南4局オーラスです。トップ目東家(33400点)が役牌を1つ仕掛けて
ポン ドラ
この河です。2着目北家は30000点。その差3400点という状況で――
ピンフのみテンパイ。トップボーナスが大きなルールでどうしますか?
こんなの本来問題にすらなりません。切りリーチ。
「直撃」、「裏」、「ツモ」、いづれかの条件を満たせばトップをまくります。
おそらく100人いたら100人この選択をするでしょう。
ところがを切ってリーチするやつがいた。
この男の名は 鈴木たろう 競技麻雀界で屈指の実績を残すトッププレイヤーだ。
東家に鳴かれるかもしれないリスク、東家に放銃するかもしれないリスクを負ってまで
東家の現物ではなく、敢えてを選んだその理由とは?
・リーチ棒を出すと4300点差、東家にオリられて流局してしまうかもしれない
東家にトップで終了する選択肢を増やしてしまうリスクがあるということ。
・東家はをチーしてテンパイならある程度勝負するはず
テンパイならば流局間際まで勝負する可能性が高い。逆転の条件を満たす項目の一つが「直撃」なのだから、条件を満たす可能性を高める選択ともいえなくもない。
・アガリ止めがないルール。仮に東家のアガリになっても次のチャンスがある
そのように考えれば考えるほど
打リーチ、唸らせるような選択ではありませんか?
第16期雀王決定戦19回戦・南2局東家・ドラ
5巡目、たろうはここからをポンした。
首位の金とトータルで87ポイント差、この半荘でもトップの金と3万点差。
のんきに構えている場合ではない。このまま親流れ = 敗退確実 といった状況なのだ。さらにをポンして2副露、そしてイーシャンテンにこぎつけた牌姿がこちら――
仕掛けたポンとポンがうまくブラインドになっている。
たろうにアガらせたくない上家の金も、これではを抑えにくいだろう。
イーシャンテンになった金から打たれた。当然のテンパイ取りと誰しもが思ったが、たろうはここでに目もくれず、当たり前のようにツモ山に手を伸ばした。
ち、ちょっと待ってくれ
今の状況をもう一度整理しようか。みんなもよーく聞いてくれ。
もう絶対に絶対に落とせない親番で
自分でをポンしている受けのイーシャンテン
仕掛けたらタンヤオドラ2の両面テンパイになるチーをここでスルーしたのだ
一体何事かと思った。だって100人いたら100人がチーする牌ですよ?
それをスルーする意図とは何か? そう、金からの直撃狙いということですよ。
もしもこのままテンパイしようものなら、次のは確実に仕留められる。
チーテンの待ちでは、待ちが透けてしまうので絶対に金をとらえることはできない。
※2枚目のをチーされて「は?、たろうさん何してんの??」となる金の表情
スルーした理由はわかる。多少の余裕がある状況ならそれもわかる。
だからといってこの後がない状況で―― いや、後がない状況だからこそ効果的なのか。
麻雀のセンスとは
100人が100人同じ選択をするような打牌にも
「他に何か良い方法はないか?」と思考を巡らせる柔軟な発想力。
そして 限られた時間の中で思いつくこと、閃くこと なのではないかと思う。この選択が良いか悪いかは別にして、選択肢のひとつとしてあることが素晴らしいと思いました。
コメント
コメントを書くたろうプロの5sスルーは、観ていて本当に痺れました!
以前の雀王決定戦でアガリ牌の見逃しを敢行したプロもいるくらいですから、想像以上に効果的な戦略なのかもしれませんね。
いつもありがとうございます
決定戦仕様ですからねー くれぐれも真似しないように(笑)