めるまがアゴラちゃんねる
2014年12月第2週号
めるまがアゴラちゃんねる、第120号をお届けします。
配信が遅れまして大変申し訳ございません。
コンテンツ
・今週の池田信夫
アゴラ研究所所長、池田信夫のエントリーでアクセスが多かった記事、アゴラ・チャンネルの動画を紹介します。
・ゲーム産業の興亡(132)
地獄を見たDeNAのフィーチャーフォンからスマホへの転換
新清士(ゲームジャーナリスト)
アゴラは一般からも広く投稿を募集しています。多くの一般投稿者が、毎日のように原稿を送ってきています。掲載される原稿も多くなってきました。当サイト掲載後なら、ご自身のブログなどとの二重投稿もかまいません。投稿希望の方は、テキストファイルを添付し、システム管理者まで電子メールでお送りください。ユニークで鋭い視点の原稿をお待ちしています http://bit.ly/za3N4I
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今週の池田信夫
NYタイムズの敗北宣言
http://agora-web.jp/archives/1623054.html
マーティン、
久しぶりに、君の記事を熟読したよ。君は私のところに2度やって来て日本経済について話し、われわれの意見はほぼ一致した。君の日本語は見事なので、この手紙も日本語で書く。英語の手紙は前に書いたけど、読んでくれたかな。
朝日新聞は自分の仕掛けた罠にはまった
http://agora-web.jp/archives/1612853.html
一時は朝日新聞の誤報騒動に茫然として言葉を失った韓国メディアも、ようやく反撃に転じている。ハンギョレ新聞は安倍首相の「慰安婦の女性たちを強制連行したのではないという事実を(朝日)新聞がさらに積極的に世に知らせる必要がある」という発言を批判し、「吉田証言が...
朝日新聞のねらいは「慰安婦」ではなく「国家賠償」だった
http://agora-web.jp/archives/1611966.html
朝日新聞の誤報事件を解明する上で重要なのは、なぜ彼らがこんなマイナーな数十人の(真偽も疑わしい)紛争に30年以上もこだわってきたのかという疑問だ。この口火を切ったのが、清田治史記者の書いた1982年9月の記事だ。朝鮮人男性の抵抗に備えるため、完全武装の日本兵十人...
「そこまで言って委員会」の放射能デマ
http://agora-web.jp/archives/1622742.html
きのうの記事に反響が大きいので、経緯を補足しておく。チェルノブイリ事故については、ちょうど先週のGEPRで紹介したので、読んでほしい。
「この道しかない」ってどんな道?
http://agora-web.jp/archives/1623118.html
衆議院選挙が公示されました。これは「アベノミクス解散」というのだそうです。安倍首相は「景気回復、この道しかない」といっていますが、意味がよくわからない。郵政解散のときみたいに、国会でアベノミクスが否決されたのならわかりますが、それを今やってるのに解散して...
世代間格差を是正する選挙制度改革が必要だ
http://agora-web.jp/archives/1621791.html
きょうのアゴラこども版に書いたのはわかりきった話だが、問題はこんな当たり前のことを主張する政党が一つもないことだ。特に三党合意で増税を決めた民主党まで増税先送りに賛成したのは無責任だが、現在の有権者の構成からはやむをえない。高齢者に迎合しないと、選挙に勝...
アベノミクスの終焉
http://agora-web.jp/archives/1621033.html
今年の7?9月期のGDP速報値が、予想以上に悪かった。これを増税の影響だという人が多いが、それは誤りである。増税の影響は一過性なので、右の図(朝日新聞)の比較でもわかる通り、半年たつとGDPはプラスに戻るのが普通だ。増税率はほとんど同じなので、この差は消費税以外...
