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第228号 2017.6.20発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが見舞われたヘンテコな経験を疑似体験!?小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…「共謀罪」法が騙し討ち的な強行採決で成立した翌日・6月16日付朝日新聞社会面に、反対派の高山佳奈子・京都大教授と、賛成派の井田良・中央大院教授の意見が両論併記で載った。そこで井出氏は諸外国の例を持ち出し「処罰の早期化」を正当化している。日本には日本の特殊事情があることを完全に失念し「安全のためには自由が制約される」等と言う者もいる。彼らは「日本」とは何かを全く知らないのだ!
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…高森明勅先生がブログで、安倍政権が国民を騙す手口のひとつに独特の用語があると書かれていた。たしかに、今国会では森友学園問題の勃発から、加計学園、共謀罪にいたるまで、安倍首相、菅官房長官はじめ、閣僚たちがトンデモな隠ぺい・詐欺用語を連発している。ウソ、隠ぺい、ごまかし、人権侵害、強行、トンヅラの安倍政権を徹底分析!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!米側に付かなければ世界では生きていけない!と言う友人にどう反論すれば良い?美人女性言論人に直ぐ騙される男はやっぱりバカ?なぜ高級ホテルのベッドは枕の数が異常に多いの?女性アイドルと男性アイドルの結婚ってどう違う?老いの受け入れ方とは?「原曲よりもカバーの方が好き!」という曲はある?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第231回「グローバリストが共謀罪を望む」
2. しゃべらせてクリ!・第186回「ぽっくん、保健室登校ぶぁ~い!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第37回「安倍政権 隠ぺい・詐欺用語辞典」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




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第231回「グローバリストが共謀罪を望む」

 安倍政権及び自民党の不祥事一覧は、さすがにみんな食傷気味のようなので、今回は一旦お休みとする。
 と言っても、代わりに書くのも安倍政権における最新で最大の不祥事、共謀罪についてである。

「共謀罪」法が騙し討ち的な強行採決で成立した翌日・6月16日付朝日新聞社会面に、共謀罪に反対する高山佳奈子・京都大教授と、賛成する井田良(まこと)・中央大院教授の意見が両論併記で載った。
 二人はわしが民進党推薦の参考人として招致された4月25日の衆院法務委員会で、両隣に座っていた人だ。高山教授は共産党推薦、井田教授は公明党推薦の参考人だった。
 高山教授は、組織的テロは現行法で十分対応できると主張している。予備罪の範囲は広く、共謀共同正犯を組み合わせれば、犯罪の前段階で広範囲の処罰が可能であり、「共謀罪」を作らずにTOC条約(国際組織犯罪防止条約)を締結できたという。
 また、277の対象犯罪からは、公職選挙法や政治資金規正法などが抜けており、権力にとってだけ都合よく、極めて恣意的にできていることも指摘している。
 やはりわしは高山教授の主張に納得する。「共謀罪」法は、全く非常識な法である。その目的はテロ対策ではなく、277の対象犯罪について、犯罪が起こらない前に、共謀段階で捕えようというものなのだ。
 そして、起きてもいない犯罪で捕えるということは、内心の自由を侵食することであり、内心を知るには監視が必要ということになるのである。

 一方の井田教授が言っていることは、どう見てもデタラメだ。
 井田は「条文だけ見てあいまいと言う人が多いが、組織的犯罪処罰法の改正という点を認識すべきだ」と言う。
 これ、本当に法学者?
 どんな事情があろうが、法律の条文が曖昧でいいわけがない。条文が曖昧であれば、恣意的な運用ができてしまうではないか!
 井田は、組織的犯罪処罰法が対象とするのは「指揮命令系統、継続的・反復的な行動」などがあり「重大な犯罪の実行」を目的とする組織的犯罪集団だけで、これは「諸外国に例を見ないほど十分な縛りだ」という。
 井田は、国会の論戦を見ていないのだろうか?
 安倍首相は当初、処罰対象について「組織的犯罪集団に限定されており、一般の人が対象になることはあり得ない」と強調した。
 ところがその後、金田法相は「対外的には環境保護や人権保護を標榜していても、それが隠れみのであって、実態として目的が重大な犯罪等の実行にあれば、組織的犯罪集団と認められる」と答弁。さらに犯罪集団の構成員だけでなく「周辺者」も対象だと説明した。
 もう既に、組織的犯罪処罰法の「縛り」は曖昧にされているのだ。
 
「隠れみのの団体ではないか?本当は犯罪集団ではないか?奴らと関係がある家族・友人ら関係者にも網を張って監視する必要があるな」と警察が邪推すれば、一般人が監視されることになる。

 現時点でさえ、どう見ても「組織的犯罪集団」ではない者に対して警察が違法な監視活動を行い、問題となった事例が続出している。