本日の記事は、 7月15日の日本経済新聞の1面の記事から。
<リンク>日本経済新聞 物価考 期待ってなに? 安心と希望、政策に責任
15年間もの間、物価が下がるデフレ不況に日本は悩まされた。
消費が冷え込みデフレ不況になった原因について、このコラムは論じている。
その内容は以下の通り。
・日本のデフレの原因は、人口減少のためではない。
世界180カ国のうち、この5年で人口が減少したのはドイツなど18カ国あるが、長期デフレになったのは日本だけ。
・デフレが続いているのは、人々のデフレ期待のため。世の中が良くなると言う安心感がなければ、
インフレ期待は盛り上がらず、物価も上がらない。
こういった趣旨の文章である。
しかしインフレ期待が無いからインフレにならないというのはおかしい。
何故なら、今までの資本主義国では、インフレ期待などはかりようがない社会でも世界中でインフレになってきたのだから。
過去インフレでなかった国、つまりデフレであった国はどこか?
・98年以降の日本
・世界恐慌期の各国
・1800年代のイングランドの一時期
たったこれだけ。
その他の殆どの時期、及び世界中の国々ではインフレが当たり前。
それでは、それらの国の全てがインフレ期待が働いてインフレになっているのだろうか?
なるわけがない。
そもそもインフレ期待などはかりようが無い。
物価連動国債の金利と普通国債の金利差がインフレ期待?
そんなものは最近、発生した一つの指標に過ぎない。
そもそも物価連動国債自体、最近発売され始めた商品に過ぎない。
そんなことで何百年も世界中の資本主義経済で続いてきたインフレの現象が説明できるはずがない。
インフレの原因は、お金の量である。
その国の生産力の成長率よりも、お金の量が激増すれば、消費が増え、かつお金の価値が下がりインフレになる。
世間のインフレ期待などは、経済に全く関係ないとは言わないが、
インフレ期待など存在しない国でもインフレになる。
インフレ期待など全くなくても、お金を世の中に大量にばらまき消費を増加させればインフレになる。
そして、日本がデフレだったのは、インフレ期待が盛り上がらないからではなく、お金の量が足りないからデフレになった。
つまりインフレ期待というのは、インフレを語るときの
十分条件になり得ないのである。
インフレ期待が盛り上がれば企業の設備投資が盛んになり、インフレになるという。
しかし経営者の立場に立てば解ると思うが、設備投資を増加させるのは
自社の売り上げが上昇しているときだ。
インフレでもデフレでも自社の売り上げは上昇しないのに、設備投資を行おうとするだろうか?
デフレの時でもユニクロのような会社はどんどん設備投資をしてきたではないか。
少なくともデフレからインフレへと経済全体を底上げするほどの影響力はないだろう。
企業の生産増にとって重要なのは経済成長率だろう。
その社会が来年、5%成長するなら、多くの企業の売り上げも5%伸びる。
その分の生産量を増加させるための設備投資を行うというなら解る。
何故、インフレ期待などという概念が跳躍跋扈しているのか?
そこにお金の量が直接、消費や投資に結びつくという当たり前の経済現象の観点から目をそらさせる、
経済学の新たなる煙幕の役割を感じる。
経済学が時の権力の道具になっていることは、古今東西共通した現象である。
それは、社会主義国も、資本主義国も同じ。
それでは現在の資本主義国の権力はどこか?
国際機関や中央銀行やグローバル企業、マスコミや学術機関に強い影響を与えている国際金融財閥である。
ここが学術機関やマスメディアの最大のスポンサー兼所有者となっている。
インフレ期待などという曖昧な概念で、解りにくくさせるための新たなる理論のように思える。
物価を考えるときに期待インフレ率などというものを過剰に重視するのは、
あまり意味があるとは思えないのでやめておいた良い。
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