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■久瀬太一/7月25日/19時05分
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■久瀬太一/7月25日/19時05分

2014-07-25 19:05
    久瀬視点
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     オレは椅子に縛られ、床に転がったまま、目の前の図をじっと眺める。
     ――これを読み解けば、みさきを助けられるのか?
     いや、でもどうやって解除方法を伝えればいい? オレはしばられ、身動きがとけない。
     スーツの男は再びベッドに腰を下ろし、懐中時計を眺めている。
    「ああ、もう日が暮れてしまうじゃないか」
     と男は言った。
    「今夜はパーティなんだよ。悪魔が自ら死を選ぶ、聖なるパーティなんだ。君みたいな、望まれない客はいらない」
    「悪魔ってのは、佐倉みさきか?」
    「もちろんだ」
     どうして彼女が悪魔なんだ、と尋ねる気はなかった。
     誘拐犯がどんな主張を持っていようが、どんな正義を振りかざそうが、知ったことじゃない。聞くまでもなくみんな却下だ。
     でもひとつだけ、先ほどの男の話で気になったことがあった。
    「教えってのはなんだよ?」
     さきほどこいつは、「私は誰よりも教えに忠実だ」と言っていた。 
     教えによって悪魔を殺すのか? その悪魔がみさきだというのなら、こいつの他にも、彼女を狙っている奴がいるのか? 一体誰がそんなことを教えてやがるんだ。
     男がちらりと、こちらを見下ろす。
    「やはり、君はスイマではないな」
    「どうして?」
    「スイマが教えを知らないはずがない」
    「スイマってのは誰だ?」
    「君には関係のないことだ」
     微笑を浮かべていた男の表情が、ふいにこわばる。
    「いや。だが、なぜだ? どうして君が、ここに来られた?」
     そんなことオレが知りたい。
     暗号を解いたのはソルだ。ソルってのは何者だ? それさえわからない。
     暗号の答えは、オレの記憶に繋がっていた。どんな偶然なんだ。想像もできない。
     男はこちらを睨んでいる。
    「スイマではない君が、どうしてここに来ることができた?」
     重要なのはみさきだ。彼女の元には今、爆弾がある。
     男が声を張り上げた。
    「おい、答えろ! どうしてお前は、ここに来た!?」
     オレは答える。
    「ヨフカシ」
     それがなんなのか、もちろん知らない。
     でもあのきぐるみは言ったのだ。
     ――ヨフカシを捜すんだ。ヨフカシはスイマの中にいる。
     ヨフカシというのも、きっとこいつらに繋がっている。ならその名前は、使えるかもしれない。
    「オレはヨフカシに頼まれてここに来たんだよ。悪魔に話がある。彼女に会わせろ」
     スーツの男はベッドから立ち上がる。
    「ヨフカシ、だと?」
     彼はこちらに歩み寄り、オレの頭を蹴った。どうやら判断を間違えたようだ。
    「ふざけるな! 本当にいたのか! ふざけるな! 消えてなくなれ!」
     男は自棄になったように、繰り返しこちらの顔を蹴る。痛みに痛みが上塗りされ、わけがわからなくなる。鼻から温かいものが流れた。くそ、オレはなかなか鼻血が止まらない性質なんだ。
    「なんてことだ。……スーツが汚れてしまったじゃないか」
     そう言ってまた、男はオレを蹴る。
     また意識が薄らいでいった。漠然とした、死への恐怖のようなものを覚えた。
     思い出したのはあのきぐるみの、不気味な笑顔だ。
     ――お前は、なんなんだよ?
     オレを助けたいのか、苦しめたいのかはっきりしろ。
    読者の反応

    鬼村優作 @captain_akasaka 
    久瀬君のストーリーきた!顔面ボッコボコだ…くそう、なにもできんのか… 


    そらいろ @s0rat0kum0 
    ヨフカシに異常に反応してたな


    いぬくん @kun_inu 
    ヨフカシに対して「本当にいたのか!」
    悪魔=ヨフカシ? それとも強硬派じゃない方か?


    コウリョウ @kouryou0320 
    単純に組織内の裏切り者をヨフカシと呼んでる? あと、悪魔は「佐倉みさき」であってちえりではない、というのは重要な気がする。 


    にえ@爆睡 @nie_nonstarter 
    久瀬君が!! 





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