毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
7. 編集後記
第63回「恐くないのか、特定秘密保護法案?」 アメリカ国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)が、世界の指導者の電話を盗聴していたという事実が発覚した。ドイツのメルケル首相は11年前から盗聴されていたという。
これに関連して世耕弘成内閣官房副長官は、テレビ番組(11月2日・日本テレビ「ウェークアップ!ぷらす」)で「オバマ大統領の電話は絶対傍受されないようセキュリティされているそうですが、安倍首相の電話はどうなんですか?」
と質問され、こう答えた。
「そんなことは答えられるわけないじゃないですか。常識で判断してくださいよ」
こんなヘンテコな答えがあるだろうか?
具体的に、どんなセキュリティシステムを敷いているかと聞かれれば、それは答えられないのは常識だ。しかし、セキュリティをしているか、していないかぐらいは答えられるはずだ。というか、こんな時はたとえやっていなくても嘘でも「している」と言うものだ。
世耕は案外嘘のつけない人なのかもしれないが、褒められたものではない。世耕の発言を「常識で判断」すれば、「安倍首相の電話のセキュリティは、何もしていない」と解釈するしかない。
そうしたら案の定、その事実を証明する報道が出てきた。
「サンデー毎日」11月17日号に、衝撃的な記事が載っている。
今年9月上旬、米国防総省の中枢に、NSAとCIAの連名によるリポートが届いた。その内容は、安倍首相が10月の靖国神社・秋の例大祭に参拝するために、周囲と協議をしているというものだったという。
そして驚くべきことに、そこには首相官邸でいつどのような会話が交わされたか、日時まで特定して書き起こされていたというのだ。
「政権が長期になるので参拝を焦る必要はない」
という発言に対して、安倍首相などが
「中国や韓国との関係が修復できる気配がない今こそ、参拝に踏み切る絶好のタイミングだ」
と主張し、この意見が優勢だったと記されていたらしい。
首相官邸の会話を、まるでリアルタイムで見聞きしてきたようなリポートが米国防総省に届いている!
情報提供者の、オバマ大統領のブレーン機関関係者はこう語っている。
「堂々とスパイが潜り込んでいるとは思えません。何らかの手段で、通信を傍受していたとみるのが自然でしょう」
そのリポートのタイトルはなんと「増長と暴走の止まらない日本と、有効な制御策」だったという。
米国政府は9月の時点で、安倍が10月の例大祭に靖国参拝をしようとしていたのを「増長と暴走」と捉え、「有効な制御策」を講じていたのだ。そしてそれが功を奏し、周知の通り安倍晋三は秋の例大祭の靖国参拝を見送ったのである!
首相官邸内の会話が米国政府に筒抜けになっていて、完全に首根っこを押さえられている状態だというのに、それでも一切「秘密保護」をしようともしない安倍政権が、自国民に対しては「特定秘密保護法」の網をかけようとしている。これに危機感を覚えなかったらどうかしている。
以前から自称保守派は全員一致で、「日本はスパイ天国」であり、安全保障のために秘密保護の法律を制定すべきであり、それに反対するのは「左翼」であり、外国勢力に与する者だと主張してきた。だがやはり、自称保守派が全員一致で唱えることは常に間違いだったのだ。
そもそも、安全保障上の秘密漏洩を防止する法律は既に整備されている。
2001年、自衛隊法の改正によって防衛秘密保護制度が導入され、指定された情報が漏洩した場合、5年以下の懲役が科せられるようになった。
また、国家公務員法・地方公務員法では守秘義務違反は1年以下の懲役で、教唆・共謀した民間人も処罰対象となっている。
他にも、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法というものがあり、米軍機密を不当に探知、収集、漏洩した者は10年以下の懲役、陰謀した者は5年以下の懲役となる。
なんで米軍機密の方が自衛隊の機密より重いのかという疑問も湧くが、とにかく、それでも安全保障上の秘密漏洩が懸念されるなら、これらの法を改正すれば済む話で、新法を制定する必要などないのである。
10月31日放送のテレビ朝日「モーニングバード!」の「そもそも総研たまペディア」では、この法案の問題点について切り込んでいた。
VTRには日弁連・秘密保全法制対策本部事務局長の清水勉弁護士が登場。『ゴーマニズム宣言』では薬害エイズの際に登場し、オウム真理教との裁判ではよしりん弁護団の一員だった人である。
清水氏は今回の法案について、「条文に定義されている『秘密』の範囲が非常に広くあいまいで、それが処罰とリンクされているため、処罰範囲がどこまで広がるか分からないという非常に重大な問題、欠陥がある」と指摘する。
