが筆者のいま現在の決意である。
(続きは本編で!)
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┗■ 05.【人生相談】哲学の先生と人生の話をしよう
國分功一郎(哲学者)
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「〈哲学〉とはすなわち〈人生論〉でなければならない……!」
そんな確信を抱く哲学者・國分功一郎が恋愛・就職・家族・自己表現
……あらゆる悩みに正面から、そして哲学的にこたえる人生相談です。
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【第1回】
バブル世代の父親がドバイから仕送りを送ってこなくて困窮しています
相談者:ブリティッシュ・ホンコンさん(東京都・男性・学生)
Q
経済難でひどく困っています。重い話になってしまいますが、お許し下さい。
我が家は母がすでに他界しており、父と私の二人家族(兄弟はいません)なの
ですが、その父も海外勤務が長く、現在は中東の某所におり、ほとんど帰国し
ません。そのため私は、父が購入した東京郊外の世帯マンションに一人で暮ら
しています。もとは家族で暮らしていたものですが、こうした事情により、か
れこれ長いこと一人で不相応なマンションに住んでいます。
当然、マンションには住宅ローンや固定資産税、マンション管理費が毎月かか
ります。父とは事前にしっかり約束して、こうした支出は父が送金で賄う、と
してきました。ところがここ数年父の経済状況が急変し、仕送りが途絶え始め
たのです。父は企業勤めではなく、フリーランスで現地企業を転々としている
ため、一度経済状況が悪くなると、それでぱったりと仕送りがなくなってしま
うのです。
それが積もりに積もって、現在では住宅ローンも固定資産税もその他諸々の支
出も、すべて滞納しています。毎日のように各方面から督促状が送られ、「差
押え予告」や「裁判予告」といった通知まで来るに至っています。
私は普段大学生活を送り、アルバイトで賄えるだけの生活費を元に暮らしてい
ます。とてもこういった大きな金額を支払う能力がありません。父には何度と
なく連絡を入れ、早く仕送りをと懇願しているのですが、「必ず振り込む」と
言って実行されない、というディスコミュニケーションが延々と続いています。
父は典型的なバブル世代で、堅実にお金を稼ぐということを知りません。こう
した現実から目をそむけ、いつか必ず、もう一度一山掘り当てるのだ、という
発想しかありません。そして私自身、その子として甘やかされて育ちました。
いざ家を追い出されたら自活できる生活能力がありません。マンションを売れ
ばいいといろんな人から言われました。しかし、このマンションを売ったら私
はどう生きて行ったらいいのか。私にはとても現実感がもてません。
今私が現実的になすべき手段というのは、おそらくはっきりしています。理性
では、そのことをとても鮮明に理解しています。しかしそれを受け入れる勇気
と精神力が私にはありません。こんな現実は嘘だと逃避し続け、「本来はこう
あるべきだった」という観念に没入し続けることしか出来ません。
こうした観念ばかり抱えながら、現実の経済難を前に、どうやって生きていっ
たら良いのか。ご助言頂ければ幸いです。
(國分先生からのお返事は本編で公開予定!)
【人生相談募集!】
「人生に悩んでいる」「何となく毎日気が晴れない」「『暇と退屈の倫理学』
が面白すぎてつらい」――そんなあなた!國分先生に人生相談をしてみません
か?ペンネーム・住所(都道府県)・年齢・職業をお書き添えの上、wakusei2
nd.bizあっとまーくgmail.comまでご連絡下さい。皆さまからのご相談、お待
ちしております!
