前回の「中山間地編・その3」で、「新しい若者像が生まれつつあります」といっていた結城さん。実際に、農山村へ向かう若者が増え、そこで暮らす人達が新しい生き方を作り出しているようです。

今回は、来年で20年を迎える「緑のふるさと協力隊」にスポットを当てたお話です。

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【結城登美雄の食の歳時記#23】農山村へ向かう若者たち「緑のふるさと協力隊」(中山間地域編・その4)

興味深い動きがあります。「緑のふるさと協力隊」という事業が1994年から行われています。これはNPOの「地球緑化センター」というところが農水省や内閣府、文科省あたりからバックアップを受けながらやっている事業です。若者を1年間、農山村に派遣して農業や林業を手伝いをしてもらうという事業です。山村留学とは違いますが、若者の山村体験、私も都会に育った若者があんな山奥の中山間地域に行くはずがないと勝手に思っていましたが、意外や意外、若者たちはたくさん生まれ育った都会を離れて山村に向かっています。

では、緑のふるさと協力隊というのはどういう仕組みか。まず受け入れる自治体が山村で1年間の生活の保障をすします。5万円の手当で内訳は生活費が2万円、食費が3万円だけです。あとは寝泊まりする宿舎をあてがうというものです。それで人が行くはずがないと思っていましたが、たくさんの若者が行っています。2006年には、43人の若者が全国30の市町村に派遣されて活躍してきました(※編集部注:2013年には50市町村へ拡大しています)。

農業活動や森林整備活動はもちろん、自治体がもっているキャンプ場やスキー場の整備などや受付、なかには特産品作りなんかもやっている若者もいます。地域で行うイベントのお手伝い、あるいは役場の事務の補助活動などをしながら懸命に汗を流しています。そういう若者と毎月1回の手紙のやり取りをしていて、最初の方は不安そうなのですが、月日が経つと手紙の内容が変わってきて、何となく手応えを感じている様子が伺えます。1年が終わって再び会うと、驚くことに出発のときのひ弱さが消え、山村農村に鍛え耐えられて非常にたくましくなって帰ってきます。今までたくさんの若者が各地に行き活動してきましたが、リタイヤする若者はあまりいません。

それどころか帰ってきてからその後どうするかというと、調査をしたら3分の1、約34%ぐらいは地元に残って定住しています。都会育ちの若者がただでさえ大変な山村に行って逃げ出すかと思ったら、そこで経験を深めて土地の人と仲良くなって農業現場に関わって暮らしていく。そんなところから若者と農業という方向が見えてくるのではないかと思っています。

緑のふるさと協力隊について詳しく知りたくて、地球緑化センターに問い合わせてデータをもらい、それを見てびっくりしました。まずどういう人が山村に向かっているのかというと85%が20代です。30代が13%、10代が2%、40歳が1%(2009~2013年度)。

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最近5年間の参加者動向:平成21年度~25年度の238人の割合(地球緑化センターHPより)

「20代の若者」と一般的に大人が考えている若者像をちょっと裏切るような、頼もしいプロフィールが浮かび上がってきます。参加前の職業を見ると、(無料ここまで1,120文字/2,014文字中)