わしもいくつか裁判を経験して、もうイヤというほど思い知らされたことだが、法律というものは細かい条文の解釈次第でどうにでもなる。ほんの些細な表現の違和感も、決して放置してはならないのだ。
法案では、まず「テロリズム」の定義がおかしい。
「テロリズム」とは「暴力行為によって政治上その他の主義主張を他者に強要する行為」である。世界中どこでもそういう定義である。
最近、バイト先での悪ふざけ画像をツイッター等に投稿する行為が「バイトテロ」と呼ばれ、山本太郎が天皇陛下に手紙を渡したことまで「手紙テロ」という馬鹿までいて、単に「非常識な行動」を「テロ」というような風潮が出てきているが、これが「テロリズム」の定義から完全に外れていることは言うまでもない。
ところが、特定秘密保護法案におけるテロリズムの定義は、明らかにおかしい。
繰り返すが、常識的なテロリズムの定義は「暴力行為によって、政治上その他の主義主張を他者に強要する行為」である。
ところが、法案では「政治上その他の主義主張を他者に強要する行為、又はそのための暴力行為」となっている。
これは似ているようで全然違う。
コメント
コメントを書く>>95 >>97 magomeさん、童人さん、
「沖縄論」以降、わたしたちと沖縄(に関する言論や思想)
を取り巻く状況は目まぐるしく変わっているとわたしは思うのです。
オスプレイ、尖閣、中国の挑戦的な態度、度を越してますます隷属的
になる親米派…
本土では見たくもない現実に目をそむけ、「紋切り型トーク」になっ
てしまう言論状況だからこそ、沖縄の生の声が聞きたくなるのです。
>>122 dai さん。
了解しました。
密と蜜 一字違いで dai(大)違い
>>130
>オスプレイ
間違いなく自衛隊が一部回転翼機(ヘリコプター)の老朽化によりオスプレイを導入しようとしていることから、オスプレイ反対は帰って親米路線を強めることになるでしょうね。問題はオスプレイ一点に絞るのではなく、オスプレイを含む米軍の軍事力を盗んで自主防衛を目指そうという化外が全国皆無であることなんですよ。
断言しますが、オスプレイは結局は「武器の更新」というだけの話で終わってしまっています。中国の挑戦的な態度は沖縄返還以降、いまだに持続しているということで、自衛隊が武器を更新し続けている以上は冷戦構造で維持できると思います。むしろ、弾道ミサイルを仮想敵国すべてに向けていればかなりの抑制効果になるのではと思えてなりません。
沖縄県民の気持ちですが、「沖縄論」でも指摘されている「美ら瘡」のように、迎え入れ、なだめすかして、できるだけ大人しく引き取ってもらおうという伝統がありますが、それが長引けが「日本精神」のように諦めに代ってしまう恐れがあり、いまはその瀬戸際なのではないのかと思います。
実は、宮脇昭 著 「鎮守の森」に少しばかり書かれていたのですが、沖縄県の場合、鎮守の森が何処にあったのか伝承が途絶えてしまったところもあり、潜在自然植生に苦労したという箇所がありまして、鎮守の森の消滅が従来あった沖縄の精神を、我々の大和心のように衰退の原因になっているのではと思えてならないと気があります。
米軍基地反対運動も大事ですが、もし、郷土精神を取り戻したくば、鎮守の森を一人からでも復活させてみてはと思えてならないのです。沖縄本島のサンゴ消滅も間違いなく、鎮守の森の消滅と起因していますし、辺野古に反対をする人々がいるならば辺野古周辺に木を植えてみては思えてならないのです。潜在自然植生を行えば、辺野古に目を向ける人々も増えるのではないのかと思うのです。
これはなにも沖縄県民にだけに向けて言葉ではなく、日本人全てに向けるべき言葉です。
話の脱線失礼しました。
あと、槌田 敦 著「地球生態学で暮らそう」をやっと読み終わりました。これから感想のまとめに入ります。一言いえば、この本書が文庫本になっていなくて、なかなか手に入りにくいのは正直、余りにも惜しいと思うような内容でした。
>>129
関係あるかないかわからないけど、
『WEDGH』は東海道・山陽新幹線のグリーン車内では
無料で配布されているそうです。
それもそのはず、『WEDGE』の出版社はJR東海グループ
の系列とのことです。(”Wiki”の情報が正しければ、の話ですが)
ビジネスマンが利用する新幹線、グリーン車に乗れるクラスの人間、
無料で配布…
何か裏がありそうです。
>>132 JR東海も電気がなければただの鉄くずの塊ですし、電気の供給源が東電や自民党に大きく依存していればその傾向は強いでしょうね。目玉商品で盛る新幹線を海外に売るために必死(ワシントンDCにも支部があるのはこのため)だそうですが新幹線ほどの高度な建造、維持技術を用いているのは日本を含んで数えられるほどしかないので、海外では他の高速鉄道に比べて不評だそうです。
結局は政府の後押しで海外に出たいからこそ、現在では安倍氏、東電御用達となっている「WEDGE」を無料で配っているのでしょうね。