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┗■ 06.【過去原稿】今週のお蔵出し
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編集長宇野がさまざまな媒体に寄稿した文章や、講演などの採録を
「お蔵出し」的に掲載します。
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【今週のお蔵出し】
「人生論と言論戦、アジテーションと交通整理」
古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』/
瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』
(初出:「こころ vol.6」平凡社 2012年4月)
私の手元に、二冊の本がある。一冊はこれから社会に出ていく「若者」たち
に世渡りの心構えを説く本で、もう一冊は中高年、あるいはそれ以上の読書人
たちに「若者」たちの現状を解説している本だ。そしてそのどちらも、平成不
況以降の、「失われた二十年」のあいだに訪れたこの社会の変化――グローバ
ル化の受容(の失敗?)と社会・文化のネットワーク化をその背景として位置
づけ、解説している。
前者の瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』の内容を私なりに要約しよ
う。同書では瀧本の豊かな知識と平易かつ明晰な語り口調によって、実にさま
ざまな企業や成功者の事例がそれ単体で商品として成立し得る魅力的なエピ
ソードというかたちで配列されている。しかし、これらはすべて瀧本の主張を
読者に届けるためのデコレーションに過ぎない。瀧本の主張はいたってシンプ
ルで、それだけに強靭だ。端的に述べれば、それはグローバル化の受容がうま
くいかなかった日本社会ではこれまで以上に不具合や非合理が目立つようにな
るので、個人のレベルで世界的に全面化しつつある「真の資本主義」に対応で
きるように「武器」(戦略的な思考回路と教養)を準備すべし、というものだ。
その背景となる現代社会の理解には、多少異論はなくはない(たとえば本書に
おける消費社会下の「差異」の機能をめぐる記述はネットワーク化以降の現代
においてはややアナクロなものだろう)。しかし、ここで語られている主張そ
のものは「戦後」的な社会の限界を冷静に受け止めている同世代にとってはも
はや「常識」の範疇であり、瀧本の高い説明能力と学生向けに整理された思考
の出力を素直に評価する以外に本書「それ自体」を評するポイントはないよう
にすら思える。
対して、後者の古市憲寿による『絶望の国の幸福な若者たち』は一見非常に
複雑な著作のような印象を受けるかもしれない。しかし、それは本の構成上の
都合で生じた外見上の特徴に過ぎないだろう。実のところ本書の主張もシンプ
ルだ。高度消費社会の実現は不況下でも個人の高い幸福度を保証する優れた社
会的・文化的インフラを整備している。そのため、雇用環境が悪くても「若
者」の多くが現状の生活に「満足」している。しかし不況や社会体制の行き詰
まりによって将来には不安を抱えているのだ、と。そしてその不安とは現在の
「幸福」がこの先二十年後、三十年後に失われるのではないかという「不安」
だ、と。本書の主張は大雑把にはここまでシンプルに要約できる。たとえばそ
の結果生じているのが車や海外旅行といった分かりやすく目に映る「モノ」の
消費から、仲間(=家族でも職場でもない人間関係)とのつながり(の機会)
に時間とお金をかける「コミュニケーション」消費への変化だ。(そしてこの
変化は、若者が「消費」しなくなったと考えるより、既に文化的な生活環境が
整いきったあとに、それまでは商品にならなかったものまでが商品化され始め
た、または商品化できる可能性を帯び始めた、と考えたほうがいい。)
こうした事例紹介に加え、本書の「外見」を繁雑にしているのは、新聞やテ
レビの討論番組といった旧メディアの中高年読者に対する説得的コミュニケー
ションのために設けられたやや過剰なサービスのようなものだ。たとえば本書
の第一章に設けられた「若者論」の歴史解説や、両論併記的に注意深くバラン
スのとられたメディア論やナショナリズム論(の一部)がこれにあたる。「や
や過剰」と書いたのはバランスのよい記述を試みる余り、やや妥当さを欠く解
説も見られるからだ。たとえばソーシャルメディアが大衆の「ガス抜き」装置
でしかなく「社会を変えるとは思えない」と結論する箇所については、イン
ターネット社会論の専門家には途端に幾つかの事例(それこそジャスミン革命
など)を挙げて反論を加えたくなる人がいるだろう(もちろん著者は「両論併
記」的にネットの可能性も相応に提示しているが)。ただし、私は前述したよ
うにこうした同書の「過剰さ」「気遣い」は枝葉の部分に過ぎないと考える。
さて、ここで改めて両者を比較してみよう。同書はともに現代社会に対する
若者の「適応」を問題にしている。そしてふたりの主張は一見対立しているよ
うに見える。瀧本の主張は自立した個の確立を推奨し、古市のそれはそんな必
要はないと訴えていると解釈する読者も多いだろう。たしかにその語り口にお
