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第133号 2015.5.19発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…最近、中高生のカップルが、自分たちのキスする様子を動画投稿アプリで公開するのが流行っているそうだ。「恋愛自体が盛り上がる」「幸せ自慢をしたい」「理想のカップルと思われたい」「浮気の防止効果もある」と主張する彼らの本心とは?「ものわかりがいい親」を演じる馬鹿な大人にも鉄槌を!
※「ザ・神様!」…前回に引き続き、特別編・もくれん風『中国びっくり取材紀行』をお届け!日本人の常識なんて一切通じない!?バブル真っ只中の中国の“今”を目撃せよ!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!どうしたらデカイ器の大人になれる?台湾が日本からの農作物に対して輸入規制を強化した件をどう思う?テレビの現皇室に関する番組が少ないのは何故?ルネサンス期の絵画や彫像、ち○こを巡る疑問?大相撲の「親方になるのは日本国籍のある者に限る」という規定はアリ?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第129回「キス動画は若すぎる『結婚(承認)願望』である」
2. しゃべらせてクリ!・第93回「同情を禁じえんぶぁい、貧ぼっちゃま!の巻〈後編〉」
3. もくれんの「ザ・神様!」・第57回「もくれんの『中国びっくり取材紀行』・その2」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




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第129回「キス動画は若すぎる『結婚(承認)願望』である」

 自分の若い頃を思い出すと、確かにバカだった。
 十代から性欲が強すぎて女のケツばっかり追いかけていたかもしれない。自分の理性よりも、性欲が先に走り出していたから、恋愛中毒状態で、それは高度経済成長からバブルに向かう日本の活力あふれる時代とリンクしていたのだと思う。
 今はもう自分の中にそんな性欲はない。年とったせいもあるが、少子高齢化に向かう低成長時代に、わし自身が若者と共に草食化しているのだろう。
 最近の性風俗は闇の収益が増大しているにも関わらず、その内容がソフト化してきて、見るだけでいいとか、手をつなぐだけでいいとか、まるで老人のような性欲の発散の仕方になっているらしい。
 そういえば女子高生が千羽鶴を折ってる最中に、男がマジックミラー越しに股間を覗くという性風俗が警察に摘発されていたが、さすがに今のわしでもそんなかったるい趣向にカネ払うほど草食化してないので、全然理解できない。
 今の若者は90代の老人くらい草食化してるのかもしれない。

 それでは最近流行の「キス動画」はリア充の肉食系カップルの復活なのだろうか?
 中高生のカップルが、自分たちのキスする様子を動画投稿アプリ「ミックスチャンネル」で公開するのが流行っている。
「ミックスチャンネル」はスマホで簡単に10秒のキス動画を撮影してアップできるアプリで、すでに250万ダウンロードを突破、利用者の90%が10代で、閲覧数は1日平均12万に上るという。
 アプリにはフェイスブックの「いいね!」にあたる「LIKE」ボタンというのがついていて、10代バカップルたちはこぞってキス動画を投稿し、他人のキス動画を見て評価し合い、「LIKE」の数を競って承認欲求を満たしている。
 前々回の「インスタント・カルト」にもつながる話だが、ここにもスマホのアプリを介したバカの楽園が出来上がっているのだ。

 キス動画を投稿しているカップルがよく言うことは、
「評価されると恋愛自体も盛り上がる」
「幸せだということを知らない人にも見せたい」
「自分たちみたいなカップルになりたいと思ってもらえたら嬉しい」
「(お似合い)などといった褒め言葉は嬉しい」
…といったものだそうで、評価されて嬉しくなって舞い上がり、どんどん投稿するというバカ増幅や、他人が評価されているのを見て自分たちもやりたくなるというバカ連鎖も起こっているらしい。
 また、動画を公開することで、「この男は私の独占物よ」ということも主張でき、浮気の防止効果もあるとかいう言い分もあるらしい。

 わしがこの流行を理解できないのは、大人として「若気の至り」を諌めたいからではない。
 もしわしが若者なら、一人の女の所有物とは思われたくないと思うからだ。邪心と野心が大きすぎるからだ。

 大人の説教としては、誰でも以下のようなことが浮かぶだろう。