久瀬視点
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 今日はホテルからでるな、と八千代にいわれていたので、オレは一日部屋にこもって過ごした。
 目の前に問題があるとわかっているのにじっとしているのは、あまり気持ちのよいことではなかった。無暗に動き回って誰かに迷惑をかけるよりはずっといい、と自分に言い聞かせる。
 八千代は昼過ぎごろ、どこかに出かけたようだった。
 彼は21時30分になるころに、夕食の弁当を持ってオレの部屋を訪ねてきた。よくみかける全国チェーンの弁当屋のものだ。
 買ってきたのは和風の幕の内弁当と中華風の弁当で、じゃんけんに勝ったオレは幕の内の方を選ぶ。たまに食うとけっこう美味い。
「コンビニの弁当も悪くないが、米がいまいちでね。こっちの方がいい」
 と八千代が言う。
「同感だよ」
 オレは頷く。
「とはいえ、今重要なのは飯の話じゃないだろう?」
「ああ。とりあえず、オレたちを見張っている連中について調べた」
「どうだった?」
「尾行は上手くない。専門家じゃない。でも厄介な点もある。そこそこ人数がいるから全員を特定するのは困難だし、オレがひとりでぶらぶらしていてもなんのアクションも起こさなかった」
「それが、厄介な点なのか?」
 甘酢あんかけの肉団子を食いながら、八千代は頷く。
「向こうは標的を君にしぼっている。あるいは、こちらをしばらく泳がせておくつもりだ。どちらにせよ対処に少し時間がかかる」
「大丈夫なのか?」
「なんとかするよ。相手の狙いを絞れれば、罠だって張れる」
 なんにせよオレは、黙って待っているしかないわけか。
 まだ頭から信用する気にはなれないが、少なくとも八千代がいて、ずいぶん救われるなと思った。彼のおかけで、いくらかは冷静でいられる。
 オレも八千代も、ものの5分ほどで夕食を終えた。互いに飯を食うのは早い。
 八千代は食後のキャンディをなめながら、ブラックのコーヒーを飲んでいた。
 オレはベッドに寝転がる。と、耳元に置いてあった、スマートフォンが震えた。
 ――ソルのスマートフォンだ!
 電波が、入った?
 オレは慌ててそれをひっつかむ。が、違う。
 左上の表示はやはり圏外のままだ。
 なら、今までのパターンでは、届くメールは決まっている。
 ――制作者からだ。
 オレは一通だけ届いていたメールを開く。

       ※

 青と紫の節、9番目の陰の日に、このページが君を救うだろう。

       ※

 青と紫の節、9番目の陰の日。
 その言葉には、聞き覚えがあった。
 あのドラゴンに食われる、わけのわからない未来だ。
 オレはそのアドレスをクリックする。
 ――だが。
 表示されたのは、奇妙なエラーメッセージだった。

 あなたはまだ、このページを閲覧する権利がありません。
 青と紫の節、9番目の陰の日をお待ちください。

 なんだ、それ。
「どうかしたのかい?」
 と八千代が声をかける。
 スマートフォンを放り出して、オレは首を振る。
「いや。なんでもない」
 そういえば、あのドラゴンの前に立っていたオレは、スマートフォンを覗き込んでいた。
 ――このページを、みていたのだろうか?
 いったい、なにが載っているというのだろう?
 アドレスは、これで完璧、と読める。
 馬鹿げたアドレスだと思った。

――To be continued
読者の反応

おおば @hdjjkhkl 
じゃんけんしてんじゃねーよwwwww  


moyalist @moyalist6 
攻略本を作れということかっ!  


空つぶ@3D小説bell参加中 @sora39ra 
攻略本ってwwww   


こー @koooh_1221 
つまるところ、指定日までにゲーム攻略を終えてルートを纏めろ、と。できなかったらBAD行っちゃうんだろうなあ。  


煙@制作者派 @smoke_pop 
いやーさすがに想定外ですわ…  


あいう @aiu_096 
攻略本か…
攻略説明の中にどうにかして
暗号みたいなの入れれないかな…
 

光輝@oculus泥酔 @koukiwf 
あ。気付いた。
あの攻略本を俺らで完璧に完成させて
久瀬君にオワタ式でクリアさせろってことか。
で、その時期があのよくわかんない日付で
そこまでテストプレイができる。
本番稼働は久瀬くんの命がかかった一回のみ。
 




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