いて瀧本は攻撃的で、古市は防御的だ。しかし、私見ではそれは両者の状況理
解の相違や思想の対立を意味しない。この二者はただ書いた本の「性質」が違
うだけなのだ。
冷戦終結後のグローバリゼーションの波にうまく対応できなかった/中途半
端に受容した日本の社会システムは「戦後」期からの脱却と更新がうまくいか
ず、あちこちで破綻を来している。しかしその一方で戦後的な「自由」よりも
「安定」を重視する(戦後的な)社会がなし崩し的に破壊され、その結果(相
対的に)実現した「自由」が存在するのも間違いない。両者ともこの「自由」
を肯定的に捉えていることがまず共通している。その上で瀧本はこの「自由」
を逆手に取って有利に生き抜くことを推奨する。対する古市はこの「自由」
(たとえば戦後的な強固な会社共同体からの「自由」)をゆったりと謳歌する
若者たちに注目する。そして瀧本は「どうせ日本社会はもうダメなのだから個
人が強くサヴァイヴすべき」だと説く。対する古市は「そんなシステムの破綻
が「若者」の首を絞めるのは、もう少しだけ先なのだから現代の若者は幸福だ
と感じている」と冷静に「分析」してみせる。
ふたりの違いは、イデオロギーではなく想定読者と出版目的の差だと言い換
えてもいい。瀧本のそれは若者読者の人生論的メッセージによる動機づけに特
化している。対して古市のそれは年長の読者と業界人を読者として想定し、既
存の言論状況への介入(と改善)に最適化されている。逆を言えば、ふたりの
違いは実はここにしかない。古市の経歴を少し調べれば、まさに瀧本の推奨す
る「生き方」を勝手に実践してきたような「模範生」であることが分かるだろ
う。この二冊はほぼ同じ状況理解を背景にしている。同一の状況理解の上で、
人生論を説くか、言論戦を戦うか。この「目的」の差だけがふたりの間に存在
する。しかし、それだけにこの差異は、いやこうしたかたちでしか「差異」が
現れないことは決定的だ。
はっきり言えば、私の関心は「本当の資本主義」に対応した同世代のふたつ
の、それも極めて優れた知性が社会に向けて本を記そうと思ったときに、この
ようなかたちを「取ってしまった」ことにしかない。瀧本は人生論を説き、古
市は言論戦を戦う。私は基本的に彼らの主張にある程度は賛同する。(前述し
たように、このふたりの主張は大部分においては両立可能だ。人生をハイリス
ク・ハイリターンに生きたい人は瀧本を見習い、もっとローリスクに生きたい
人は古市の分析を参考に心の準備でもすればいい。)しかしおそらく瀧本にと
ってベストな、いや「幸福な」仕事はこの「常識的な」人生論の流布ではない
し、古市にとって「幸福な」仕事は「クレバーな」言論戦の遂行ではないだろ
う、ということだ。彼らのような知性にこのような回りくどい仕事をさせてし
まう日本社会は(少なくともこの面に)おいては、不幸だと言わざるを得ない。
両者に共通しているのは、日本社会の緩慢な衰微自体は歯止めがきかない、シ
ステムそれ自体の更新はできない、極めて難しいという諦念だろう。だから瀧
本はせめて個人が生き残る術を、いや生き残るための動機付けを学生たちの頭
上から化学肥料のように投下し、古市はせめて社会のバランスを保つためアイ
ロニカルな言論戦を仕掛ける。ある種の諦念をここに発見することはそう難し
くない。
当然のことだが、おそらく社会状況が異なればこのふたりはもっとストレー
トに自分の知的関心を追求した本を書いていただろう。比喩的に述べれば、こ
の二冊の本は、ともに「~ではない」という不可避の選択が書いてある本であ
り、「~である」という価値の提示が書いてある本ではない。しかしこのふた
りが本来「~である」という言葉を語り得る存在であることは、これらの著作
から十二分に窺い知ることができる。そうでなければ、「格差社会」だの「ネ
オリベ」だの否定的な言葉でばかり形容される現代の「自由」に(かたちは異
なれど)可能性を見出すという態度は取れないはずだ。しかし今、「若者」に
ついて書くときにこうしたたかちを取ることが(「~である」と語ること)難
しいことを、瀧本も古市も聡明であるがゆえに理解し過ぎてしまっているのだ。
その結果が人生論と言論戦、アジテーションと交通整理という選択なのだと思
う。私はこの選択に、彼らの状況理解の正しさを確認すると同時にその背景に
共有されるシニカルさを悲しく思う。もし、このシニシズムから彼らのような
知性を解放できるものがあるとするのなら、それは長期的にシステムそれ自体
を更新することができるのだという確信だろう。時間がかかってもいい。彼ら
のような知性を巻き込みながら、そんな確信を取りもどすための言葉を獲得し
ていくことはできないか。この二冊を読み比べて、もはや「若者」ではなくな
ってしまった彼らと同世代の言論人(の端くれ)はそんなことを考えている。
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┗■ 07.【研究と探訪】小人論 ――暴走する片思いのメカニズム
世界に復讐するリトル・ピープルの会
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「アイツ最近、小人化してるよねー……」 編集長宇野が主宰する知的
探求ユニット「世界に復讐するリトル・ピープルの会」が、人類普遍の
法則「白雪姫と七人の小人たちの法則」を解き明かします!
