• このエントリーをはてなブックマークに追加
第二十二回 15年ぶりの高値となった日経平均から見えてくること
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

第二十二回 15年ぶりの高値となった日経平均から見えてくること

2015-03-01 19:00
    20150228_kabuya22_top.jpg

    最近、株式相場が活況になっています。ニュースにもなっているとおり、日経平均は15年来の高値をつけています。

    ITバブルを振り返る

    15年来というと、ちょうど今世紀に入ってから以来ということです。15年前の2000年には、「ITバブル」というインターネット関連銘柄などが活況となった上げ相場がありました。

    これは、主に日本とアメリカを中心に展開された動きで、ドットコム相場などとも呼ばれ、会社のインターネットアドレスに「.com」と付いているだけで、企業業績などおかまいなしに株価が上昇しました。

    しかし、業績の根拠がない株価形成はどこかいびつです。

    株式というのは会社の所有権のことです。株価はその企業の所有権の価値であって、将来稼ぐと期待されている利益を元に決まります。

    ですから、今利益が出ていなくても、将来たくさん稼げると皆が思えば高い株価がつきますが、その期待がしぼんでしまうと株価は急落してしまうのです。

    インターネット関連の仕事をしている企業は、その普及当初はなんでもかんでも将来性を期待されました。やがて、ごく一部の勝ち残る企業(例えばグーグルなど)と、それ以外の大多数の企業に分かれてしまいました。

    そして「それ以外」の企業群の株価は暴落し、ITバブルは終焉をむかえます。

    株価の復活とサブプライム・ローン

    その後、世界の株式市況は2004年頃から復活しはじめます。

    このときは、将来性が大きいと囃されたBRICs相場(ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字からそう名付けられた)の将来性に目をつけたためです。

    またアメリカでも景気が拡大し、貧困層向け住宅ローンを債券化した、いわゆるサブプライム・ローン(モーゲージ債)が流行るなど、金融市場は活況となりました。

    日本株もこの時期に活況となり、日経平均で18261円まで上昇しました。これが「リーマン・ショック前高値」といわれるものです。下図の真ん中辺り。

    しかし、これが逆回転し、サブプライム・ローンが焦げ付くと、一気に相場は暗転し、いわゆるリーマン・ショックが起こりました。米国の大手証券であったリーマン・ブラザーズが破たんし、金融市場は甚大なショックに見舞われ、世界の金融界はある意味、今もそのとき発生した様々な負の遺産を引きずっているのです。

    今世紀に入ってからの日経平均の推移

    今回は、そのリーマン・ショック前の高値を抜いて、ITバブル時の高値を狙う動きになっています。

    今世紀に入ってからの日経平均の推移とその価格帯別の株式市場の出来高(市場の売買高)を、図に描いてみました。

    20150228_kabuya22_2.jpg

    これは仕事上の興味から作ったもので、手元に正確なチャートがあるのですが、情報ソースの権利関係上、ここでそのまま示すことができません。そこでイメージ図を書きました。悪しからずご了承ください。

    ここで価格帯別の出来高を示したのは、たくさん出来高があるところでは、その価格で買った投資家がたくさんいるということで、その後相場が下げたなら、その間は損を抱えて我慢していた人も結構いるでしょうという憶測ができるからです(実際には諦めて安い値段で処分してしまう人も多い)。

    そうすると、その辺の価格帯まで株価が上昇してくると、ようやく損が消えた投資家が「やれやれ」と売りを出して、足抜けしようとするだろうと推測できます。そこから上には、株価が行きにくくなるということです。

    一番厚い壁は15000円くらいのところにあったのですが、その水準はもう越えました。リーマン・ショック前高値の近辺で買った人のコストも抜けてきたので、この先はしばらく壁がなくなってきます。

    TOPIX の動き

    ただし、日経平均とは別にTOPIXという株価指数の動きをみると、まだリーマン・ショック前の高値は超えていません。

    TOPIXというのは、東京証券取引所の一部上場銘柄全ての加重平均株価を表しているものなので、代表的企業225社から構成される日経平均よりカバレッジの広い指数です。

    こちらでみると、リーマン・ショック前高値は1800ポイントくらい、今は1500ポイントくらいなので、まだもう少し先があります。そして、価格帯別出来高の山が1600ポイント台のあたりに控えています。

    この辺りを超えてくるかどうかが、次の焦点となってくるのかな、という気がしながら、相場を見ているところです。

    RSSブログ情報:http://www.tabroid.jp/news/2015/03/nisa-tanaka022.html
    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。