原油暴落と闘う日銀
http://agora-web.jp/archives/1622561.html
原油価格が暴落している。今夜10時の段階で1バレル66ドルと、半年でピークから4割下がった。これが10月の消費者物価指数(総合・コアCPIとも)の前年比上昇率が0.9%に下がった最大の原因だが、このときはまだ90ドル台だから、今後もCPIはさらに下がるだろう。
池田信夫の【アゴラVlog】総選挙の争点から消えた「戦後レジーム」
http://youtu.be/yFtMVi29D_I
池田信夫の「アゴラ読書塾」講義より
安倍首相が語る戦後レジームからの脱却ですが、驚くべきことに今回の総選挙の自民党マニフェストには自身あれほどこだわった集団的自衛権については全く触れられていません。戦後レジームの発端である「吉田茂」を描いた、井上寿一著「吉田茂と昭和史」をテキストに、「吉田ドクトリン」から連綿と続く現在日本の政治のわかりにくさを考えます。
特別寄稿:新清士(ゲームジャーナリスト)
ゲーム産業の興亡(132)
地獄を見たDeNAのフィーチャーフォンからスマホへの転換
4日に、コーエーテクモの研究教育機関向けの研究費援助を行う科学技術融合財団(HOST)の20周年記念講演会「ゲームの未来」が行われた。4名の講演者の一人が、ディー・エヌ・エー(DeNA)の取締役・ファウンダーの南場智子氏だった。「調子に乗っていると、スマホで地獄を見た」と語る内容は興味深いものだった。
■信じられない成功「怪盗ロワイヤル」
09年にフィーチャーフォン向けにリリースされた「怪盗ロワイヤル」は、大ヒットしたが、その開発の背景には、ライバルであったグリーの「釣りスタ」のヒットがあったようだ。当時、フェイスブックで、米ジンガの「ファームヴィレ」などブラウザを使ったゲームがヒットしており、それらのゲームを研究したという。「ゲーム開発経験ゼロで、ゲームを遊んだことがなく、社内で腐っていたスタッフにゲームを作らせてみたのが、ブラウザゲームでの成功になった」
当時は「信じられない成功、桁違いの収益一体何なんだろうと思った」(南場氏)という。しかし、このときの大成功が「成功の呪縛に後々に苦しめられることになる」(南場氏)ともいう。
09年には、内製タイトルが成功している間に他社タイトルの参入も可能にするオープン化に踏み切った。ただ、実施すると、収益率が低下する可能性があり、アメリカの投資家に向けて、IR活動を行うと「まさかオープン化しないですよね」といわれたり、「グリーはオープン化しない」という噂が流れていたという。ただ、社内の開発リソースには限界があり、様々なタイトルの登場を促しユーザーニーズを登場させることを意図してオープン化をはかった。
結果的に、それがDeNAの大きな飛躍を生みだすことになり、通信パケットのシェア2割が、DeNAが展開するサービスのモバゲーが占めるという状態になった時期もあった「カードゲームバトル」と呼ばれる、現在の日本のソーシャルゲームでは一般化した分野が登場したのも、その肯定的な結果だった。
「オープン化をする決断をしてよかったなあ」(南場氏)
■フィーチャーフォンの成功体験がネイティブへの移行を阻害した
ところが、その後、フィーチャーフォンの市場は急速に、スマートフォンへと移行が始まる。12年2月にはガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」のiPhone版が登場してヒットが始まる。そうした動きに、DeNAは適応することができなかった。
「エンジニアは優秀で、その優秀さがよくない」(南場氏)
同じゲームシステムを他のアニメ等のコンテンツに切り替えるといった)側を変えたりカードの絵柄を豪華にしたりといった表現を豊かにするのは得意で、また、そうして開発したゲームが当時は中途半端にヒットが出てしまったという。そのため、「まだスマホ向けのネイティブ(専用)ではないのではないか、と社内的にはなってしまい、ブラウザ型のゲームの開発が中心になってしまう。根性のある会社は、成功の呪縛に長いこと直面する」(南場氏)
社内では、ネイティブ向けの技術を勉強すればいいじゃないか、ということになる。ところが、フレームレートの調整、メモリ解放など、細かい技術蓄積をやっていかないといけない。そういうノウハウはどこにも書かれておらず、蓄積には一つ一つ手こずるという状態が起きるようになった。
