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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第57号(2015/1/16号/月2回発行)
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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第57号(2015/1/16号/月2回発行)

2015-01-16 21:25

     あけましておめでとうございます。2015年もよろしくお願い致します。
     僕はといえば年明け早々、12月に続いて1月にも滅多にないほどきつい風邪を引くという微妙なスタートになってしまいました。39度台を長時間マークし、しんどくて寝られなかったのは学生時代以来でした。おまけで今、スケジュールがいろいろバタバタしております。
     風邪だけでなく、インフルエンザもまだはやっているようですので、皆様お体にはくれぐれも気をつけて。
     では今回もいってみましょうか。

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     素敵なキャラと過ごす特別な日……
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    1.最近のお仕事紹介
    2.新春特別寄稿「一度でもアイドルを好きになったことがあるなら」大曲智子
    3.不定期アニメ日記
    4.Q&A



    最近のお仕事紹介。

    1.朝カル講座「アニメを読む」(東京)
     朝日カルチャーセンター新宿教室で行っている講座「アニメを読む」ですが1月以降は以下のラインナップです。1月はだいぶお申し込みいただいているようです。
     1月17日 特別講義「君にも描ける!絵コンテ講座」
          ゲスト講師:アニメーション監督・京田知己
     用意されたお題を踏まえて自由に絵コンテを描くワークショップです。実作業を通じて、演出家がどう画面を組み立てているかを体感し、映像を見る目を養うのが目的です。絵が描けなくても楽しめます。
     2月21日 『かぐや姫の物語』
     3月21日 『たまこラブストーリー』
     http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=267640&userflg=0

    2.レビュー(短評)の書き方講座
     東急セミナーBEたまプラーザ校で開催中のレビュー講座。1月~3月期が募集中です。文章の書き方を学びたい人、是非。
     1月17日 レビューとは&「私のおすすめ」
     2月21日 『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』
     3月21日 『風立ちぬ』
     http://www.tokyu-be.jp/seminar/2015010004EJ01001.html

    3.SBS学苑「アニメ映画を読む」
     静岡で開催している講座です。1月25日10:30からの講座のテーマは『ルパン三世』。『ルパン三世』の原作が登場したのは1967年。その後1972年にアニメ化されて、40年以上も多くのファンに楽しまれ続けています。では『ルパン三世』の魅力はどこにあるのか。1978年の映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』を中心に取り上げながら、実写版、最新作『次元大介の墓標』を含めたシリーズ全体を考えます。
     http://www.sbsgakuen.com/gak0130.asp?gakuno=2&kikanno=164252


    新春特別寄稿

     年始ということで特別企画です。
    「2014年の印象に残ったアニメ」といった趣旨でお二人のライターに自由に書いてもらおうという企画です。
     トップバッターはライターの大曲智子さんです。大曲さんには新書『ガルパンの秘密』(廣済堂新書)やBlu-rayボックス『ピンポン』などで力を貸していただきました。

