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そろそろ「パラレルピック」が始まるのでは
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そろそろ「パラレルピック」が始まるのでは

2016-05-13 23:15

     東京オリンピックの誘致に際し、裏金が流れたのではないかという疑惑が報じられています。

     こういう腐敗は常態化し、私たちは「スポーツの祭典」を心から純粋に楽しむことができなくなっています。それはこの複雑な世の中で仕方のないことでしょうか。

     いえ、様々な背景の元、そろそろ「パラレルピック」たるものが始まると思います。

     やり方は簡単。たとえばオリンピックの狭間の年、たとえば2018年に、比較的マイナーなスポーツたちが協力して、その世界大会を同じ時期にやることにするのです。しかも場所は特に1箇所に集める必要はありません。スポーツごとに毎回の世界大会を決めるのと同じように決めればよいでしょう。最初は10種類くらいでしょうか。

     オリンピックが各スポーツにとってなぜ重要かといえば、世界中の人たちが見るからです。オリンピックの期間は、普段の世界大会よりもはるかに多くの人が見てくれるのです。昔はテレビ中継が大変だったり、そもそもテレビがなかったわけですから、すべてのスポーツが一箇所に集まることが、オリンピックを世界に伝えるために非常に重要でした。

     でも、今は? もはや簡単に世界中に生中継ができる時代です。無理に集まる必要はありません。むしろ24時間どこかの国でどれかの競技をやっている方が、いつテレビをつけてもやっているわけで視聴者を獲得しやすいでしょう。

     テレビといっても、ネットテレビが最適です。ネットテレビであれば、すべての競技を24時間生中継できます。もちろんきちんと解説をつけたり、競技ごとにまとめ映像を作ったり、全体のダイジェストを作ったり、需要に応じて、従来のコンテンツを作ることも可能です。

     今ネットテレビはキラーコンテンツを切望していますから、「パラレルピック」はネットテレビたちが仕掛けるかもしれません。

     ですから、毎回オリンピック競技に採用されるかどうかで不安定な競技たちは、採用のロビー活動に体力を削られるくらいなら、集まって新しい「スポーツの祭典」を作ってしまえばいいのです。

     なにしろ分散開催することで、コストははるかに小さくなります。

     各競技ごとに開催地は違いますから、無理な建設は必要ありません。スタジアムもいつものを使えばいいし、選手村だって作る必要はありません。昔のオリンピックはインフラ整備のきっかけによかったのでしょうが、今は終わったら廃墟になる施設が後を断ちません。

     最近のオリンピックの最大の問題は、規模が大きすぎることです。それをたった一箇所でやろうとするために、コストが跳ね上がっています。

     そのためスポンサーは巨額の支援を求められ、放映権は馬鹿高くなります。東京オリンピックのエンブレムがあれだけもめるのも、スポンサーが独占的に使用できるよう著作権がガチガチに縛られるからです。放送局は高い放映権の元を取るため、とにかく視聴率の取れるスポーツに偏重し、裾野のスポーツはあまり取り上げられません。最近はようやくネット中継で生中継を見られるようになりましたが。

     でも、「パラレルピック」の仕組みなら、もともとの国際試合の寄せ集めですから、やろうと思えばもともとのコストでできます。もちろん、体力のある都市は、一度にいくつかの競技を同時に受け入れればいいでしょう。でもできる範囲でいいのです。ちょうどスタジアムを作るのであれば、そのこけら落としに召致してもいいわけです。

     しかも、そのときは追加で(ネット)テレビ放送の放映権が入りますから、むしろ収入は増えます。つまり、今まで国際試合を世界に放送できなかったようなスポーツが、まず「パラレルピック」の恩恵を受けることになるでしょう。

     もし「パラレルピック」ができれば、マイナーな競技は無理にオリンピックの競技に加わる必要はありません。野球みたいに特殊な競技場を用意しなくてはいけない競技こそ「パラレルピック」に参加すべきです。オリンピックに新たに採用されたり、参加を維持するには、きっと大きな負担があるはずです。それには裏金も必要なことでしょう。でもそんな無理はしなくていいのです。オリンピックが向こうから出てくれと言わないなら出る必要はありません。

     今までのオリンピックは、他に変わるものがないから、今のような強気の運営を強行することができ、それが腐敗の温床となっています。

     しかし、「パラレルピック」では汚職が働きにくいでしょう。招致に関しては比較的マイナーなスポーツが何個かくるだけですから、裏金を使ってまで招致するうまみが少ないです。また運営委員会もオープンな透明性の高いものになるでしょう。そもそも世界大会の寄せ集めですから、全体の運営委員会の権限など大したことないでしょうし。

     お金のあまりかからない、したがって汚職も少ないオープンな「スポーツの祭典」ができれば、私たちは純粋にスポーツを楽しむことができます。必ず人気が出るでしょう。汚れた世界を見て見ぬ振りしながら見る必要がないからです。

     人気が出れば、メジャーなスポーツたちも参加を始めることでしょう。もっとマイナーなスポーツも参加したいと言えば出られます。オリンピックよりもはるかに多くの競技が参加するようになり、ネットテレビでは常時10種類くらいの生放送が進行することでしょう。

     「パラレルピック」が軌道に乗れば、オリンピックも今のままではいられません。一番考えられることは、今も頻繁に検討されていますが、幾つかの都市に分散することです。「パラレルピック」でその形ができるとわかり、しかもはるかに費用がかからないとなれば、一都市開催のオリンピックに立候補する国はなくなります。それより「パラレルピック」の一競技を招致する方がよほどコスパがいいからです。しかも(これは冬ですが)青森がカーリングを誘致するとか、本当に経済活性を必要としている自治体が自分の体力にあった招致ができるのです。

     そうなったとき、オリンピックは今の形を維持することはできなくなるでしょう。そしてオリンピックも「パラレルピック」とは違う形で、オープンでクリーンな「スポーツの祭典」を目指していくことになるのです。


    《ワンポイントミライ》(

    ミライ: 「パラレルピック」いますぐ見たいんですが。どこのインターネッツで見られますか??

    フツクロウ: ホッホ。気が早いの。

     確かに今すぐにでも、ニコ動が10競技くらいに声かけて、始めてしまってもいいくらいじゃの。それだと日本だけになるかもしらんが、日本中に分散すれば、モデルとしては十分検証できるじゃろうて。
     
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