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* 堀潤のテレビでは言えない話 vol. 28*
~「たった一人の闘い」の巻~
発行:8bitNews 2014.5.12 (毎週1回発行)
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http://twitter.com/8bit_HORIJUN
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皆さん、こんにちは!
ブロマガの更新がすっかりご無沙汰してしまい申し訳ありませんでした。
2月、3月、4月は新番組の立ち上げ、NPO法人8bitNewsの新事業の立ち上げに謀殺されておりました。あまりの忙しさに睡眠不足とストレスで10キロ近く太ってしまうとう始末。
ただただ「ここで倒れてはいけない」と、ブロマガ執筆の時間を睡眠に充てさせていただいた所存です。
皆さんの温かいご声援とご理解でなんとか、生きながらえております。
本当にありがとうございます。
さて、4月からTOKYO MX「モーニングCROSS」がスタート。
「聖域なきニュース」と題して、webメディアやtwitterとの本格的な連動、データ解析専門企業との連携によるビックデータ活用、8bitNewsとの連動による市民参加型ジャーナリズムの模索など、僕が去年4月にNHKを退職して以来目指してきたニュースルームの改革が少しずつ形になってきました。
まだまだ志半ばですが、昨年夏に自分のマニフェスト的な意味合いを込めて出版した「僕らのニュースルーム革命」(幻冬舎)で描いた、パブリックアクセスの導入やデータジャーナリズムの実践にスタッフ達が共感してくれ、テレビマンやweb界隈の皆さんがそれぞれの理想と重ね合わせながら着実に一歩を踏み出しています。
モーニングCROSSの取り組みについては、初回からゲストとして参加してくださっている、プロブロガーのイケダハヤトさんが出演した感想と分析を「イケハヤ書店」の中で記事にしてくださっています。
記事は4月のはじめ。その後、番組は進化を続けており、Twitter連動の形としておそらくテレビニュースではじめてとなるTwitterの画面をそのまま小型のCCDカメラで生放送で映し出すというギリギリの試みも今はモーニングCROSSらしい演出として定着しました。
放送できないような言葉、本質を突きすぎていてテレビで紹介できなかったような本音のコメントも、絶えず映り込んでいます。もちろん、僕の方でもそうしたコメントをしっかり拾っていくようドキドキしながらキャスターワークに励んでいます。
先週からは、あらたな試みとして「みんなのニュース」というコーナーを立ち上げました。
これは生放送中にTwitterで寄せられた「このニュースを取り上げてほしい」という皆さんからの要望にその場で応えていくという試みです。事前に準備されたニュースではなく、その場でキャスター、コメンテーター、そして視聴者の皆さんが一丸となってその問題を読み解いていくというコーナーです。
リスクをおそれないTOKYO MXならではの姿勢で、僕としては大変うれしい限りです。
もちろん、まだまだ改善したりチャレンジしなくてはならない取り組みが沢山あるのですが、皆さんからのご意見を頂戴しつつ、みんなで新たな道を切り開いていくことができればと思っています。
その他、去年秋からはじまったtvk・テレビ神奈川とGoogle社との協業による「堀潤のつながるニュース」も成果をあげています。地域からの市民発信でマスメディアがカバーしきれていない現場の情報発信をしっかりと担ってくれています。
今年2月の大雪被害はまさに孤立した集落の内側からの映像発信が多いに力を発揮しました。孤立し、雪崩に見回れ極寒の夜を過ごす中救助を求めた「学生達からのスマホ映像」は8bitNewsにアップロードされるや否や20万回以上再生され、自衛隊の早期到着に結びつきました。地域の市民の声や食料事情を伝えた動画も貴重な情報でした。
今年3月に、神奈川県の三浦沖で発生した韓国とパナマ籍の貨物船同士の衝突事故により流出した油が、沿岸部のひじき漁に大きな打撃を与えた現状を取材した動画もありました。テレビ・新聞の取材もおよばなかった分野で、まさに地元の市民が発信したことにより、その後マスコミが注目することになりました。
tvkやTOKYO MXのこれらの番組では、映像はもちろん、取材・撮影を行った市民と直接Googleハングアウトを結んでインタビューするなど、市民メディア×マスメディアの形をあらたに指し示すものとなり僕としても大変うれしい前進でした。
新聞社との協業も進んでいます。
8bitNewsと毎日新聞、Google社が共催する「毎日女性会議」。
一般の女性達が20代から60代まで毎回30人規模で受講生の女性が集まり、それぞれの日常で抱える悩みや課題、疑問について自ら発信し、社会を変えるプロジェクトで、毎月ワークショップ形式ですすめています。セクハラやパワハラ、機会の不平等など労働現場での問題や、医療、子育て分野など、女性達が毎回課題を発表し合いながら一方でスマホ動画の撮影や編集、ネットへのアップロードの方法を学ぶなどして個人の発進力を高めています。最終的には政治や行政の分野とも情報共有を行い、きちんとした政策提案まで持ち込むのが狙いです。
自らの発進で、社会を前進させることができればという願いです。
さらに、博報堂のクリエーター、山田エイジさんが立ち上げたwebマガジン「Le toit(ルトワ)」との共同プロジェクト「ジャーナルツーリズム」の実施にも力を入れています。
市民とプロのジャーナリスト、メディア人達が一緒に旅をしながら取材をして発進力を高め合う試みで、夏には第二回目の実施となります。
第一回は「農業の今」でした。ジャーナルツーリズムがどのような取り組みなのかこちらに写真付きでリポートが掲載されています。ぜひ、ご覧になってみてください。
第二弾は今年の夏。福島を訪ねます。参加者を募集中ですのでぜひアクセスください。
今後ともご支援よろしくお願い致します。
そして、このブロマガをご覧のメディア関係者の皆さん、
一緒に何か新しいことを始めたいとお感じになった場合はぜひご連絡下さい。
お問い合わせは、hori@8bitnews.org までご一報を!
