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  • 宇野常寛『汎イメージ論 中間のものたちと秩序なきピースのゆくえ』第一回 中間のものについて(5)【金曜日配信】

    2017-09-22 07:002時間前
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    本誌編集長・宇野常寛による連載『汎イメージ論 中間のものたちと秩序なきピースのゆくえ』。東日本大震災の爪痕生々しい石巻で行われた〈Ingress〉のイベントを通じてジョン・ハンケとGoogleの思想を論じた前回に引き続き、世界を席巻した〈ポケモンGO〉を通じて世界と個人、公と私を接続する想像力がどのように更新されたのかを見ていきます。(初出:『小説トリッパー』2017夏号

     同じように遠くウクライナでは紛争地域である国境線を越えて、エンライテンドとレジスタンスが協力し、紛争地域のマップ上に「STOP WAR」という文字形を陣地で表現し、反戦をアピールしたケースが報じられている。

     こうした「社会活用」がリリース直後から展開されていたことは、〈Ingress〉の、そしてハンケが代表するGoogleのアプローチの、高いポテンシャルを証明している。〈Ingress〉の成果は控え目に言っても、私たちが世界の情報化(データベース化)と適切なゲーミフィケーションによって、あくまで自分の物語として公共の価値にコミットすることができる可能性を示しているのだ。

     二〇世紀とは世界と個人、公と私を接続するために物語を用いた時代だった。より正確には世界と個人とを接続することは、この時代においては他人の物語に感情移入させ、自分の物語だと錯覚させることと同義だった。たとえばこの錯覚によって、「個人」は「国民」化されていった。

     しかし今日において、その技術的な限界は取り払われている。人々はごく自然に自分の物語を享受することでいつの間にか世界に接続されてしまう。そしてその自動的な接続によって一定の確率で、公共の価値にコミットする人々が出現する。あとはその発生確率を上昇させるためにゲーミフィケーションの精度を上げるだけだ。それがGoogleの、ハンケの、〈Ingress〉の「思想」なのだ。そしてその思想的な実験は相応の成果を収めた、と言って良いだろう。〈Ingress〉はこのとき大きな物語ではなく、大きなゲームで世界と個人が接続され得る可能性を示したのだ。国民国家という物語(歴史)に規定された共同体よりも、市場というゲームのルールにしたがって駆動するシステムが、接続されるべき世界として重要度が増す今世紀において、この世界と個人の非物語的(ゲーム的)接続方法のもつポテンシャルは計り知れない。

     問題があるとすれば、それは〈Ingress〉の実験的な性格それ自体のもつ限界だ。〈Ingress〉のプレイのためには、一定の余暇を相応の経済的な余裕を持って過ごすことのできる環境と、そして、それぞれの土地の自然と歴史を観賞し得る知性と教養をプレイヤーに要求する。要するに〈Ingress〉とは、先進国の都市部のアーリーアダプターを対象にした実験的なゲームであり、その目的もこの時期のGoogleの進めていた現実そのものの検索サービスのテストと、そのためのデータ収集であったことも明白だ。ハンケも前述のインタビューなどで、〈Ingress〉がGoogle Maps上の自然物、人工物情報の強化にあったこと、将来的にここで収集されたデータベースが他社にも開放されたゲーム制作プラットフォームに活かされる計画であることを述べている。実験的な性格の強い〈Ingress〉は、境界なき世界を前提としながらも、その先進性ゆえに、ユーザーの高い能動性とスペックを要求するがゆえに、むしろ境界を再生産するというカリフォルニアン・イデオロギーのジレンマをものの見事に内包していたのだ。そしてハンケもまた、この〈Ingress〉の抱え込んだジレンマに敏感であり、より大衆性の高いゲームの制作をナイアンティックのミッションとして設定することになった。

     
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  • 本日21:00から放送☆ 今週のスッキリ!できないニュースを一刀両断――宇野常寛の〈木曜解放区〉2017.9.21

    2017-09-21 07:30
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    本日21:00からは、宇野常寛の〈木曜解放区 〉生放送です!

    〈木曜解放区〉は、宇野常寛が今週気になったニュースや、「スッキリ!!」で語り残した話題を思う存分語り尽くす生放送番組です。

    時事問題の解説、いま最も論じたい作品を語り倒す「今週の1本」、PLANETSの活動を編集者視点で振り返る「今週のPLANETS」、週替りアシスタントナビゲーターの特別企画、そして皆さんからのメールなど、盛りだくさんの内容でお届けします。

    ★★今夜のラインナップ★★

    メールテーマ「友達」
    今週の1本「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」
    アシスタントナビゲーター特別コーナー…「たかまつななの木曜政治塾」
    and more…

    今夜の放送もお見逃しなく!

