閉じる
閉じる
×
目を開けても視界はぼやけていた。
頭と肩の辺りに痛みが残っていた。
――いったい、オレはどれだけ気を失っていた?
時間の感覚がない。
どうやらオレは、ロープで椅子に縛りつけられているようだった。木製の小さな椅子だ。オレの身体には合わず、窮屈に感じる。
カーテンのない窓から空がみえる。ちょうど夕暮れ時だ。尖った赤い光が射し込み、部屋の中の影を色濃く目立たせる。
どくん、と心臓が跳ねる。もう目の前まで、夜が迫っている。
オレは辺りを見渡す。
どうやら客室のひとつのようだ。目の前のベッドに、男が腰を下ろしていた。
オレを殴った、あのサングラスとは違うように思う。スーツを着た、どこにでもいるサラリーマンのような男。40歳くらいにみえる。
――誘拐犯は、複数いるのか?
そいつはベッドから立ち上がり、オレの目の前まで歩み寄る。
「君は何者だ?」
男はこちらを見下ろしていた。
こちらが見上げることを望んでいるような気がして、意地になって、オレはじっと正面を睨んでいた。
「何者だ、と訊いているんだ」
男は感情を感じない動作で、隣のテーブルを蹴った。そこに載っていたプリント用紙が宙をすべる。
「あんたたちこそ何者だよ?」
「質問に――」
「ああ。やっぱり答えなくていい。どうせそのへんの小悪党なんだろ。自分の要領が悪いのを人のせいにして当り散らしてるタイプだ」
男は、今度はオレを蹴った。
どうしてだろう? 昔から何かを強要されるのが嫌いだった。反射的に反発してしまう。それで状況がより悪くなるとわかっていても。こんなにも恐怖で指が震えていても、だ。
なんとなく宮野さんのことを思い出す。彼女は強引だったが、それほど嫌な感じはしなかった。そこそこ可愛い女性だったからだろうか。現金なものだなと自分で思う。
「どうしてここに来た?」
「ただの散歩だよ」
「ふざけるな。なぜ、ここがわかった?」
「さあな。神さまが教えてくれたんだろ」
「お前はスイマか?」
「ああ。オレがスイマだ」
「ふざけるな」
男は、先ほどまでよりもずいぶん荒々しく、感情的にオレを蹴った。
椅子に縛りつけられているオレは、どうしようもなくそのまま倒れた。蹴られたところよりも、床で打った側頭部の方が痛かった。
「選ばれるのは私だ。誰にも邪魔させない」
――選ばれる? なんのことだ。
涙で滲んで、また視界がぼやけた。
ぼやけた視界で、先ほどテーブルから舞い落ちたプリントがみえた。それは何かの設計図のようだった。
「悪魔を捕らえたのは、私だ。私は誰よりも教えに忠実だ。悪魔は自ら死を選ぶ」
オレはじっと、プリント用紙を眺める。
これは、ラダー図か?
右の方にひらがなで、「ばくはつ」と書かれている。
ふいに思い出した。
――あの、サングラス。
あいつはみさきがいる部屋に、爆弾があると言っていた。
スター(ロボ) @Sutaa
あ、久瀬君起きた。
和雄@7/31大富豪8/01カジロワ? @kazuo_niconico
スイマ現れたぁ!
そらいろ @s0rat0kum0
右のほうに爆発?
みどばち @midobachi3
あ、リア充爆発しろってことですね
上月春駆 @koruku_xyz
悪魔には自滅が似合う。 ってもしかしてどっち切ってもダメで焦ってどっちか切って自滅しろ!って事じゃないよね?
※Twitter上の、文章中に「3D小説」を含むツイートを転載させていただいております。
お気に召さない場合は「転載元のアカウント」から「3D小説『bell』運営アカウント( @superoresama )」にコメントをくださいましたら幸いです。早急に対処いたします。
なお、ツイート文からは、読みやすさを考慮してハッシュタグ「#3D小説」と「ツイートしてからどれくらいの時間がたったか」の表記を削除させていただいております。