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あえて言うが、今回のHagexさんの事件については、株式会社はてなが一番悪い。
なぜなら、はてなは今回の事件を事前に予見できていたからだ。
その可能性があることを十二分に分かっていた。それにもかかわらず、放置していた。
その可能性があることを十二分に分かっていた。それにもかかわらず、放置していた。
なぜはてながそれを分かっていたかといえば、ぼくが2009年にはてなの東京本店に赴いてそのことを進言し、それをはてなの役員は確かに聞いたからだ。しかもぼくはブログにもそのことを書き、それははてな内でバズったので、多くのはてな社員もそれを読んだだろうからである。
そのブログ記事を、少し長くなるが、以下に引用したい。
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ぼくは今日はてな東京本店にお邪魔してこの前みたいにまた川崎さんとお話しさせて頂いた。
(中略)
ぼくが何を申し上げたかというと、それは「言葉の怖さ」についてだ。言葉は本当に怖い。しかしはてなはそれについて無自覚すぎる、あるいは知らなすぎるということを申し上げた。それが大変に危険であると申し上げた。いつかそれで深甚な影響が出るのではないかと危惧していることを申し伝えた。
「あなた方は言葉の怖さを知らなすぎる」と言った。「もっと知るべきだ」と言った。「もっと知って、もっと自覚して、それに向き合い、安全な場所にする責任があなた方にはある」と申し上げた。
「それが、インターネットのサービス業者としてはもちろんのこと、それ以前に一企業として、あるいは一人間として、そのことをもっと知って、もっと留意して、もっと気をつけるべきだ」と申し上げた。
言葉は怖い。本当に怖い。言葉というものは、もし熟練者(あるいは手練れ)がそれを悪用して、誰かのことをおとしめようと思えば、あるいは誰かのことを傷つけたり、不可逆的に損なおうとすれば、法律に触れないのはもちろんのこと、誰にも気付かれないうちに、あるいはやられた本人さえ分からないままで、秘密裏にそれを行うことができる。もし言葉に習熟した使い手が、それを、誰かの精神を二度ともとの状態には戻れないほどに痛めつけるための道具として悪用すれば、それは驚くほどの効果を発揮するのだ。
しかしもちろん、天網恢々疎にして漏らさずで、そんなことをすれば、使った方もまた、大きく痛めつけられる。大きく損なわれる。ニーチェの「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」というやつだ。だから、言葉の熟練者は、そういうことをしない。彼らは、言葉の怖さというものをよく知っていて、それを悪用することの弊害もまたよく知っているからだ。
しかし時折、何かの拍子に言葉の怖さを知らないままそうした力を手にする者もいる。それは、ナイフの使い方を知らない人間が何かの拍子にナイフを拾うようなものだ。彼らはナイフの使い方を知らず、それゆえナイフの本当の恐ろしさも知らないから、無邪気にそれを弄んだり、あまつさえ、人に向けて突き出したりする。そうするうちに、自分ではそれとは気付かないうちに、誰かを深甚に痛めつけてしまうことがあるのだ。
それが言葉というものの怖さである。そしてインターネットは、そうした言葉が先鋭的に、あるいは突端的に増幅する装置であり場である。だから、そこはとても危険なのである。本来はカッターほどだった言葉の殺傷能力を、サバイバルナイフくらいに、あるいは日本刀ほどに増幅してしまう力が、インターネットには、中でも取り分け「はてなブックマーク」にはある。
だから、そこを管理運営しているはてなという会社には、実はとても大きな責任があるのだ。そこで事故が起きないように気をつけたり、誰かが誰かを傷つけたりしないよう見張っている道義的、かつ社会的責任があるのだと、ぼくは申し上げたのである。
しかし現状、今のはてなにはその自覚はない。そのため、主にブックマーク界隈を中心として、非常に危険な場を形成している。非常に危険な状況を生み出している。それは本当に見ていて危なっかしい。このままでは、冗談ではなく近いうちに人死にが出るだろう。そして、そうなってからでは遅いのだ。そうなってからでは取り返しがつかないのだ。それは、死んだり殺したりした人にとってはもちろんのこと、そういう状況や場を作ったはてなにとっても、取り返しがつかないことなのだ……と、そんなことを申し上げた。
これまで、はてなはそれを知らなかった。だから、無邪気にやっていたという部分があるかも知れない。しかし今日、はてはそれを知ってしまった。ぼくがそれを申し上げたことによって、それを聞いてしまったのだ。だからもう、何か起こった後では、それを知らなかったではすまされない。警告は発せられたのだ。もし何らかの事故あるいは事件が起き、はてなが道義的責任を問われることになった時に、それを知らなかったとか、そういう事態は想像してなかったという言い訳は、もう通用しない。なぜなら今日、はてなはそれを知ってしまったからだ。そしてはてなは、時の流れの不可逆性によって、それをもう知らなかった状態には戻せないのである。はてなはこの先、二度とそれを知らなかったとは言えなくなったのだ。ぼくが今日、それをガツンと一言申し上げたことによって。
(ブログ「ハックルベリーに会いに行く」の記事「ぼくが今日はてな東京本店にお邪魔して一言申し上げたこと」より。2009年6月11日公開)
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ぼくのこの危惧が、今回、ぼくにとって最悪の形で現実化することとなってしまった。
その意味で、ぼくのはてなに対する説得力が足りなかったところは、ぼく自身も大いに反省する必要があるだろう。
しかしながら、それ以上に重大なのは、もちろんはてなの責任である。
上の記事でも明らかなように、はてなは、今回の事件が起こる可能性を十分に予見できていた。
それにもかかわらず、その予見を放置した。
そのことの責任は、くり返しになるが、あまりにも重大だと言わざるをえない。
株式会社はてなは、このことについて、何らかの責任を取る必要があるだろう。
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ハックルベリーに会いに行く
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コメント
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この記事へのはてブの少なさがはてなコミュニティの反省の無さを示していると思っています。
岩崎夏海(著者)
>>1
その通りだと思います。
はてブのコメントもひどいものばかりですね。