「努力」はオワコン、代わりに「やり抜く技術」を学ぶ社会に(その4) のつづきです。
「やり抜く力」はできるかどうかわからない課題に取り組む力ですから、「がんばればできる課題」を与える学校では、それを鍛えることが一見できません。今までの学校は「やり抜く力」に対してほとんど無力でした。
そこで学校が何ができるのかが次の興味ではありますが、その前に少し寄り道です。
というのも、このような問題を考えていると、不幸にして不登校になってしまった子供達の大きな可能性に気づかざるをえません。
なぜなら、その子たちは、もはや学校のペースにとらわれずに物事に取り組むことができるのです。実際、フリースクールに出てこられるようになった子供達には、一つの物事にじっくり取り組んで、そして自分の生きるペースを取り戻していく子がたくさんいます。ひたすら漢字を勉強したり。
ある人は、不登校にはならなかったようですが、「実は数学の日は1時間目から6時間目まで全部数学にして欲しかった」という人がいました。1時間ごとに科目が変わるのがすごく負担だったそうです。言われてみれば、私もたしかにそれいいかもと思いました。みんないろんなペースがあるのです。
不登校になった子が何か自分の意志で始めるとたら、そこからは全て「やり抜く力」を鍛えることになります。途中で飽きて違うことに行っても構いません。詳しくは後ほどですが、それも重要な「やり抜く力」です。
この話を始めれば、今一番熱いのはなんといっても、分身ロボットオリヒメを作っているオリィ研究所の代表吉藤オリィさんでしょう。彼は小学5年~中学3年まで不登校でしたが、今やAERA「日本を突破する100人」に選ばれるほどです。最近、2億2,977万円を調達したと話題になりました。
以前彼らのビジネスプランをメンタリングする機会があり、それ以来親しくさせてもらっています。そんな彼から聞いた一つのエピソードがあります。それは折り紙に熱中したけど、従来のぴったり折る折り紙が嫌いで、机を使わず手元で折る折り紙を追求したというのです。
そんな彼が身につけた「芸」はすごいです。手元でバラを折れます。ぴっちり折るわけではありませんから、ある意味より本物のバラをよく表しています。この「芸」は、もう幼い子からおばあさんまで、全ての女性の心を鷲掴みにします。なんどかその場面に居合わせましたが、受け取った女性の嬉しそうな表情は、それはもう若くても老いてても変わらぬかわいさです。
彼の「やり抜く力」は分身ロボットオリヒメにも現れていますが、折り紙一つでも、世界中の女性を虜にする技も生み出しているのです。
ですから、日本中の不幸にして投稿できない子供達には、ぜひ彼の生き方を知って欲しいし、フリースクールなど不登校生を支援する組織は、自分たちこそ「日本を突破する人材」を生み出す場になれるという自信を持って、「やり抜く力」を育むツールを生み出していって欲しいと思います。そのノウハウは多くの不登校生に生きる力をつけ、やがて、普通の学校にもそのノウハウが取り入れられていくことでしょう。
そういった長期的な展望のなかで、いずれ学校でも「やり抜く力」は育てられるようになっていくことでしょう。その時は「中学校もまともにでないでどうするんだ、まじめに学校に取り組め」という言葉が復活します。今は親ですら「こんなことまじめにやっても、将来使わないんじゃ」と思いがちです。それが再び学校が重要視されるようになっていくのです。
(つづく)
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: 私もみましたけど、カリオストロの城の名シーンそのものですよね。何もないところからバラ作り出して、お姫様に渡すとか……。あざといっ。
フツクロウ: ホッホッホッ。欲しいんじゃろ。
ミライ: クッ。
いいんです。確か動画があるから、欲しかったら自分で折ればいいんですっ。