しかし、東海地方で地震が発生して東海原発が福島原発のようになったら東海道新幹線も分断、不通となりますので、「JR東海、原発護ってJR倒壊」なんて洒落にもならない災害が降りかかりかねません。
JR東海も自家発電に切り替えるべきですね。
>>129,>>132
WEDGEはJR東海系列の出版社で正解ですよ。JR東海の在来線沿線に住んでますけど、最寄駅のキオスクでも売ってます。
内容が内容なので買うことはまったくといっていいほどありませんが。
>>133
「東海原発」じゃなくて「浜岡原発」ですね。まあ東海村で何かあった場合でも影響あるでしょうが。
しかしJR東海もN700系導入した時CMでやたら「省エネ車両」を強調したのに原発推進とは本末転倒ですね。
たまたま仕事で辺野古近隣に滞在中なのですが、名護市長戦を控えてか基地反対運動だけでなく、積極的に誘致を唱える動きも活発化していますね。
休日の公園に街宣車が来ては誘致論を長々と語ったり、街中には米軍基地歓迎のポスターが目立つようになったり。
辺野古商店街の食堂にもよく行きますが、米兵以外にはあまり客もおらず閑散としています。
経済的に苦しい地域ですから、基地移設受け入れ穏健派の末松氏よりも積極的なスタンスで勝算ありと踏んでの島袋氏出馬でしょうね。
対する基地反対派は従来通りの活動、主張も紋切り型の反対論でどうも勢いを欠いている印象です。
報道によると基地容認の際は沖縄にカジノ建設も、なんていう条件が出されるそうですが、これに対抗するのはかなり難しそうな情勢です。
>>134 あっちゃんさん、
>「東海原発」じゃなくて「浜岡原発」ですね。
そうでした、東海村と浜岡原発を混同していました。ご指摘ありがとうございます。
>JR東海もN700系導入した時CMでやたら「省エネ車両」を強調したのに原発推進とは本末転倒
そもそも、「省エネ」「エコ」を大々的に宣伝して鉄道の使用を促進していたのにその鉄道が原発で動いていたとなると、もはや洒落にもならない領域です。
これはなにも電気を悪者にしているのではなく、電気を動かす源が原発であるという所に悪質性が込められているという指摘でして、もし、本当に「省エネ」を促進するのであれば少なくとも自社で独自に「OHMASA-GAS」の使用を始めるなどの自社発電を行わなければ「省エネ」は実現したことにならない思います。
http://ohmasa-gas.org/01project.html
このガスを使えば2kw分のエネルギー生産量で6kw分の発電量が可能で、さらには木質ペレットなどの発電と混合すればさらに電力消費が抑えられますのでもはや原発に頼る意味がありません。
>>135 sigma10さん
>対する基地反対派は従来通りの活動、主張も紋切り型の反対論でどうも勢いを欠いている印象
実は自称保守の「主張も紋切り型の反対論」なのですが、これは左翼、サヨクがさらに革新的な極左に取って代わろうとしているというのが真相なのだと思います。
>報道によると基地容認の際は沖縄にカジノ建設も、なんていう条件が出されるそうですが、これに対抗するのはかなり難しそうな情勢
この提案が事実ならば、東京都で石原が都知事時代に行おうとして失敗した政策が沖縄で行われようとしていることが明確で、グローバル産業は東京ではなく、沖縄から基地関連を通して侵食していく計画だということなんでしょう。
おそらく、東京でできなかったグローバル産業の世先を沖縄、辺野古に向けて極左活動が始まったとみる方が正解で、沖縄をグローバル産業の統治に収める計画なのだとみて解ります。
それにしても自主防衛の声がどこにも上がっていないのが情けないです。
>>136
magomeさん
沖縄でのカジノ建設案ですが、ソースを確認してみたところ歳川隆雄という自称保守派ジャーナリストのコラムでした。報道によると、と書いてしまいましたがそれより精度の低い情報でしたね。
済みません。
ご参考までに当該記事のURLは↓です。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37548
産業に乏しく平均所得も低い沖縄では雇用増を期待できるカジノ建設という案は魅力的でしょうし、基地移設とバーターの餌という事だと思います。
ただ過去にも名護市に金融特区を造り経済的な発展を促すという懐柔策が執られていますが、今のところ効果は低く雇用にも大した貢献はしていません。ハコを建てただけでその後は放置しているようなものです。
カジノ案が本当だったとしても、沖縄県民には経済的利益をチラつかせれば基地移設を飲むだろうという為政者の不誠実さを示す証拠がまた一つ増えるだけでしょう。
このような事を繰り返していれば、いつか本当に沖縄と本土が分断されてしまうのではないかと危惧しています。
「それ以上、沖縄と本土を分断してはなりませぬ。」
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