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  • 【緊急対談】平林久和×尾原和啓 『Pokémon GO』はいかにして世界を変えたのか――Googleと任天堂が考えるソーシャルゲームの未来 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.653 ☆

    2016-07-27 12:0043分前
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    【緊急対談】平林久和×尾原和啓
    『Pokémon GO』はいかにして世界を変えたのか
    ――Googleと任天堂が考えるソーシャルゲームの未来
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.7.27 vol.653

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    今日は、ゲームアナリスト・平林久和さんと尾原和啓さんの対談をお届けします。世界的なブームの中、ついに日本でも配信が開始された『Pokémon GO』について、Googleと任天堂の共同開発の背後に見える、それぞれの企業の理念と哲学。そして『Pokémon GO』が提示した、ソーシャルゲームにおける「正しさ」とは――?

    本記事の元となっている対談はこちらから(動画公開日:2016年7月17日)。


    ▼プロフィール
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    尾原和啓(おばら・かずひろ)
    1970年生。京都大学大学院工学研究科修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Googleなどの事業企画、投資、新規事業に従事。また、ボランティアで「TED」カンファレンスの日本オーディションにも携わる。米国西海岸カウンターカルチャー事情にも詳しい。著書に『ITビジネスの原理』(NHK出版)、『ザ・プラットフォーム――IT企業はなぜ世界を変えるのか?』(NHK出版)がある。

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    平林 久和(ひらばやし・ひさかず)
    株式会社インターラクト 代表取締役
    1962年、神奈川県生まれ。1985年、青山学院大学卒。同年、出版社(現・宝島社)に勤務。テレビゲーム雑誌創刊編集者を経て、1991年に独立。株式会社インターラクトを設立。テレビゲーム産業の専門家として注目され、雑誌『AERA』誌上にて"ゲームアナリスト"と命名される。テレビゲームに関する記事を初めて新聞紙上にて日刊連載した(「日本工業新聞」)。現在の仕事「コンサルタント・執筆業・講師」。著書『ゲームの時事問題』『ゲームの大學』等12冊。


    ■ゲームとITの原点を知る2人から見た『Pokémon GO』
     
    尾原 いま話題になっている『Pokémon GO』をテーマに、平林久和さんと緊急対談を設定させていただきました。読者の中には、平林さんのことを御存知ではない方もいらっしゃると思うので、まずは簡単な自己紹介からお願いします。

    平林 はい。肩書きはゲームアナリスト、職業は物書きですね。コンサルタントなどもやっています。

    尾原 平林さんのすごいところは、「ゲームアナリスト」という業種を作ったことですよね。

    平林 ゲームアナリストという肩書きは自分から名乗ったのではなくて、「雑誌でゲームのことについて書いている変な奴がいるぞ」ということで、名付けられたんですよね。まあ、そんなことをやっております。

    尾原 あらゆるゲームプラットフォームの栄枯盛衰を見てこられた歴史家であると同時に、深い洞察の目をお持ちなのが、平林さんのすごいところですよね。

    平林 僕が出版社に入社したのは1985年です。ちょうどファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』が発売された年で、新入社員として任天堂に取材に行ったんですが、そのときの係長が宮本茂さんでした。す

    尾原 この話題だけで2時間お話をお聞きしたいくらいです(笑)。

    平林 ちょうどその頃は『ポートピア連続殺人事件』が出た直後で堀井雄二さんが「ドラゴンクエストは当たるかなぁ……」って心配していたんですよね。まだゲーム業界は今みたいに大きくなかった。今ではビックネームのゲームクリエイターたちも、まだ無名の人たちでした。

    尾原 ゲームの黎明期から最前線に立たれているからこそ、見えるものがありますよね。そういう意味では僕も同じようなところがあって、僕はプラットフォームの分析屋であり、今はインドネシアのバリに住みながら、日本ベンチャーのプラットフォーム立ち上げをずっと支援しています。
    なぜ僕が、プラットフォームの分析屋・支援屋になれたかというと、社会人2年目のときに、たまたまiモード立ち上げのプロジェクトに出会えたからです。iモードをNTTドコモ1名、マッキンゼー5名くらいの状態から立ち上げる仕事に関わって、その後もGoogleなどで新規事業に携わる機会を得られた。
    個人としても、小学校4年生という遊び盛りの時期にファミコンがあり、中学生になってパソコンブームがあり、高校生になってパソコン通信ブームが始まり、大学生になったらインターネットがあった。インターネットというプラットフォームの歴史と一緒に歩んできたわけです。お互いに原点を知っているからこその見方ができるところが共通点ですね。

