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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第118号(2017/7/28号/月2回発行)
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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第118号(2017/7/28号/月2回発行)

2017-07-30 19:54

     『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』の公開が9月16日に迫りました。一足早く本編を見まして、バンダイビジュアルの「V-STORAGE online」の「エウレプレス」に見どころコラムを寄稿しました。ネタバレにはなってませんので、興味ある方は是非。

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    1.最近のお仕事紹介
    2.Q&A
    3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
    4.お蔵出し原稿
    5.連載一覧


    1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     8月19日 特別講座「編集の仕事を知ろう」
          講師:平木大輔(『NEW GAME!』『舟を編む』『月がきれい』等編集)。
          実際の作品の映像を使って編集の仕事を説明いたします。
          【受講申込】
     9月16日 アニメは戦争をどう扱ったか
          『桃太郎海の神兵』から『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』まで
          【受講申込】

    2.7月と8月のSBS学苑
     7月は『王立宇宙軍 オネアミスの翼』。 【受講申込】
     8月は「アニメの魅力 『ガンダム』から『おそ松』さんまで」。
     8月は「お試し版講座」ということで、静岡と沼津で開きます。内容は『逆襲のシャア』『秒速5センチメートル』『おそ松さん』の3本を90分でギュッと紹介します。この講座は学割アリです。
     午前10時30分:パルシェ校 【受講申込】
     午後:イーラde沼津校 【受講申込】

    3.8月のオタクの学校
     8月5日15時スタートの『オタクの学校』「アニメを読む」は『シン・ゴジラ』を取り上げます。17時からの齋藤さん講座のテーマは「オタク的『恐怖と怪奇』の楽しみ方」。
     http://modelkingdom.net/wp/gg/


    Q&A

    「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。


    連載「理想のアニメ原画集を求めて」

    文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

    第46回『ローリング☆ガールズ 原画集』

     『ローリング☆ガールズ 原画集』は、制作中という情報をTwitterで見かけて心待ちにしていたのですが、そのあと特に告知などもなく、そのうちに1年以上も経ってしまい、きっと無くなってしまったんだなあと思っていたところ、なんと2015年の放映から2年経った、2017年の今年に発売されました。
    期待していた理由は、キャラクターデザインの北田勝彦さんのファンだったこともあるのですが、以前発売された『ローリング☆ガールズ 設定資料集』が良い本だったことも大きいです。

     最近は原画集だけでなく、アニメの設定資料集も実はよく発売されています。多いのはアニメグッズメーカーのmovicから発売されているものですが、これは書籍というよりはグッズ的な商品なので、取扱店が限られていて、販売期間も短く、後から手に入れづらいのが難点です。
    また、出版社から書籍として販売されるものもありますが、できの良くない本が多く、購入して悲しい思いをすることもしばしばです。掲載されている絵が小さすぎたり、中には絵にスムージング処理がかかっていないために、線のドットが荒い状態で掲載されている本など少なくなかったりします。

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     そんな中で、『ローリング☆ガールズ 設定資料集』は、実に満足感のある設定資料本でした。
     掲載されている絵が大きく、画像としても綺麗です。登場人物が非常に多い作品ながら、余すところなく掲載されており、立ちポーズ、表情集、線画、カラー設定、プロップデザイン、美術設定、美術ボードなどもしっかり掲載されていました。
     何よりいちばん興味深かったのは、北田さんの「作画注意事項」が掲載されていたことですね。
     作画注意事項というのは、作画をする際の注意事項が書いてある設定で、その多くは後工程へ素材を渡しやすくするための伝達事項です。
     ところが、こだわりのあるキャラクターデザイナーの中には、そこに絵の考え方や作品を通して表現したいものを書く人がいて、非常に面白い資料なんですね。特に『ローリング☆ガールズ』での北田さんのこだわりは、記号的なアニメの表現を脱しようとしていて、興味深いです。
     北田さんは、作画注意事項で「肩」はもっと動くということを意識してほしいと書いていました。原画集を見る時には、掲載されている北田さんの原画で、肩がどうなっているのか見てみると良いかもしれません。
    とにかく充実した本で、これから出版されるアニメの設定資料集はこの本を目標にしてほしいと思います。

     そして、そんな設定資料集の後に満を持して出たのが、今回の原画集というわけです。
    4,320円の値段は、少々お高めに感じたのですが、手にするとずっしりと重みのある分厚い本で、中身も満足感がありました。
     まず、掲載されているカットのチョイスが良いです。スタッフの方が選別しているというつぶやきをTwitterで見ていたので、信頼感があったのですが、良い内容でした。OPと全12話の中から選別されていて、ここが見たかったというカットがしっかり掲載されていました。
     原画には担当者の名前が記載されている形式なのですが、「WIT STUDIO」という記名が多く、これがWIT社内のアニメーターという意味なのか、名前の掲載までは断られたので素材のみの掲載という意味なのかは分からなかったです。

     バラエティに富んだ内容の作品なので、いろんなシチュエーションのカットが一冊で見られるのが楽しいですね。第1話のラーメンを食べるシーンや第8話やOPの演奏シーンの原画は多めに掲載されていました。
     アニメのキャラクターが演奏をする動きは『けいおん!』以後とても増えましたが、原画集で見たのは自分は初めてかもしれないです。食事シーンというのも、なかなか見たことがなかったですね。
     表情を見せるカットでは、北田さんの総作画監督修正が大きめに掲載されていたり。もちろん、アクションのカットもたくさん掲載されています。アクション作画監督の今井有文さんのアクション監督修正も掲載されていました。
     「アクション作監」という役職をアニメで目にするのも珍しくなくなっている位の昨今ですが、そういえばアクション作監の方の具体的なお仕事というのを、この原画集で初めて見たかも知れません。

     担当者の名前が明記されているので、カットを担当されたアニメーターが自分の想像と違っていて、新しく巧い人の名前を覚えたりして、こういうのが楽しいんですよね。
    本編クレジットではペンネームの「引谷汚低」だったのが、原画集では本名の「押山清高」さんになっていたり。ノンクレジットだった人が、ペンネームの「MISSILE☆MAX」という名前で掲載されていたり……。MISSILE☆MAXさんは、とある天才アニメーターのペンネームだと思われるのですが、この方の原画はレイアウトからラフ原画まで掲載されています。
     待った甲斐もあって、じっくり楽しめた本でした。設定資料集と合わせて、長く楽しんで見ていきたいと思います。

    (『ローリング☆ガールズ 原画集』/株式会社ウィットスタジオ/4,320円)


    お蔵出し原稿

     「アニメ喜怒哀楽」から「正義の怒りの行方」を再掲します。2008年の原稿で、この時点では『コードギアス 反逆のルルーシュ』はまだ完結していません。そのあたりも含めてちょっと懐かしい感じの原稿です。

    正義の怒りの行方

    「正義の怒り」はどこへいったのか

     「正義」と「怒り」はたいがいワンセットだ。いや、かつてはワンセットだった、といったほうがいいか。'70年代の主題歌を聞くと、「怒り」や「怒る心」といった単語が実によく登場して、燃えたり、一直線に並んだり、ぶちかまされたりしている。「怒り」という主人公の個人的な行為と、「正義」という社会的な規範とが、重なり合っているのが当たり前だった時代の、牧歌的な風景ともいえる。その後、アニメの中には「ハイターゲット向け」と呼ばれる中高生を主な対象とする作品が生まれ、そこではもうちょっと複雑な作劇が求められ、「正義の怒り」は前面に登場することは少なくなった――。

     
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