宜しくお願い致します。
という訳で。
今号のコンテンツはこちら!↓
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├○ 堀潤のテレビでは言えない話 vol.28:2014.5.11
├○ 01.【ルポタージュ】
├○ マスメディアが報じない本当の○○
├○ 「元原発作業員が東京電力以下6社と闘う「ピンハネ撲滅闘争で新たな事実」
├○
├○ 02.【ルポタージュ】
├○ 次世代メディアへの創造力+α
├○ 「VRと3Dデータがメディアを変える」
├○
├○ 03.【ルポルタージュ】
├○ そうだ!ニュースを語ろう
├○ 特別対談 「倉本聰×堀潤 『東日本大震災、そして原発事故後の日本 風景はどう変わった』」
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過去のブロマガはこちら
「発信は誰にも止められない vol.27」
→http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar456221
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┗■ 02.【ルポタージュ】
マスメディアが報じない本当の○○
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テレビでは言えない話、というタイトル通り「テレビでは扱い辛い」
という理由で、なかなか放送されない話題も沢山ある。
国家や大企業を敵にまわしがちなテーマについては、局側の判断で、
ニュアンスが弱められたり、企画そのものが採用されなかったりする場合もある。
このコーナーでは、そうしたマスメディアが報じない現場の実態をルポ。
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元原発作業員が東京電力以下6社と激闘
ピンハネ撲滅闘争で新たな事実
◆原発作業員の告発
2012年6月、長野県でつとめていた自動車販売会社を辞め、自らネットで見つけた原発作業員の求人に応募して東京電力福島第一原発の収束現場に向かった林哲哉さん(42)。
原発作業員としてF1の収束作業の一部に関わって来た。
現場で目の当たりにしたのは多重下請け構造の中行なわれる、様々な不正とピンハネの実態。18、19の未成年も含め、放射線作業の知識や経験もない素人集団が、十分な教育も受けられないまま、経歴を詐称させられ日当1万円に満たない安い賃金で現場に送り込まれる現実に直面した。
林さんはこうした作業員の労働環境をあらためないと、第一原発の収束作業に未来はないと考え、自らが見聞きした不正の実態を映像で告発した。※8bitNews「【実名告発・特ダネ】原発作業員を「嘘の履歴書」で現場に。下請け構造不正の実態」参照
原発の収束作業は今後何十年にも渡って続けられる。誰かが現場にいかなくては、事故の収束はない。それにも関わらず、現場の作業員たちに対する使い捨ての構図はあまりにも不条理であり、杜撰だ。誰が労働者の権利を守るのか。今、変えなければこれから生まれてくる子ども達までも、その不正の温床と向き合わなければならない。
林さんは、一昨年8月24日、非正規労働者でつくる「派遣ユニオン」とともに、東電福島第一原発の収束作業を行なう東京電力以下、下請け企業6社に対し一斉の申し入れを行なった。「ピンハネをやめさせ、現場作業員が危険手当を受け取れるような制度をつくって欲しい」。
多重下請け構造の中、作業員の給与や勤務管理はいわばブラックボックス。情報をオープンにし、若い世代が希望を持って働ける環境をつくらなくては将来、誰もあの福島第一の廃炉収束作業に関わらなくなってしまうと林さんは危機感を心に抱く。
そうした中、2014年5月12日、東京都庁でこの問題を取り扱う労働委員会が開催された。申立人は林哲哉さん、弁護士、派遣ユニオン関根書記長。被申立人は東京電力とそこに連なる下請け企業各社。双方の弁護士が都庁34階の会議室に集まり、「ピンハネの実態はあるのか」「不当労働行為はあったのか」など4回目となる協議の場が持たれた。
その協議の中で、東京電力と下請け各社との主張の間に食い違いが存在することがわかった。
危険手当分の金額を織り込んで下請けに発注していると主張する東京電力。
一方で「受注の際に危険手当という枠はそもそも存在しない」と証言する下請け企業。
一体、作業員が本来受け取るべき金はどこで消えてしまっているのか?
コメント
コメントを書く林さんのお話ももちろんですが、倉本聰さんとの対談はとても興味深くて良かったです!
もっとたくさんの人に見てほしいですね!!(^^)