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黒侍さん のコメント

※超長いです。本当に申し訳ありません。見ない方がいいです。
「肝試ししてみようよ!」彼女に押され渋々了承してしまった俺は、近所に検索箇所を絞り、有名そうなホラースポットをスマホで探していく・・・もちろん、彼女はすぐ隣から覗き込んでくる。クーラーが効いているのに顔が熱い。次のページをタッチでめくる。
すると「あっ!こことか良さそうじゃない?」彼女の指先を見る。が、そこはレビュー数たったの4。評価も最低。極めて地味な学校のようだ。いや地味じゃないホラースポットなんて行きたくないけど・・・。
「ねぇ、ここにしてみようよ!」いつもの事だが、なんだか今日はグイグイくるな。そんなに俺と行きたいのだろうか?
「あ、そうだ!懐中電灯用意しなくちゃ!」・・・え?懐中電灯?俺はパピコを口から落としそうになりながらも彼女が選んだ場所をよく見てみる。
・・・そこは丘の上にある、築30年のただの古びた3階建ての小学校で、日当たりは良好、多少林に囲まれているが見晴らしがよく、懐中電灯を使うような場所ではない。
「何言ってるの?私達は廃墟探索じゃなくて肝試しに行くんだよ、当然夜に出発するの!」・・・ですよねー
~そして夜~
俺達は今その学校の校庭の丁度真ん中にいる。
だがホラーゲーム実況で怖いのは慣れてはいるが実際目の前まで行くとすごく迫力があるな・・・。
なんだか俺が通っていた小学校より新しいはずなのに、それはまるでボロボロで、とても築30年には見えない・・・
「け、結構迫力あるね・・・」彼女も珍しく物怖じしているようだ。必死に俺の袖を掴んで密着してくる。
・・・いかん、柔らかい物が当たって・・・。「ねえ」俺はドキッとした。まさか・・・バレたのか?
「どこから入ろうか?正面の昇降口は閉まってるみたいだし・・・」良かった、アレの存在には気付いてない。
そうだな、校門は乗り越えたが、流石に中に入るには施錠の件をクリアしないと。
「ちょっと開けてみようか?」そういうと彼女は昇降口まで走っていく。流石に男として遅れるわけにはいかないので俺もすぐに追いかける。
「・・・やっぱり閉まってるね」まぁ、当然といえば当然だろう。もしかしたらそれでレビュー数が少なかったり最低評価だったのかも。
「せっかく来たんだし、もうちょっと探してみようよ!」・・・おいおい、勘弁してくれよ。
学校の裏である北側に回ってみる。伸び放題になった雑草に少しもたついたが、やっと裏に回った。
かつてはうさぎでも飼っていたのだろう、どこにでもあるうさぎ小屋が2つ並んでそこにあった。
少し進むとかつて鯉でもいたでだろうただのでかい池がある。ライトで水面を照らしてみたが、もう魚はどこにもいないようだ。
「あ、“非常口”あったよ」彼女が照らした方を見ると簡素な屋根が付いた非常口らしき扉を見付けた。
もうカバーもボロボロで、その隙間から羽虫が飛び回るのが見えた。
どうやらこの非常口?は屋外通路のようで反対をみると体育館に繋がっているようだ。
「・・・駄目、こっちも閉まってる~」当たり前の事だ。そうしないと不良やホームレスのたまり場、もしかしたら犯罪にも使われるかもしれないのだから。
そろそろ諦めて帰る方がいいだろう。だいぶ時間も経ってきたし、何より夏とはいえ夜は少し肌寒い。
彼女もハーフパンツに半袖では寒いだろう。
「あっ!」彼女がなにやら元来た道を戻っていく。
「ここ!開いてるんじゃない!?」それは廊下の窓のようだ。懐中電灯で照らしてみる・・・た、確かに鍵が開いてる・・・。
おいおい、帰れると思ったのに・・・マジかよ・・・。
彼女にせがまれその辺にあった適当な木の踏み台を見付けて彼女が入っていく、その時、彼女のパンツが見え、落ち着いた俺の興奮がまた昂ぶっていくのだった。
「・・・中は思ったよりキレイだな」
まさかこの前一緒に見た実況動画のゲームのセリフを言ってくるとは・・・。
俺はそれにノってたけしのセリフを言う。お、おいもう帰ろうぜ・・・
「なんだよビビシ、たけってんのか?」
思わず吹き出した。どこでそんなの覚えてくるのか。
・・・しかし本当に綺麗だな。
外観がアレだったから中も床が抜けていたり、色んな死骸が落ちていたりを想像していたが、まるで今も使われているかのように綺麗だ。
「じゃあまずは1階を探索して、2、3階と回っていきましょう。」
正直想像していた廃校よりずっと綺麗な内装なのでちょっと恐怖心が和らいだ。
1階を見てみる。まず1年生の教室と2年生の教室、そして職員室と保健室があるようだ。
「・・・ずいぶんクラスが少ないのね」
確かに少ない。教室の大きさは普通だが1クラスしかないようだ。
というか職員室も1クラス分しかない狭い作りだ。
「もともと人が少なかったのかな?それで人が集まらなくて廃校になっちゃったとか」
職員室の前にある掲示板には当時の張り紙があった。「廃校のお知らせ」というタイトルだった。
廃校になったのはどうやら今から15年も前の事らしい。張り紙もそこ以外は霞んでてよく読めない。
15年も前となると・・・当時の俺はやっと立つのを覚えた頃ぐらいだろうか。
保健室の前に着く、ほけんだより。なにやら懐かしい物が貼ってあった。
あったのだが・・・こちらは本当に色褪せてしまってて読めなかった。
「わぁ、懐かしい!ほけんだより!」
何やら一人で盛り上がっている。
「ねえねえ、歯の歯垢検査ってやった?」
歯垢検査?確か、赤い錠剤を噛んで鏡を見て赤くなった歯を紙に書いていくアレだったか・・・。
「私アレ苦手でね、いっつもすっぽかして先生に怒られたっけ」
懐かしいと言って楽しげに話す彼女。
そんな顔を見ると、肝試しで来ている事を忘れてしまいそうだ。