    平林 僕と尾原さんの共通点があるとしたら「宿命」ではないでしょうか。尾原さんは伝統的なエリートの道を歩むこともできたけど、世の中で起きていることを考えると、進む道を自分なりにアレンジしなければならないと思ったはずです。僕も僕なりに中規模の出版社に入ったのですが、その中で普通にやっていくのではなくて、ゲーム業界の状況に合わせて、自分なりに方法を変えなければならないと思った。宿命に逆らうわけではないが、かといって乗るわけでもない、というような「宿命に半分従い、半分逆らう。そんなお仲間」として実は見ています。

    尾原 なるほどですね。その観点から今日の本題に入っていくと、僕たちは新しい地平が現れたときに、そこにすごく興奮して、それを誰よりもわかりやすくほかの人に説明することに宿命を感じていると思うんですよね。そう考えたときに『Pokémon GO』は、「みんなが熱狂している」とか、「たった3日間ですごい金額を稼ぎ出した」みたいな現象面ばかりに目を奪われていて、なぜあれほどみんながハマるのか、『Pokémon GO』が現れたことによって、ゲームやスマホの形がどのように変わっていくのかについて語る人がまだ少ない。今日はそこを話せればと思います。そういう意味で、平林さんがおっしゃっていた『Pokémon GO』の面白さは、Googleと任天堂という全く文化の異なる日米の会社が始めたというところから来ているという視点は、すごく面白いと思います。

    平林 まずそこから話しましょう。僕はゲームアナリストとして『Pokémon GO』について聞かれることは非常に多いんです。一昨日もテレビの収録で30分以上話しました。だけど、使われたのは20秒くらいだった。

    尾原 それはもったいないですね。


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  • 『ズートピア』ーーディズニーの自己批評路線が作り上げた、嫌になるくらいの完成度(イシイジロウ×宇野常寛)【月刊カルチャー時評 毎月第4水曜配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.652 ☆

    2016-07-27 07:005時間前
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    『ズートピア』ーーディズニーの自己批評路線が
    作り上げた、嫌になるくらいの完成度
    (イシイジロウ×宇野常寛)
    【月刊カルチャー時評 毎月第4水曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.7.27 vol.652

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    今朝のメルマガは、映画『ズートピア』をめぐるイシイジロウさんと宇野常寛の対談をお届けします。高い完成度のシナリオで右肩上がりのヒットとなった本作。絶妙なさじ加減で盛り込まれた政治性と、3DCGが可能にした柔軟な映画作りの可能性、そしてディズニー買収後のピクサーが失ったテーマについて論じます。

    公開後は各所で話題となり、興行収入は右肩上がりとなった同作。その完成度の高さの理由とディズニーアニメとしてのすごさを語りました。(初出:「サイゾー」2016年7月号(サイゾー)


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    出典

    ▼作品紹介
    『ズートピア』
    監督:リッチ・ムーア/バイロン・ハワード 脚本:ジャレッド・ブッシュ/フィル・ジョンストン 制作:ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 公開:2016年4月23日(日本)
    進化によって、肉食動物と草食動物が仲良く共存できるようになった世界の大都会「ズートピア」。ウサギ初の警察官となったジュディと、この世界にあっても嫌われ者のキツネゆえひねくれた詐欺師ニックのコンビが、ズートピアで起きる連続行方不明事件の調査に当たる。その過程で変わってゆく2人のバディ的関係を軸に、種族を超えた共存が可能になってもなお続く差別や偏見を明確に描く。

    ▼対談者プロフィール
    イシイジロウ
    ゲームデザイナー/原作・脚本家。株式会社ストーリーテリング代表。1967年兵庫県生まれ。
    広告・映像業界を経て、老舗ゲームデベロッパー(株)チュンソフトに入社。その後(株)レベルファイブに移籍。
    2014年独立。2015年株式会社ストーリーテリング設立。
    代表作:ゲーム作品では「タイムトラベラーズ」「428 ~封鎖された渋谷で~」「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!」アニメ作品では「モンスターストライク」「UNDER THE DOG」など。

