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ラーマガ限定「NAKED」#008
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ラーマガ限定「NAKED」#008

2014-05-25 13:00

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    ラーマガ限定「NAKED」#008
    中華そば しながわかけらぁ麺
    実食インプレッション

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     麺とスープだけで美味いと唸る一杯。究極の「かけラーメン」に人気ラーメン店が毎月月替わりで挑戦する、ラーマガ限定「NAKED」。通算第8作目は昨年池袋にオープンした『中華そばしながわ』が登場。「支那そばやのらぁ麺と出会ったから」ラーメン店を開こうと思ったという店主の品川隆一郎さん。これまでのラーメン人生の中で唯一作ったことがあるというかけラーメンは、味作りで悩んでいた時に佐野さんに言われて作ったもの。今の自分ならこういう一杯を作ります、という想いを込めて佐野さんに捧げるNAKED。

     比内地鶏を炊き上げたスープ寸胴に焼きアゴ、鰹、サバ節などを加え、一本で仕上げた清湯スープに、店主の地元秋田と千葉の醤油をブレンドした醤油ダレ。麺は信州産小麦に九州産、秋田産「ネバリゴシ」の3種の小麦を使った自家製中細麺。茹で上げた麺を水で締めてそのまま丼に入れる「ひやあつ」で提供する。

     麺が男でスープが女。麺とスープのなめらかな一体感を目指したNAKEDは、素材の旨味がほとばしる究極の味わいに仕上がりました。


    cb368627c2fbc425ac738eed0008c8a195bb0d70北島秀一
     品川店主は一般的には「地雷源出身で鯉谷店主門下」と思われていて、もちろんそれは間違いではない。ただ、「ドリルマン」のHPにはラーメン店を開くキッカケとして、「支那そばやのラーメンと出会ったから」と明言している。また、今から数年前、まだ開店間もない支那そばや戸塚本店で、佐野さんにラーメンの事を教わりに来た品川店主と偶然お会いした時に佐野さんへの強いリスペクトを伺った事もあった。

     今回のNAKED「かけらぁ麺」は、まず素材とか作り方などの技術論の前に「佐野さんに食べてもらいたかった」との「想い」から出発している。テクニックやアイディアよりも、想いを積み重ねた結論がこの味と言う事なのだろう。

     これまでのNAKEDの多くが「如何にもその店主らしい発想だが、お店の基本メニューとは全く異なる品」だった。が、今回の「かけらぁ麺」は、鶏をベースにやや濃いめの醤油味をつけ、自家製の中細平打ち麺を合わせると言う、見た目も、基本構成も「しながわ」の基本の中華そばに似たイメージである。そう言う意味では全く情報無しにこの「かけらぁ麺」に対峙すると、「あれ?しながわの中華そばから具を抜いただけ?」と思う人もいるかもしれないが、それは違う。

     実際には使う醤油の微調整をかけ、またスープの鶏も比内地鶏のガラのみを使用。魚介の使い方もノーマルの中華そばとは変えていて、味の上での魚介比率はかなり控えめに感じる。具材の無いNAKEDは必然的に食べ手の意識が麺とスープに強く向けられるので、よりじっくりと味わう方向性に調整しているようだ。

     大きな特徴は、茹で上げた麺を一旦水で〆てそのままスープに入れる「ひやあつ」の手法を採用した事。それだけ聞くと「ぬるいラーメン」になりそうな気がするが、実際には元のスープがかなり熱々なので、「食べ頃よりもかすかに低い温度」となる。また、スープを冷めるまで丼で放置するのと違い香りが飛ばず、水で〆った麺がスープの熱で適度に温まり麺の甘味や味わいが活性化すると同時にスープの味も感じやすい温度まで下がってくる。更に、麺がしまりスープが熱すぎないので最後まで麺からの成分しみ出しが無く、濁りや雑味が入ってこない。「ひやあつ」の良い点が最大限に活かされた味わいになっている。

