オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第131回 冬に聞いた奇妙な怪談のウラガワ(2)
◆もくじ◆
・冬に聞いた奇妙な怪談のウラガワ(2)
・最近の志麻子さん
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
「岩井志麻子の千夜玩具物語」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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怪談シーズンといえば夏と思われがちだけれど、冬にだって、怖い話を聞くことはある。
いや、東南アジアの「常夏の国」で仕入れた話だから、強い日差しとねっとりまとわりつく湿気とともに聞いたのだけれど。
駐在員の梅見さんが行きつけの、日本人駐在員向けバー「猫の恋」。
そこのホステスの水菜という子は、なぜか「主婦でオカルト好き」の人が集まるネット掲示板にハマっていた。その話は謎の「ブルマー男」の話題につながって……。
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2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ」
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ」
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ」
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ」
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ」
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ」
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ」
6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ」
7月「異国の夏休みのウラガワ」
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ」
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ」
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ」
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ」
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ」
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ」
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ」
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ」
5月「距離感のおかしい人たちのウラガワ」
6月「台湾から連れてこられたある女性のウラガワ」
7月「大人の夏の観察日記のウラガワ」
8月「大人だからわかる怖い話のウラガワ」
9月「『志麻子のヤバモンGO』なウラガワ」
10月「取り返せない夏の思い出のウラガワ」
11月「常夏の国で生きる女の秋のウラガワ」
12月「冬を生きながら春を待つ女達のウラガワ」
2017年1月「自分を重ねてしまう若者たちのウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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旧暦では、そして二十四節気に照らし合わせてみれば二月は春。とはいえ体感としては、凍える冬だ。そういう私は一応、ずっと小説も書いている。でも世間からは、芸人と見られることが多い。
そして怪談、肝試しは夏の季語だけれど、幽霊話は夏限定のものではない。真冬にも春先にも、異界の者達は現れる。ホラー小説も、季節に関係なく出版されている。
そういえば私は東南アジア全般が好きで、しょっちゅう行っているけれど。常夏の国にも、もちろん怪談は多い。彼らに、怪談は夏のものだなんて意識はない。というより、年中夏だから、常に怪談シーズンともいえる。
今月は寒い季節に聞いた怪談を紹介しているのだが、そのとき東南アジアでは日本の真夏のような陽ざしが降り注いでいたし、陽が落ちてもねっとりまとわりつく湿気があった。
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駐在員の梅見さんは、東南アジア某国に単身赴任している。行きつけの店がいくつかあるが、日本人駐在員向けバー『猫の恋』もその一つだった。
ここには日本人ホステスも何人かいるが、水菜という子が気に入っていた。
小柄で地味な顔立ちだけれど金髪で派手な格好して、昨日は魂の双子だとか大仰に誉めちぎっていた相手を、今日になるとあいつは不倶戴天の敵だと悪口をいいまくる、情緒不安定な、けっこういい歳の女だ。
OL時代に旅行で来て現地の男といい仲になって、就労ビザまで取った女だった。そこまでやったのに、その男に妻子があるのがわかった。修羅場もくぐったが今さら後に引けないと、こちらにとどまっている。
水菜は日本のネット界では有名な巨大掲示板が好きで、特に「主婦でオカルト好き」限定のスレッドにハマッていて、毎日見ては書き込みもしているそうだ。