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序章
白雪姫と七人の小人たちの法則
仮に男女比8:2、計10人のサークルがあったとしましょう。
多くの場合、2名の女子のうち明るく積極的なほうの女子が8人の男子の内
のひとりと付き合い始めます。この女子をここでは[白雪姫]、と、男子を[王
子]と呼びます。では残された7人の男子は、もうひとりの女子に殺到するの
かというと、意外とそうでもありません。ここでこの7人の男子たちはむしろ
[白雪姫]にとってのナンバー2の座を占めるため、その取り巻きと化すケース
が多いのです。つまり[姫]にとっての[小人]になります。(このとき[姫]は
サークル内で[王子]と付き合っていることを隠しているケース、サークルの外
に[王子]がいるケースもままあります。)
残されたもうひとりの女子はとうぜんこの状況が面白くありません。したが
って彼女は[姫]の八方美人さを非難することになります。そう、彼女は[魔女]
の役になってしまうのです。この場合、[小人]たちの多くが[姫]の歓心を買う
ために[魔女]をサークルから排斥しようとします。もちろん、そんなことをや
っても[白雪姫]は[小人]を[王子]に昇格させることはまずあり得ません。それ
でも[小人]たちは勝手に盛り上がり、忠誠の証として[魔女]を排斥するのです。
しかしほんとうの悲劇はここからはじまります。[魔女]を排斥し、サークル
全体にとっての悪役を失ってしまったあと[小人]たちの満たされない思いはど
こにそのはけ口を求めるのでしょうか。歴史が教える通り、共同体はその外部
に敵を求めることで強い団結を獲得します。しかし外敵への反発のもたらした
団結が強ければ強いほど、その外敵を失ったあとの反動は強いものです。[魔
女]を排斥した[小人]たちは、たいていの場合[小人]同士の内紛をはじめます。
それも、[王子]の座をかけたバトルロイヤルではなく、筆頭[小人]――すなわ
ち[姫]にとってのナンバー2の座をめぐるバトルロワイヤルを開始するのです。
そしてサークルはクラッシュしてゆくことになります。
以上が、二〇〇一年頃ある批評家(当時はまだ善良な一学生でしたが)によ
って発見された人類普遍の法則――「白雪姫と七人の小人たちの法則」です。
一説によると、全国の文化系サークルの崩壊パターンの役78.6パーセントがこ
の法則に当てはまるそうです(惑星開発委員会調べ)。
しかしここで重要なのは、自意識過剰な年頃の男女がローカルな人間関係で
承認を得ようとするあまり空回りするというありふれたことなどではありませ
ん。ほんとうに重要なのは、[小人]はどんなにがんばっても――[魔女]を撃退
しても他の[小人]たちとの抗争を勝ち抜いても[王子]にはなれないということ
なのです。
ディズニー映画『白雪姫』に、[姫]のベッドサイドに、七人の[小人]たちが
ずらりと並んでるという場面があります。彼らは一様に[姫]に好意をもってい
ます。[姫]もまた、[小人]たちに優しく接しているものと思われます。だから
こそ[小人]たちも[白雪姫]のことが大好きなのです。
しかし、[姫]と[小人]たちの関係は決して対等ではありません。
なぜならば[小人]たちが[白雪姫]が好きなほどには、[姫]は[小人]たちのこ
とが好きではないからです。彼らは一様に手を揃えて置き、決してベッドの中
の白雪姫にその手を伸ばしません。彼らは[小人]である限り、決して[白雪姫]
にとっての恋愛対象にはならないのです。[小人]たちはみな、[姫]に恋愛感情
を抱いて付き合いたいと思っているのに対し、[姫]は[小人]たちの誰にも恋愛
感情は抱いていません。[姫]にはほかに[王子]がいるのですから。
しかし恋する[小人]たちはどうでしょうか。童話の中でこそ、[小人]たちは
[姫]と[王子]との結婚を祝福します。しかし、実際はどうだったのでしょうか。
[小人]たちはおそらくは何ヵ月もの間、[姫]と共同生活を送り献身的に尽くし
てきたはずです。彼らのうち、比較的冷静かつ聡明な何人かは、自分が恋愛対
象ではないこと、[王子]ではなくあくまで[小人]のひとりでしかないことに自
覚的だったはずです。しかし、それでも彼らは誰一人として[姫]への献身を捨
てなかった。それはなぜか。[姫]の優しい態度と、同居による近接性の高さが、
「いつか自分に振り向いてくれることがあるかもしれない」という可能性を
[小人]たちに信じさせていたからです。そして[小人]たちは多くの場合、[王
子]が[姫]に口づけし、ふたりが結ばれたその瞬間にはじめて、自分が[小人]
であること、いや[小人]でしかなかったことに気づくのです。
本連載の目的はこの[小人]たちの救済にあります。[小人]は決して[王子]に
なれない。しかしそのことに気づかない、いや気付かないふりをし続けること
で希望を得て、プライドを維持する哀しい生き物なのです。
そして……この[小人化]は決して他人事ではありません。みなさん、胸に手
を当てて考えてみてください。この人は自分に気があるんじゃないかという希
望的観測のもとに、相手の都合のいい中距離にコントロールされてしまったと
いう経験がある人は案外多いのではないでしょうか。私たちの入手したとある
FBIに連なる筋の極秘資料によると、日本人の20代~50代男性の実に66.2%
が、女性の29.1%が、この「小人化」を経験しているとアンケートに回答して
