神様はどこだ?
ホモサピエンス(人間)が絶滅しなかったのは「ファンタジー」を共有できたからだ、と思想家のノア・ハラリは言っていた。
「神」という、見えない概念をみんなで「いること」にしたおかげで社会は繋がり協力して生き延びた、みたいな話だと思う。
「偉大なる神」がいると、その他の人達は「凡人」でいられる。
「俺もお前も『ただの人』だから一緒に頑張ろう」なんて感じになれる。
どうにもならない事が人生に起きた時「この世には神様がいて、我々にはどうにもならない問題を解決してくれる」と思えればなんとかやっていける。
いや、そうしないと「もたない事」が多すぎるのが人生だ。
【漫画家と神様】
前にディスカバリーレイジチャンネルでやっておりますが、漫画家には「神様好き」がやたらと多い。
どんなに自分が「いい漫画」を描いたと思っても人気が出るかどうかはわからない。
やればやるほど「運」に支配されているのを感じて、どうにもできなくなって神社やらパワースポットなんかに通い出すのだ。
そういうのを僕もやるので気持ちはわかる。
中には「専門の霊媒師」なんかに頼る人達もいる。
凄腕の人気漫画家でも皆似たようなものなので、それだけ漫画家という仕事はプレッシャーが強いという事だろう。
【神様だらけ】
そんなわけで旅行なんかに行く度に「神様(仏像など)」を買ってくるもんだから仕事場には「神様」が溢れている。
僕は八百万の神を信じているし、何しろ「神仏習合」の日本人なので節操がないのだ。
その上友人やアシスタントや担当編集者まで「神様」を買ってきてくれるもんだからもうありがたく「神々」に囲まれて生きることにしている。
そして「ご先祖さま」の写真に手を合わせる。
何しろ「自分の努力」ではどうにもならない事が多すぎるのだ。
生きれば生きるほど「自分は何かに守られているのだ」と思うようになる。
そんなわけで僕は世界中の神様と暮らしている。
【顔のない仏像】
神社仏閣巡りをしていると、何度も「顔が破壊された仏像」に出会う。