    一度でもアイドルを好きになったことがあるなら

    ライター 大曲智子

     多くの人気アニメが生まれた2014年。その中でも7~9月は、『Free!-Eternal Summer-』や『幕末Rock』、『戦国BASARA Judge End』など女性向けアニメが飽和状態になるという、熱い熱い夏だった。その中で忘れてはならない、いや忘れられないのが、アイドルアニメ『少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 49-』(以下、『少年ハリウッド』)」である。そのキャラクターを初めて見た人は誰もが驚いただろう。妙に目鼻のクッキリした濃い顔と、生身の人間に近いリアルな等身。そんなビジュアルの少年たちがアイドルを目指すというのだから、インパクトはなおさらだった。しかしこの生っぽいキャラクターデザインこそが、作品の目指す場所をすでに物語っていたように思う。これは「リアル」な物語であると。
     私がこの『少年ハリウッド』について書くことになったのはなぜかというと、2次元なら『うたの☆プリンスさまっ♪』(『うた☆プリ』)、3次元ではK-POPの男性アイドルグループに入れ込んでいるアイドル好きアニメ好きライターだからであり、『少年ハリウッド』もわりと好意的に見ていたからである。以後お見知りおきを。
     かつて一世を風靡した7人組のアイドルグループ「少年ハリウッド」。その解散から15年後の世界がこの作品の舞台だ。その初代少年ハリウッドが公演を行っていた劇場に、5人の少年たちが集まっていた。アイドルへの思いも性格もバラバラな5人が、「新生少年ハリウッド」になることを事務所のシャチョウに命じられ、悩みながら人気アイドルを目指す成長物語である。
     アイドルアニメというと『THE IDOLM@STER』に『ラブライブ!』、『Wake Up,Girls!』など多数あり、どれも女性アイドルが主役だ。しかし男性アイドルアニメに限定すると、代表はやはり『うた☆プリ』シリーズ。そのほかには幕末を舞台にした『幕末Rock』、男性アイドルグループが脇役で登場する『THE IDOLM@STER』といったところか。男性アイドルアニメはまだまだ発展途上なのだ。
    『うた☆プリ』はいわゆる乙女ゲームが原作ということもあり、ファンタジックで非現実的な世界観だ。天性の才能と美貌を持った者がアイドルとなり、女性たちを魅了する。一方、『少年ハリウッド』のアイドルはみなごく普通な男の子たちである。第1話で2人のメンバーが帰宅途中の電車内で女の子にチラチラ見られるシーンがあったが、それを見た瞬間、私はこの作品に好感を持った。この5人は日常で出会うレベルの美男子であり、そんな彼らが成り行きでアイドルを目指すことになるのだろうと。『うた☆プリ』とは方向性がまったく違うため、これを機に男性アイドルアニメがもっと増えればとまで期待したのだった。
     『少年ハリウッド』はズバリ、アイドル哲学を詰め込んだ作品である。「アイドルは夢とキラキラの中にしか生きられない」、「17歳は一瞬で過ぎる。だから輝くんです」、「キミがいつかここで歌ってそれを見て元気になった人が、誰かに優しくできたり次の日頑張れたりする。それが奇跡」など、アイドル好きならブンブンと大きく頷きたくなるような珠玉のセリフのオンパレード。このアイドル哲学を受け止める力がないと、はっきり言って最後まで見ることはできない。
     この作品のもうひとつの特色に、泥臭さがある。少年ハリウッドの5人はチラシ配りを自分たちで行い、劇場を自分たちで掃除する。ジャージ姿での練習シーンが多く、家や学校で「アイドルねぇ」と小馬鹿にされたりもする。どんなアイドルにも無名の時代は必ずある。その時期をしっかりと見せればステージがより輝いて見える、と意図しているのだろう。それにデビューまでのドキュメンタリーは、ファンにとってぜひ見たいもの。これまたアイドル好きのツボを突くポイントなのである。
     というように、『少年ハリウッド』は少年たちの成長物語であることには違いないのだが、舞台公演や歌番組の様子を1話分丸ごと使って表現するなど、予想だにしない回が話題になったのも事実だ。ちなみにこの作品、初代少年ハリウッドを書いた『少年ハリウッド』(小学館文庫刊)という小説をベースに、舞台、アニメと続くプロジェクトなのだが、前述の通りアニメは2代目少年ハリウッドの物語であり、完全オリジナルストーリー。この1月から始まった第2期『少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 50-』の展開もまた未知数なのである。
     数ある深夜アニメのひとつとして見るだけではわからない、『少年ハリウッド』の魅力。一度でもアイドルを好きになったことがあるならきっとハマると断言しておこう。2014年に異彩を放ったこの作品、アニメの歴史に残る可能性だって充分に秘めている。だって奇跡を起こすのがアイドルなんだから……!
    ~BGM=少年ハリウッド「永遠never ever」~


    不定期アニメ日記

     「『ベイマックス』を見て日本のクリエイティブは完全に死んだと思った」という増田(アノニマス・ダイアリー)が話題になっていて読んだんですが、わりとテキトーというか、今更というか、とてももやもやする内容だったので、この日記をだしにちょっといろいろ考えてみようと思います。
     まずこの日記の内容ですが、さすがにちょっと現状把握が雑すぎなんですよね。
     「ちょっと前のディズニーって刺激のない砂糖菓子のような子供向けだった」的なことを書いてますけど、ピクサーとの合併後(ジョン・ラセターのCCO就任)からディズニー作品のかなりテイストは変わってるんですよね。『ボルト』とか『ラプンツェル』見てないの? と。
     もうちょっと遡れば『リトルマーメイド』から『ターザン』あたりまでの、アイズナー&カッツェンバーグ体制下(毀誉褒貶あれど)での作品も、「お子様向けで砂糖菓子」とだけはいいづらい魅力ある作品が並びます。
     個人的に公開当時に「日本のアニメはヤヴァイんじゃないの」と思ったのは、『ノートルダムの鐘』でした。題材が攻めている(主人公が不幸な身障者)だけでなく、ヴィラン(悪役)の複雑な葛藤に踏み込んでドラマを盛り上げていく手法は、それまでのディズニー作品にはなく、むしろ、日本のTVアニメに近い感触すらありました。でも、日本のクリエイティブは危機にはなっていないわけで。
     と、そんなこんなで、この増田はそんな間違った認識に基づいた上での「提言」なので、基本無視してもらっていいんじゃないかと思いましたが、本題はそこではなく。

     
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