プロレス事情通Zが業界のあらゆる情報を線に繋げて立体的に見せるこのコーナー「プロレス 点と線」。今回は「世Ⅳ虎の引退セレモニー」について。因縁の地・後楽園ホールで何が起こったのか?(聞き手/ジャン斉藤)


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――今回はスターダム後楽園大会で引退セレモニーを行なった世Ⅳ虎選手についてお聞きします。

 うーん、「引退セレモニーを行なった」と言えるのか難しいところですが……。

――セレモニーの最中に引退を慰留すべく選手たちが乱入したことで結局テンカウントできずに閉式してしまって。

 セレモニーのやり方に対してスターダムに批判の声が挙がってますけども、誰もが傷ついた世Ⅳ虎vs安川惡斗騒動の最後の最後に、かすかな“希望”が残ったのではないか? という見方を私はしてるんです。

――パンドラの箱ではないけれど……。

 今回のスターダム後楽園ホール大会。世Ⅳ虎選手が姿を現わした途端、会場は「世Ⅳ虎!」コール一色。ほとんどのお客さんは「世Ⅳ虎やめないでくれ!」という思いを抱いて見守っていたと思うんですよね。

――事情通Zさんは騒動勃発時から「世Ⅳ虎vs安川惡斗はシュートマッチではない」と見立ててきましたが、多くのプロレスファンもそういう認識なんでしょうね。

 会場に来るような方々は試合映像をちゃんと見ただろうし、至って冷静に捉えていた。あの試合は凄惨試合、シュートマッチではなかったと理解しているんだと思いますね。少なくとも世IV虎選手は一方的な“加害者”というわけではないし、責任を取って引退する必要はまったくないと。

――それなのに、このタイミングで世Ⅳ虎選手が引退を決意したのはどういう背景があったんでしょうか。

 引退発表されたときの世Ⅳ虎選手のコメントは「スターダムで試合をしたくないけど、スターダムでしか試合をしたくないので引退します」というものでしたが、そこは心からの思いでしょう。ヤンキーだった世Ⅳ虎選手はスターダムGMの風香さんの手で発掘され、更生し、プロレスの素晴らしさを知った。スターダム及び風香選手に世Ⅳ虎選手が恩義を感じてるのは間違いないので、スターダム以外で試合をする気はない。でも、スターダムで試合をする気もないわけですよね。

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