いるようです。この数字に顕著に表れているように、一般的に「小人」化は男
性の女性に対する片思い感情から発生します。しかし、主に職場での既婚男性
とその部下・後輩の独身女性との関係性において女性の「小人化」も珍しくあ
りません。
そう、現代社会においては誰もが小人(リトル・ピープル)になり得るので
す!
そこで私たちは古今東西、老若男女、あらゆる「小人化」のケーススタディ
を集め、徹底的に分析と考察を重ねました。その結果、ぼんやりとですがこの
[小人]という哀しい生き物の救済への手掛かりが浮かび上がってきています。
この連載では、私たちの研究結果を発表すると同時に、みなさんと一緒に[小
人]の救われる道について考えてみたいと思います。
では、次回はさっそく映画『モテキ』を通じて、この「白雪姫と七人の小人
たちの法則」についてより深い考察を加えていきましょう。
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┗■ 08.【動画】世界の真実を語る会
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不定期で、チャンネルに会員限定動画をアップしていきます。
石岡良治さんの「最強☆自宅警備塾」番外編から、深夜散歩、カブトム
シ採集などプライベートな遊びまで、盛りだくさんでお届けします。
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現在準備中。更新まで、暫くお待ち下さい!
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┗■ 09.【クロスレビュー】今週の映画批評
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毎週1本、公開中の映画を選び、3人の映画評論家(+場合によっては
宇野)が10点満点で採点! 週末の鑑賞ガイドにお役立て下さい。
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9/7配信の本編よりスタート予定。ご期待下さい!
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┗■ 10.【今週の宇野コレクション】
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このコーナーでは宇野が日々買いあさっている玩具や模型などを、
毎回ひとつずつ写真入りで紹介していきます!
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第1回
figma巨神兵(グッドスマイルカンパニー)
■宇野の日々の買い物を自慢する「今週の宇野コレクション」、記念すべき第
1回はグッドスマイルカンパニーのfigma巨神兵です。宮崎駿の映画『風の谷
のナウシカ』に出てくるロボットですけれど、このフィギュアは宮崎自身によ
る原作漫画版ですね。
■これは今、東京都現代美術館で開催中の「特撮博物館」の物販コーナーで買
ったものです。後で一般販売をするようですけれど、今のところはまだここで
しか買えないようです。ちなみに一種に映っているのは僕の推しメン(ニ推
し)の横山由依さんのカードです。
■「特撮博物館」ではこの「巨神兵」が東京を破壊しつくすという衝撃的な短
編ムービー「巨神兵東京に現る」を見ることができます。庵野秀明、樋口真嗣、
舞城王太郎、林原めぐみ――と『エヴァ』からセカイ系ライトノベルに青春を
捧げたアラサー世代の心を鷲掴みするスタッフが参加した、短編映画です。
■しかしこの映画の見所はむしろ徹底的にミニチュア特撮という失われつつあ
る技術を駆使した映像表現でしょう。アナログの「技」にこだわった街並みの
破壊シーンは圧巻です。
■ちなみに拙著「リトル・ピープルの時代」(幻冬舎)で論じたように、ミニ
チュア特撮のルーツは戦中・戦後の戦争映画です。ゴジラが原爆の比喩だった
ように、ミニチュア特撮は技術的にも物語的にも戦後的な政治性の産物だった
ことがこう考えるとよくわかります。そして、21世紀の今「戦後」的政治性が
無効化していくと同時に廃れていった、というわけです。
■そして現在子どもたちの支持を得ているのはミニチュア特撮(怪獣映画&ウ
ルトラマン)ではなく、どちらかといえばチャンバラ劇の流れをくむ殺陣+C
Gのアクション映画&テレビ番組(要するに仮面ライダーとスーパー戦隊)で
す。
■ちょっとさびしいですが、こうして「大人のノスタルジィ」になったからこ
そ、こうして博物館に収められているのも間違いないでしょう。
■象徴的なのが、「巨神兵東京に現る」では設定が現代のはずなのに破壊され
る家屋が妙に昭和じみていたり、印象的なシーンで破壊される建物が東京タ
ワー(高度成長の象徴)だったりすることです。スタッフさんも、その辺自覚
的なのかもしれません。そもそも、ある日巨大な存在が空からやってきて、世
界をほろぼす……的な終末観自体が冷戦時代のものですからね。
■こうして考えると、かつての「20世紀的な」終末のイメージとして、核兵器
の擬人化である巨神兵というキャラクターがノスタルジックに呼び戻されてい
ることには、とても必然性があるように思えます。
■ちなみに「巨神兵東京に現る」については今出ている〈ダ・ヴィンチ〉の9
月号の連載で詳しく論じています。気になった方はぜひお読みください! で