    ▼放送情報
    放送日時:本日9月21日(木)21:00〜22:45
    ☆☆放送URLはこちら☆☆

    ▼出演者
    ナビゲーター:宇野常寛
    アシスタントナビゲーター:たかまつなな(お笑いジャーナリスト)

    ▼ハッシュタグ
    Twitterのハッシュタグは「#木曜解放区」です。

    ▼おたより募集中!
    番組では、皆さんからのおたよりを募集しています。番組へのご意見・ご感想、宇野に聞いてみたいこと、お悩み相談、近況報告まで、なんでもお寄せください。



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  • 【特別対談】岸本千佳×宇野常寛 京都の街から〈住み方〉を考える――人と建物の新しい関係(後編)

    2017-09-21 07:00
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    人と建物の関係を結び直す“建物のプロデュース業”=不動産プランナーとして京都を拠点に活動する岸本千佳さん。 かつて京都に住み、現在も京都へ通う宇野常寛とともに、東京と京都、地方における「住むこと」への意識の課題、そして多様なグラデーションの町・京都の可能性について語り尽くす、これからの「住」を考える対談です。(構成:友光だんご)
    ※本記事の前編はこちら

    ■京都は町が拡大している

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    ▲京都駅

    宇野 後編では、岸本さんが拠点を置く「京都」についてお話を伺っていきます。東京で不動産の会社に勤めたあと、独立する土地として京都を選んだのはなぜだったんでしょう? 

    岸本 京都という町については、他の都市とは違うという印象があるんです。東京に比べて建物が圧倒的に魅力的ですし、それを掘り起こしているプレーヤーも少ない。そこに可能性を感じたのが理由ですね。

    宇野 僕も京都に7年間ほど住んでいましたが、京都の人々の気質については、難しい人が多いなという印象があります。

    岸本 確かに悪い噂が広まりやすい面はあるかもしれませんね。でも逆に、いい評判も数珠繋ぎで広がるので、きちんとした仕事は評価されやすい土地柄だと思います。
     それに京都は、東京とは違った意味で、京都は世界中から一目置かれている都市なんです。でも、そのブランド力に、生粋の京都人はあまり気付いていません。京都を客観的に見ることのできる人の方が価値を付与しやすいので、その点において、私にもできることがあるのかな、と思っています。

    宇野 岸本さんが京都に戻られたのはいつ頃ですか?

    岸本 2014年の11月でしたね。

    宇野 今起きている観光バブルが始まる直前ですね。京都が大きく変わり始めたタイミングで、不動産プランナーという新しい仕事を始めたんですね。

    岸本 今思うと凄いタイミングです。あの頃からの京都の変わりようは凄いですから。以前は市バスで外国人を見ることなんてありませんでした。よく地元の人たちは適応できているなと感じます。

    宇野 僕が京都に住んでいたのは1999〜2006年頃ですが、当時はこんなに海外からの観光客が町を歩いていませんでしたからね。ここ4、5年、京都精華大学で教えている関係で、頻繁に京都へ来ているんですが、「京都も変わったな」と感じながら、変な居心地の良さもあるんです。大人の男が昼間からラフな格好で歩いていても、大陸からの観光客だと思ってもらえる(笑)。いい意味で、放っておいてくれる町になりました。

    岸本 仕事柄、町中でよく写真を撮るんですが、そういう行為も以前と比べて許されるようになりましたね。私が住んでいるのは西陣で、観光地エリアではなく住むための町なのですが、今では路地にたくさんの観光客が来ますし、宿のあるエリアも、どんどん外へ広がっているんです。

    宇野 京都は今、町が拡大しているんですね。

    岸本 この2、3年で確実に変わっています。その一方で、誰も京都のことをきちんと見ていないとも感じるんです。観光地としてのミーハーな見方ばかりで、生活の場所としての視点がない。

    宇野 たとえば、僕は桂や久世橋のあたりが結構好きだったりする。京都の西側は東側と比べてるとファミレスやブックオフが点在する普通の住宅地なのだけど、その中に突然、1000年以上の歴史を持つ寺があったりする。あのハイブリット感が魅力だと思うんですよね。日常空間の中に、非日常が入り込んでいるような面白さがある。
     岸本さんの著書『もし京都が東京だったらマップ』は、不動産業の経歴がある人ならではの本だと思いました。町というのは総論で語られがちなんだけど、この本では固有の建物にアプローチし、一駅一駅、建物一つ一つの個性に向き合っている。

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    ▲出町柳

    岸本 ひとつのイメージでは括れない、モザイク状で多様性のある町が京都なんです。それがこの本で一番伝えたかったことです。


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