    ◎構成:須賀原みち

    『月刊カルチャー時評』過去の配信記事一覧はこちらのリンクから。


    イシイ 『ズートピア』、自分のようなクリエイターからすると、鼻につくぐらいよくできていましたね。「(ジョン・)ラセター【1】、ここで絶対ドヤ顔してる!」って思うところが何度もあって(笑)、嫌になるくらいの素晴らしさでした。これまでディズニーが作り上げてきたアーカイブを破壊するような邪道的なことをやりながら、エンターテインメントの文法にしっかり則っているから観客にも伝わるし、エンタメ作品として成立している。完成度が高すぎます。
    【1】ラセター:1957年生まれ。ディズニーでアニメ制作のキャリアをスタートさせ、インダストリアル・ライト&マジックに移籍。その後ピクサー創設に携わり、同スタジオ初の長編『トイ・ストーリー』をヒットさせる。現在はピクサーとウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの両方でCCOを務める。

    宇野 アニメーション映画の宣伝って、「このキャラクターが動くところが観たい」と思わせるのが重要じゃないですか。『ズートピア』はそのルックスが地味で、どうなのかな?と思っていた。でも実際に観てみたら、とにかく感心しましたね。設定や筋立ては結構いい加減なところもあると思うのだけど、そういう穴をかなり露骨に現実の比喩だと宣言することで無効化してしまう、というやり方でしょう? ディズニーがファンタジーの力を使って現実のヤバさをえぐり出してくるタイプのものを、このレベルで出してくるとは。

    イシイ 僕もコマーシャルを見ただけだとそんなに惹かれていなくて、「ステレオタイプなバディものだな」って思いながら観に行った。しかも、主人公のジュディが、最初は理想主義すぎて印象が良くないんですよ。ところが、10分も観ていると彼女を応援せざるを得ない気持ちになってしまう。その演出とシナリオの積み上げ方のうまさとテーマ性がセットになっていて、よく効くようになっていた。

    宇野 後味のコントロールが絶妙なんですよね。物語の中ではすごくキレイに完結してスッキリしている半面、例えば会見のシーン【2】で「自分がジュディの立場だったらどう答えたか?」とか、現実に持ち帰って考えさせるようにしている。政治的なメッセージが鼻につくという人もいるかもしれないけど、現実の問題を作品に取り込むことで、非常に奥行きの深いアニメーションを構築していたと思う。程よくモヤモヤを持ち帰らせているのがとにかくうまい。アニメに現代の現実を持ち込むと、作品の世界が壊れてしまうことも多いけど、本作は、そのバランス感覚が巧みだった。もともとディズニーはこういうことが苦手な印象があったんですよ。ディズニーランドじゃないけど、“夢の国”を作るのがディズニーで、社会的なものを取り込むのはピクサー、という感じで。
    【2】会見のシーン:物語の中盤で、凶暴化した肉食動物たちが隠されていたことが発覚した際、発見者としてジュディが記者会見を行う。そこで「肉食動物の本能の危険性」を語ってしまい、ニックと仲違いすることになった上、社会で肉食動物が迫害されるきっかけを作ってしまう。


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  • 落合陽一自身が読み解く『魔法の世紀』 第6回 デジタルネイチャーをいかに生きるか(毎月第4火曜配信『魔法使いの研究室』)☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.651 ☆

    2016-07-26 07:00
    540pt

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    落合陽一自身が読み解く『魔法の世紀』
    第6回 デジタルネイチャーをいかに生きるか
    (毎月第4火曜配信『魔法使いの研究室』)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.7.26 vol.651

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    今朝の「魔法使いの研究室」では、『魔法の世紀』の第6章「デジタルネイチャー」を取り上げます。有史以来、人間はイメージと物質の狭間を彷徨ってきました。約500年続いたパラダイムに変化が訪れ、人間・自然・コンピュータの境界線は消失しつつあると説きます。あらゆるものが記述され、計測される超自然の中で我々はいかに哲学を定義し生きていけば良いでしょうか。自身が主宰するラボの名前にも冠される「デジタルネイチャー」の世界観の全容とは――?
    【お知らせ】「魔法使いの研究室」は今回が最終回となります。来月からは、落合陽一さんによる新連載「デジタルネイチャーと幸福な全体主義」が始まりますので、ご期待ください。


    ▼『魔法の世紀』第6章の紹介
    『魔法の世紀』の最終章である第6章では、来るべき「魔法の世紀」の具体的なビジョンである「デジタルネイチャー」へと至るヒントが語られます。
    人間の感覚器の限界をはるかに超えたテクノロジーの登場と、場としてのコンピューテーショナル・フィールドの構築。「エーテル」という概念の導入――。アナログとデジタルの境界は融解し、コンピュータが森羅万象を記述する、新しい世界の訪れを予見します。

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    【発売中!】落合陽一著『魔法の世紀』(PLANETS)

