めるまがアゴラちゃんねる
2014年11月第1週号
めるまがアゴラちゃんねる、第115号をお届けします。
配信が遅れまして大変申し訳ございません。
コンテンツ
・今週の池田信夫
アゴラ研究所所長、池田信夫のエントリーでアクセスが多かった記事、アゴラ・チャンネルの動画を紹介します。
・ゲーム産業の興亡(125)
継続する「モンスターストライク」のヒット
新清士(ゲームジャーナリスト)
アゴラは一般からも広く投稿を募集しています。多くの一般投稿者が、毎日のように原稿を送ってきています。掲載される原稿も多くなってきました。当サイト掲載後なら、ご自身のブログなどとの二重投稿もかまいません。投稿希望の方は、テキストファイルを添付し、システム管理者まで電子メールでお送りください。ユニークで鋭い視点の原稿をお待ちしています http://bit.ly/za3N4I
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今週の池田信夫
成熟産業としての経済学 - 『ミクロ経済学の力』
http://agora-web.jp/archives/1617998.html
本書は学部レベルの教科書だが、よくも悪くもミクロ経済学は成熟したという印象を受ける。第l部「価格理論」は私の学生のころとほとんど同じだが、第ll部「ゲーム理論と情報の経済学」は80年代以降に発展した分野である。大学院の教科書では半分以上が後者だが、本書では伝統的な経済学が7割、残りがゲーム理論などに当てられている。
G型大学とL型大学
http://agora-web.jp/archives/1618134.html
富山和彦氏のプレゼンテーション「我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機関の今後の方向性」が話題になっている。
「派遣社員を3年でクビにしろ」と主張する野党の倒錯
http://agora-web.jp/archives/1618651.html
労働者派遣法の改正案が、争点に乏しい国会の唯一の争点になってきた。野党は廃案を主張し、「派遣の期限を延長するな」と主張している。今は長期的に雇用されている専門職を3年で交代させる改正案もおかしいが、「すべての派遣社員を3年でクビにしろ」と主張する野党はもっ...
金がないと命も救えない
http://agora-web.jp/archives/1615345.html
先月27日のアゴラシンポジウムでは、政府事故調の委員長だった畑村洋太郎さんをまねいて、地震国日本のリスク管理を考えた。東日本大震災の教訓として学ぶべきことは多いのに、原発ばかりに関心が集中しているのは困ったものだ。
資本主義の不平等化は避けられない - 『大格差』
http://agora-web.jp/archives/1618564.html
1980年代以降、格差が拡大する現象が先進国に共通にみられるが、これには次のような原因が考えられる:
1. 技術革新
2. グローバル化
3. 資本蓄積
【アゴラVlog】ロンドンで展示された福島の「核のスープ」
http://youtu.be/WgOGVe0jhto?list=UUJHLwoEJ55msgoxeiqJjOvA
※これ以降は「週刊アゴラ」有料版をご覧ください。
http://www.mag2.com/m/0001559193.html
特別寄稿:新清士(ゲームジャーナリスト)
ゲーム産業の興亡(126)
VRイベントから見えるOculus Riftの普及の課題と可能性
10月25日〜26日、東京・お台場の日本科学未来館で開催された「デジタルコンテンツエキスポ2014」期間中イベントとして、オキュラスフェスティバル(通称OcuFes)が行われた。
これはVRを実現するヘッドマウントディスプレイの「Oculus Rift」の愛好者が集まって、自分たちが開発したものを展示するイベントだ。
OcuFesは、全国で自由に開催される形をとっているが東京での開催は、最大規模になる。
25日は、開発者会が行われ、6時間、30人近い講演者がOculusについて話すということが行われ、参加者は200名を超え盛況だった。26日のデモ出展は、22種類の数多く出展が行われた。
■戦艦大和の大きさを実体験できるデモ
米Oculus VRが開発したOculus Riftは、7月末より開発者向けキットの「Development Kit 2(DK2)」の販売が開始されている。昨年発売された、DK1と違い、ヘッドトラッキングシステムが搭載されたことで、頭を動かすと見えているVR映像が頭の方向に合わせて変化するという利点を持つ。すでに、世界に数万台の出荷が行われ、各地で様々な可能性を模索する開発の試みが続いている。
日本では、OcuFesを中心に草の根的に開発者の活動が広がってきているところに特徴があり、ユーザーが思い思いのアプリを開発して展示をしている。
例えば、仁志野六八氏が個人で開発して展示していた「軍艦搭乗&体験航海」というデモでは、自分が日本帝国海軍の駆逐艦霧島に乗船し、そこから、空母赤城や戦艦大和を眺めるアプリになっていた。VRの特徴は、テレビモニター等を通じてみる映像に比べた大きな違いは、その実際の大きさを把握できるところにある。
全長100メートルほどの霧島から、260メートルの赤城、大和を見るとその巨大さがはっきりとわかる。