     ラーメンの味を支えるのはもちろん技術や知識や経験だが、それらをMAXでドライブして「味」にまで到達させるのは、紛うこと無く「想い」である。その事を改めて考えさせてくれる「かけらぁ麺」。このネーミングに込められた気持ちまで感じて食べてみて欲しい。

    1c810daf91127abd46b9933195c1f7719f037f02山路力也
     店主の考えや思いが如実に現れるのがNAKED。毎回3人が立ち会って試食をさせて頂くのだが、今回品川さんが「佐野さんに食べて貰いたい」と口にした瞬間、私たちも思わず背筋が伸びてしっかりとその思いを受け止めなければ、と感じた。特に北島さんはより強く感じたのではないかと思う。そういう意味ではこれまでのNAKEDの中で、一番私たちの思いも伝えた試作になったように思う。

     これまでも毎回新たな発見があったNAKEDであるが、今回は「スープの温度」の重要性をまざまざと感じさせられる一杯であった。繊細な旨味と香りをどう表現するか。そこで重要になって来るのがスープ温度である。その答えが今回の場合は「ひやあつ」だった。普通に上げた麺でも食べてみたのだが、同じスープでありながら明らかに旨味と香りの出方が違う。簡単に言うと普通の麺の方が熱さが先に来て、旨味や香りが弱く感じるのだ。ラーメンは何でも熱くあるべし、という信仰があることを否定はしないが、モノには適正な温度があるということをこの一杯があらためて証明してくれた。

     そして麺とスープの一体感にも痺れた。例えば、名人が握る寿司はネタとシャリが見事に一体化しているし、ベテランシェフが作ったオムライスはオムレツ部分とライスの部分の境目が分からない。今回のNAKEDは油分がさほど高くないのにも関わらず、麺がスープをまとい、スープが麺を包み込み、一つになって口の中へと入ってくるのだ。この経験は今まであまり感じたことがない。

     もう佐野さんが作るラーメンを食べることは出来ないが、こうして佐野さんの思いをしっかりと受け継いだ人がいて、これほどまでに完成度の高い一杯を作り上げた。それだけで食べる価値がある一杯だと思う。

    c557c6830f3e2bc329f263c11be51fa2cf589930山本剛志
     「BASSOドリルマン」では「つけ麺メインの店」というイメージがある品川店主が、自分の名前を冠したネクストブランドである「しながわ」を開店させた時、醤油ラーメンへの思いを強く感じた。今回の限定で表現されているのは、先月亡くなられた「支那そばや」佐野実氏への思い。それをしっかりと感じつつ、店主独自の技で今ここでしか食べられない一杯になっている。

     澄んだスープは比内地鶏のガラを使った、シンプルながら力強いもの。そこに魚介と醤油をほのかに合わせ、アツアツの中から徐々に香りが感じられる。最初は蕎麦やうどんのような和風感も思わせつつ、食べていくとラーメンだという事を実感できる。独自の麺もしっかり茹でた後に水で締めてからスープに入れる「ひやあつ」のスタイルにしたことで、麺は茹でられた状態以上に柔らかくなることがなく、アツアツだったスープが徐々に温度を下げる事で、熱さに隠れていた素材の旨みが交錯するように現れてくる。

     ひやあつのメリットのもう一つは、麺自体が熱くはないので啜りやすい事。一気に啜ると、滑らかだがしっかり締められた麺が、口の中を立体的に埋め尽くす。この麺の存在感は普通に茹でた麺では味わえない。麺とスープの素材をそれぞれに楽しませつつ、一気に完食を誘う力強さが持たせた一杯、是非体感してほしい。


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    【NAKED #008】
     中華そば しながわ(東京都豊島区西池袋4-19-14)

     「かけらぁ麺」(800円)
       一日20杯限定(11:30〜10杯、17:00〜10杯)
       販売期間:5月1日(木)〜31日(火)
            ※3日(祝)〜7日(水)を除く
       (ラーマガ有料会員ではなくても注文が可能です)

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