ネイティブの開発チームからは、もっと開発スタッフが必要という要求が来ていたという。ところが守安功氏を含めた経営トップは、「もっとフットワークを軽くやろうよ」とその要求に対して否定的な立場を取っていたという。「怪盗ロワイヤル」の開発チームはわずか5人で、数週間の開発で大きく成功した。なぜ、同じことができないのかと、経営陣は考えてしまっていたのだ。
■基礎技術と感覚の積み上げによって生みだされた成功
DeNAにとって、初の本格的なネイティブアプリの成功タイトルは、9月にリリースされた「ファイナルファンタジー レコードキーパー」(iPhone、アンドロイド用)になる。ファイナルファンタジーのIPのライセンスをDeNAが借りて、完全に独自開発を行ったものだ。現在は、アップルのAppStoreランキングで16位前後をつけている。リリースから1カ月で登録ユーザーは300万人を超え、月商も10億円に達している初の本格的なヒットタイトルだ。
このヒットが出るまでは、DeNAの売上はじりじりと減少して苦戦が続いていた。フィーチャーフォン市場の中で苦しい競争を強いられていた。
この開発タイトルを担当した執行役員は、経営会議で「怪盗ロワイヤルの成功は、5人で作ったからですか? 短期間で開発したからですか? あれ、おもしろかったからですよね」と主張したという。ユーザーにとっておもしろい、気持ちいいと感じる物が変わっている。それに合わせたゲームを作らなければならないという。結局、経営会議にも出てこなくなり、社内で反逆者的な存在になっていったという。
レコードキーパーのおもしろさを「剣を振って、気持ちよいキャラクターの動き」を実現するために力を入れたのだという。そのために、技術の蓄積を行ったという。スマホ向けの「忍者ロワイヤル」で失敗し、「三国志ロワイヤル」をリリースし、もう1タイトル開発して、細かい技術蓄積を行ってやっと実現できたものだという。運用はブラウザ時代の積み上げがあったので、
DeNAの経営陣は、ユーザーがおもしろいと感じるか、気持ちよいと感じるかの部分の理解は弱いと、執行役員は述べたという。
最近、社内で行った、業績評価の表彰式で、関わった全スタッフが、壇上に集まったのだそうだが、「こんなにたくさんのスタッフが関わっていたのかと驚いた」(南場氏)
南場氏は、フィーチャーフォン時代のゲームの「ボタンを押す」がまだ中心で、スマホのタッチパネルを活かした操作システムである「引っ張る」といった表現には「ついていけていない」と述べた。「表現を豊かにした大本営発表」だったと。
まとめとして、「モバイルゲームの未来は、3年語はこうなっているという人の話は信じない、わかっているはずがない」(南場氏)と述べた。「次の波に乗り遅れるのではと、ゆっくり正月気分を味わえる気がしない。ただ、あのときは見誤ったよねと、言えるようになった」と。
□ご意見、ご質問をお送り下さい。すべてのご質問に答えることはできないかもしれませんが、できる範囲でメルマガの中でお答えしていきたいと思っています。連絡先は、sakugetu@gmail.com です。「新清士オフィシャルブログ」http://blog.livedoor.jp/kiyoshi_shin/ も、ご参照いただければ幸いです。
新 清士(しん きよし)
ジャーナリスト(ゲーム・IT)。1970年生まれ。慶應義塾大学商学部、及び、環境情報学部卒。他に、立命館大学映像学部非常勤講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)名理事。米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」(2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として「The Game Developer 50」に選出される。日本経済新聞電子版での執筆、ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」など。
Twitter ID: kiyoshi_shin
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