特に、大和は甲板から射撃指揮所まで50メートルもあるが、その高さを過去にみたどのような映像よりもはっきりと感じられることができる迫力があった。決して現時点のモデリングのクオリティは高いとは言えないものだったが、それでも、映像表現能力としての可能性を感じる部分が大きかった。よりディティールが作り込まれて行くにつれて、迫力はさらに増すと思われた。
仁志野氏は11月より大和のVRデータを正確に再現するように開発する資金を得るために、クラウドファンディングを開始することを予定していると述べていた。
■VRが一般に広がる上で抱えている課題
現在、Oculus Riftは普及をする上では、さまざまな課題を抱えている。DK2はあくまで、開発者向けのもので、一般のユーザーも購入可能だが、まだまだ設定上の難しさなど利用上が容易とは言いがたい。
また、Oculus VRは来年以降にコンシューマ向けのハードの発売を予定しており、9月に「クレセントベイ」という試作機を発表しているが、具体的なハード仕様や発売時期、販売価格といった情報までは公開しておらず、開発者側も、どの時点のハード販売をターゲットとすればよいのかは、明瞭でない状態だ。
普及するのかどうかも、現時点でははっきりとしないため、どこまで各社が本格的に力を入れて開発をすればよいのか明らかでないのだ。
なによりも実際に体験してみなければ、VRのすごさが伝わらないという欠点もある。単にモニター等の映像を見ているだけでは、まったくその迫力が伝わらない。筆者は最近、どこにいくにもOculus Riftを持って回って、体験をしてもらう機会を作ることが多いのだが、体験した人からは大抵の場合、肯定的な反応が戻ってくる。
しかし、Oculus Riftを所有している開発者の絶対数が少なく、体験した人の数が少ないために、ごく一部の開発者だけが盛り上がっているという状態にとどまっている。まだまだ、一般の人に魅力が伝わる段階にまでは至っていない。ビジネスの機会は限られているのが現状だ。
■VRの創成期だからビジネスチャンスを探る企業
それでも創成期だからこそ、今後のビジネスチャンスを目指して、新規参入を行っている企業もある。
ウェブ開発や中古車販売などを手がけているライズアート(横浜市)が出展していたのは、シート筐体の「没入型VRレーシングシミュレーターのコンセプトモデル」だ。
レースゲームのゲーム内の動きに反応してアクチュエーターで操作されるシートが動作するというもので、ゲームへの没入感を高めるものだ。VR空間に振動が加わることで、実際に自動車を運転しているような気分は否応に増す。
同社は、過去に、ゲーム向けの筐体などは開発してこなかったが、個人ユーザー向けに商品化して展開することを検討したいと述べていた。今回のハードは、プロトタイプ版で来年以降にOculus Riftのコンシューマ版の発売を検討していきたいという。想定価格は20〜30万円とのことだった。ここまで値段が高くなってしまうのは、アクチュエーターの価格だけで20万円してしまうからだそうだ。
ただ、単にレースゲームが好きなユーザーだけをターゲットにしているのではなく、自動車販売を手がけているショウルームへの展示用の販売も想定しているとのことだった。爆発的なヒットは望めないかもしれないが、確実な参入方法として、手堅いビジネス化の方法のように感じられた。
まだ、VRに関わる関係者は一様に、VRを趣味で作る開発者が多くいる一方で、今後のビジネスとなる可能性を感じて開発を行っている企業もデモ出展を行ってきている。草の根として行われているOcuFesだが、趣味での開発と言うより、次第にビジネス的な展示の色彩も帯びてくるだろうと、筆者は予測している。
夜明け前ではあるが、Oculus Riftを実際に触っていると、日は昇るのはそれほど遠くないと感じられるのだ。
Oculus Festival in Japan
http://www.ocufes.jp/
仁志野六八氏の「軍艦搭乗&体験航海」が紹介されている神楽坂師団
http://yukikaze2ayanami.blog11.fc2.com/
ライズアート DC EXPO 2014 / OcuFes 出展のお知らせ(動画あり)
http://www.riseart.jp/news/event-dcexpo2014-ocufes/
□ご意見、ご質問をお送り下さい。すべてのご質問に答えることはできないかもしれませんが、できる範囲でメルマガの中でお答えしていきたいと思っています。連絡先は、sakugetu@gmail.com です。「新清士オフィシャルブログ」http://blog.livedoor.jp/kiyoshi_shin/ も、ご参照いただければ幸いです。
新 清士(しん きよし)
ジャーナリスト(ゲーム・IT)。1970年生まれ。慶應義塾大学商学部、及び、環境情報学部卒。他に、立命館大学映像学部非常勤講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)名理事。米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」(2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として「The Game Developer 50」に選出される。日本経済新聞電子版での執筆、ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」など。
Twitter ID: kiyoshi_shin
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