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■久瀬太一/7月28日/12時
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■久瀬太一/7月28日/12時

2014-07-28 12:00
    久瀬視点
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     父への電話は、珍しくすんなりと繋がった。
     挨拶もなにもなく、どこかにやけて聞こえる口調で、「どうだった?」と父は言った。
    「なにがだよ?」
    「佐倉さんとこの娘さんだよ。連絡あったか?」
    「ああ」
    「それで?」
    「ちえりとは会った。みさきはまだみつかっていない」
     電話の向こうで、短い沈黙があった。
     それから父は、彼にしては珍しい、硬い口調で言った。
    「本当に誘拐されてんのか?」
    「そういってるだろ」
    「警察は?」
    「もちろん動いている。でも、あまり進展はなさそうだ。なにかわかれば、ちえりから連絡を貰えることになっている」
     オレは部屋のベッドに腰を下ろし、左手でスマートフォンを持っていた。右手では、あの箱からみつかったクリスマスツリーの飾りを弄ぶ。
    「あのクリスマスパーティのことを知りたい」
    「どうして?」
    「みさきの誘拐に、あれが関係していそうなんだよ」
    「わけがわからないな」
    「オレもだ。いいから教えてくれ。結局、あれはなんの集まりだったんだ?」
     父は低い声で唸り声を上げて、それから答えた。
    「たしか、聖夜協会だ」
    「聖夜協会?」
    「そういう名前の、小奇麗にいえば社交クラブだよ。要約しちまえば、集まって酒を飲む口実だ」
     社交クラブだったり、酒を飲む口実だったりが、女の子を悪魔と呼んで誘拐するとは思えなかった。拳銃を持ってオレの部屋に押し入ってくるのもおかしい。
    「あんたは? まだ繋がりがあるのか?」
    「いや。ずいぶん前に抜けた」
    「どうして? 酒を飲む口実は好きだろう?」
    「メンツによるさ。もともとオレは、友達に誘われて、形だけ参加してたんだ。でもその友達がいなくなっちまった。もうずいぶん前だよ。それっきり、オレも聖夜協会には顔を出していない」
    「へぇ。あんたにも友達がいたのか」
    「ああ。そいつの名前が、佐倉だよ」
     一瞬、息が詰まった。
     ――確か父は、みさきの祖父と仲がよかった。ずいぶん歳が離れているはずだから、どんな仲なのかは知らないが。
    「その友達っていうのは、みさきの祖父か?」
    「ああ」
    「いなくなったってのは?」
    「そのまんまだよ。もう10年になる。ふっと消えちまってそれきりだ」
    「失踪?」
    「どうだろうな。オレも詳しい事情は聞いちゃいない」
     10年前? オレもみさきも、まだ11歳だったころか。
     なんにせよ、今重要なのはみさきだ。彼女の祖父のことはいい。
    「ともかく、その聖夜協会ってのに連絡を取りたいんだ。誰か知り合いはいないのか?」
    「知り合いってのとも違うが、聖夜協会の連絡役だった男ならわかる」
    「名前は?」
    「八千代。変わっているが苗字だ。下の名前は知らない」
     八千代。確かにあまり、苗字らしくはない。
     オレは父から、八千代という人物の電話番号を聞き出す。それから、続けて尋ねた。
    「そういや、ドイルってわかるか?」
     ソルにきいておいてくれていわれたことだ。
    「コナン・ドイルか?」
    「さあ。ほかのドイルを知ってるか?」
    「いや。出てこないな」
     それからオレは父と、しばらくドイルについて意味のない雑談を交わし、あのパーティが行われていたホテルの名前をきいて電話を切った。

           ※

     八千代という人物に、すぐに電話をかけてみたけれど、相手は出なかった。
     オレは留守番電話にメッセージを吹き込む。まずは父の名前を告げて、その息子の太一だと名乗った。
     ――聖夜協会のことで、ご相談したいことがあります。電話をいただけるとありがたいです。
     それから、スマートフォンの番号を吹き込み、通話を切った。
     みさきの誘拐事件と聖夜協会が繋がっているのなら、八千代という人物を頭から信用するのは危険だ。でも、他に手がかりがない。ある程度の危険は冒さなければならない。
     ――さて、次は、宮野さんだ。
     まったく。彼女は一体、なにをしているんだろう?
     オレは彼女の電話番号に発信する。

           ※

     だが宮野さんは原稿に追われているらしく、いまは込み入った話はできないとのことだった。
     ――明日にして!
     と彼女は言う。人生には今日しかないんじゃなかったのか、と思いながら、オレは宮野さんとの約束を取りつけた。
     明日、彼女から、詳しい事情を訊き出す必要がある。

    ――To be continued
    読者の反応

    とうしん @toshin000 2014-07-28 12:03:17
    久瀬父と連絡着いたー  


    闇の隠居 @yamino_inkyo 2014-07-28 12:08:59
    あら、あっさりTo be continuedだわ。ところで八千代は男かー  


    いぬくん@bell 長崎支店 @kun_inu 2014-07-28 12:14:36
    男同士で温泉行く気かあのグラサン・・・
     

    minion @minion_strife 2014-07-28 12:12:15
    あっ、話が進んだか。やはり久瀬父は関係者だったけど、ドイルではない(あくまでも本人談)? 


    あさって @sakuashita1 2014-07-28 12:16:30
    名字なわけだから、
    久瀬父の知ってる八千代=先代ドイル
    ニールと温泉に行く八千代=今の?ドイル
    もアリなわけですな
    親子らしいし


    安里 まなか @Mi_go_pail 2014-07-28 12:19:37
    ほうほう、八千代さんは男性だったのか…… 
    それにしても宮野さん、原稿で何書くんだ……
     

    amor000@bell情報ディーラー @nagaeryuuiti 2014-07-28 12:10:44
    しかし、やはりクリスマスパーティーは協会のものだったな………


    クー @coo01 2014-07-28 12:13:23
    メリーは協会側の人間なのに、敵対していると思しき少年ロケットに関係していそうな曲をアップしている。これはどういう……。  





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