    ☆「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ。研究者にしてメディアアーティストの落合さんが、この世界の変化の本質を、テクノロジーとアートの両面から語ります。
    取り扱い書店リストはこちらから。

    ▼プロフィール
    落合陽一(おちあい・よういち)
    1987年東京生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程を飛び級で修了し、2015年より筑波大学に着任。コンピュータとアナログなテクノロジーを組み合わせ、新しい作品を次々と生み出し「現代の魔法使い」と称される。研究室ではデジタルとアナログ、リアルとバーチャルの区別を越えた新たな人間と計算機の関係性である「デジタルネイチャー」を目指し研究に従事している。
    音響浮揚の計算機制御によるグラフィクス形成技術「ピクシーダスト」が経済産業省「Innovative Technologies賞」受賞,その他国内外で受賞多数。

    『魔法使いの研究室』これまでの連載はこちらのリンクから。
    ▼放送時の動画はこちらから!
    放送日:2016年4月19日

    ◎構成:長谷川リョー


    ■イメージと物質の境界を超越する
     
    『魔法の世紀』の解説は、今回が最終回となります。最終章のテーマは「デジタルネイチャー」です。

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    まずは簡単に、これまでの復習をしておきましょう。前回までは、イメージと物質の話をしてきました。有史以来、我々はイメージと物質のギャップの中にいました。古代人が洞窟の壁に牛や狩猟の様子の絵を描いていた頃から、我々が目で見えている物質世界と、頭の中で処理されるイメージとの間にはギャップがありました。
    たとえば「技術のイデア」という観念について考えてみましょう。これは我々の脳内にはありますが、物質世界には目に見える形で存在していません。人々がイメージを絵画として描いたり、文字として残したりする行為は、そうしたギャップを埋める機能を果たしていたわけです。

    そうした中で、僕はメディアアートに取り組みながら、「コンテンツなき芸術は存在するだろうか?」という問いをずっと抱き続けてきました。普通は、メディアの中にコンテンツがあることによって「芸術」とされるわけですが、コンテンツがなくてもアートは成り立つのではないか。メディアを作り続けることそのものが芸術になるのではないか、という問いです。

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    このメディアとコンテンツの関係性が顕著に表れるようになったのは1800年以降のことです。この頃は人類史に残るような発明が相次いているのですが、その一つが写真技術の発明でした。写真はフランスの発明家ニセフォール・ニエプスによって世界で初めて撮影されましたが、世界で最初の写真はとても見れたものではなかった(写真左)。それからわずか20年後には、銀板写真の登場によって、美しく優れた写真が撮れるようになります(写真右)。これは技術の進歩そのものが新しい表現を獲得した、よい例なのではないかと思います。

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    僕が普段何をしているかといえば、宇都宮大学にあるレーザー装置でプラズマを作ったり、超音波を出したりしています。これは従来のアーティストのクリエイティブのプロセスとは全然違いますよね。
    僕の最近のテーマは「イメージと物質の境界を超えること」です。例えば昨年に発表した、プラズマを用いて空中に光の絵を描いた『Fairy Lights in Femtoseconds』もその一つですね。イメージのように現れて、物質のように振る舞うようなものを作るのは、なかなか大変なんですが、いずれにしても物質と映像の探求を突き詰めていく中で、頭の中にあるイメージをいかに物体化させるかということが非常に重要になっていきます。ちなみに、ここで僕が言っている「イメージ」はベルクソンが『物質と記憶』の中で言っている「イマージュ」と同義ですね。

    1891年にエジソンがキネトスコープを、1895年にはリュミエール兄弟がシネマトグラフを発明したことで、20世紀は「映像の世紀」となりました。映像文化によって一つの巨大なイメージを大衆が共有する時代の到来です。
    映像技術とは、時間と空間を二次元平面に落とし込むことによって保存を可能するテクノロジーです。そこから我々は、いかにしてモノ自体を記録したり出力したりするか、という領域まで踏み込んできています。今、世界には「ゲノムを編集する」とか「プラズマで触れるホログラムを作る」といった発明を続けている人が大勢います。こうした潮流によって21世紀の世界は変わっていくのではないか、もっと言えば、デジタルネイチャー的になっていくのではないか、ということが『魔法の世紀』には書かれています。


    ■近代的な〈人間性〉という概念の解体

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    20世紀のキーワードをもう一つ挙げておくと、「二次元イメージの共有」があります。例えば、宗教革命は活版印刷の発明にともなう二次元イメージの共有によって引き起こされていますし、世界大戦もイメージの共有がもたらした社会変化の一つだと思います。


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