はでは!
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┗■ 11.【読者投稿】今週の読者の声
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編集部では、当メルマガへの感想・質問・要望・人生相談等を
常時募集しております。
「このコーナーが面白かった」「こんな企画が読みたい」
「この映画を取り上げてくれ!」「國分先生に人生相談したい」etc……
何でもOKです。
もちろん、「もっとここをこうしろ!」というお叱りの内容でも構いません。
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皆さまからのご感想だけが、われわれの精神的な支柱です(マジで)……!
たくさんのメール、お待ちしております!
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┗■ 12.【告知】今週のスケジュール
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今週一週間の宇野の予定を、どこよりも早くお知らせします。
光の速さで明日へダッシュだ!
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8/24(金)~8/31(金)の予定
8/25(土)20:00~二コ生PLANETS8月号 徹底評論「夏休み映画スペシャル」
http://live.nicovideo.jp/watch/lv103993967
8/27(月)小林よしのり×中森明夫×濱野智史×宇野常寛
『AKB48白熱論争』(幻冬舎新書)発売!
http://www.amazon.co.jp/dp/4344982738
8/28(火)21:00~二コ生PLANETS×わしズム「AKB48白熱論争」
http://live.nicovideo.jp/watch/lv104352749
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┗■ 13. 編集後記&次号予告
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ここまでお読み頂いた皆さま、ありがとうございます!
「メルマガPLANETS」vol.0、いかがでしたでしょうか??
まだ準備段階のコンテンツもいくつかありますが、
9/7にはフルスケール・大ボリュームの本編がスタートします!
本誌「PLANETS」、「ニコ生PLANETS」と併せて
ぜひ「メルマガPLANETS」をお楽しみ頂ければと思います。
次号の「メルマガPLANETS」は……
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├○ メルマガPLANETS vol.1:2012.9.7
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├○ 01.【エッセイ】高田馬場で働いている評論家の日常
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├○ 02.【インタビュー】この人のこの話がききたい
├○ 【9月のこの人】 速水健朗さん(ライター) 第2回
├○
├○ 03.【エッセイ】テレビでは言えない話
├○ 第1回 刺されるから言えない
├○
├○ 04.【批評】前田敦子はキリストを超えた
├○
├○ 05.【人生相談】哲学の先生と人生の話をしよう
├○ 第1回「バブル世代の父親がドバイから……」
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├○ 06.【過去原稿】今週のお蔵出し
├○
├○ 07.【研究と探訪】小人論 ――暴走する片思いのメカニズム
├○ 「映画『モテキ』に見る、白雪姫と小人の典型例」
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├○ 08.【動画】世界の真実を語る会
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├○ 09.【クロスレビュー】今週の映画批評
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├○ 10.【今週の宇野コレクション】
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├○ 11.【読者投稿】今週の読者の声
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├○ 12.【告知】今週のスケジュール
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├○ 13. 編集後記&次回予告
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メルマガPLANETS vol.0
2012年8月20日発行
発行元:PLANETS編集
編集長:宇野常寛
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