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ビルの内部は、冗談みたいに荒れていた。
フロントの面影はカウンターしかなかった。
絨毯かなにか、見栄えの良い表層がはぎ取られた床はコンクリートがむき出して、あちこちが黒ずんで汚れ、皿か花瓶か、割れた陶器の破片がちらばっていた。壁際に残されたソファは当然のように破れて中の綿がみえている。カウンターの向こうの戸棚は脚が折れたのか傾いている。
――こんな場所に、みさきがいるのか?
なぜ? 正常な理由ではないだろうと思った。
オレはゆっくりと廊下の先へと進む。
まず目指すべき場所は、おおよその予想がついていた。バスからみた景色――あの、壁が崩れ、瓦礫が散らばり、みさきが倒れていた場所。
1階の北側だ、おそらく。あれが本物の未来なら、ここにみさきが現れるはずだ。
廊下を進む。窓はなく、奥は暗い。スマートフォンに、なんとなく入れたっきり使っていないライトのアプリがあることを思い出した。それで周囲を照らしながら進む。
目ぼしをつけた部屋には、スタッフルームとプレートが出ていた。
ドアノブをつかむ。だが、回らない。鍵がかかっているようだ。
オレは思い切りドアを叩く。
「みさき? そこにいるのか!?」
まず思い浮かんだのは誘拐だった。
だとすれば大声を上げるのが正しいはずなんてなかった。
理性がそう判断するよりも先に叫んでいた。
幼い頃の、泣いている彼女の表情が、目の前にちらついて離れない。
もう一度、ドアを叩こうと腕を振り上げた時に、
「……久瀬くん?」
彼女の声がきこえた。
闇の隠居 @yamino_inkyo
おー、みさきちゃん発見か?
朔夜 @thakja
お!みさきさん!
きのと @kinoto82
もりあがってまいりました!!!うひょー!
フミ@自称bell初期情報係 @ayn_l_k
……ぶち破れ←
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