先ほどの正面玄関、昇降口前の下駄箱に到着した。
「一応6年生まであるみたいだね」
そうだな、だけどこれは・・・
「うん、全部1クラスしかないね」
予想はしていたが全部1クラスだけとは・・・。
「これなら回るのもすぐ終わっちゃうかな」
確かにすぐ終わりそうだ。俺は今から帰り道の話題を考えるので頭がいっぱいになった。
たまには肝試しも悪くないかな。
「帰ったら今日は朝までホラーゲーム三昧だよ!」
あ、やっぱ帰りたくないかも・・・。
それから無事に2階、3階へと到着し、特に目的と言えない目的を達成。再び帰路につこうとしていた。
「帰りにコンビニ寄ってアイス買おうよ!」賛成だ、丁度またあの時のアイスが食べたいと思っていた所だった。
「飲み物も買って、朝までゲームするの!」それは勘弁してくだ――
ガッシャアアアアン―ッ!!!
!?
「!?」
何かが砕けた音が下から響いた。
「・・・・・」
彼女が無言のまま走り去っていく。
どうやら階段へと向かっていくようだ。
トンットンッ
カツンカツンとお互いの靴の音だけが階段に響いている。
2階へ降りると彼女の姿は無かった。
1階に降りようとする。いた!そっちにいたのか!だが様子がおかしい。
階段の手すりからまるで下を覗いているようにコソコソとしている。
彼女は俺に気付いたらしく近づく俺にジェスチャーで何かを伝えてくる。
・・・それを・・・消せ?懐中電灯を消せ?・・・まさか・・・。
そんな鈍い俺じゃない。まさか、誰か侵入してきたのか・・・?
灯りを消させたのも気付かせなくするため・・・?
俺は息を殺して彼女に近づき、手すりから下の様子を見てみた・・・。
・・・!?
な・・・なんだあれ!?そこには足だけしか見えないが確かに何かがいる事を証明していた・・・。
その何かはカシャカシャとどこかへ行ってしまったようだ。
再び考えたが・・・
だがなんだあれは・・・、白い、とにかく白いのだ・・・。そして細い。
アレはまるで・・・。
「・・・骨?」
彼女が言った。無意識に目を逸らそうとしていた俺に、正面から。
「あ・・・あれって、骨・・・だよね?」もう1回言う。
そんな事ないと言いたい。だが、1回アレを見てしまったら・・・いやでも認めざるをえない。
とにかく脱出しなければ!
俺達は頃合を見て、1階へ降りると入ってきた窓から脱出を図る。
まず彼女が窓枠に足をかけ脱出する。その後に俺も同じように脱出する。なんとかなった。
そう思った時だった。
バキッ!
なんと入る時に設置していた踏み台が俺の重みで壊れてしまったようだ!
そのまま俺はバランスを崩し盛大に顔から転んでしまった!
ガラララッと中から扉を開く音がする。気付かれた!?
俺は彼女の手を引いて一目散に走り出した!
校庭に出て気がついた。外は静かだった。虫の音すら聞こえてこない。
俺達は大急ぎで校門をよじ登った。幸いにもアレは追ってこないようだ。早く帰ろう!そう彼女に言った時だった。

「ニ   ガ   サ   ナ   イ」

耳元で囁くように聞こえたその声に俺達は無我夢中で丘を下る。
途中、灯りの点いたコンビニが見えた。助かった!
そう思って俺達は店内に飛び込んだ。
ピロピロピロピロ~♪ラッシャッセー
気の抜ける音と共に俺達には安心感と余裕が生まれた。
すると俺達は、どちらからともなく笑い始めた。
緊張が解れた反動だろう。不思議だ、あんな怖い物を見たのに、今は笑っている。
「あー怖かった。なんかもう、しばらくホラーはいいかな。」
俺は始めからホラーゲームをやる気はなかったから、なんにしても彼女の気が変わって良かった。
「あっそうだ、アイス選ぼう!」
そういえば言ってたな、よし、俺はスイカバーを
「本当にスイカ味が好きなんだね」
彼女もアイスボックスから同じやつを手に取る。
俺は2人分のアイス、それに炭酸を2つレジに運んで会計する。
「じゃあ早く帰って映画でも見よう!・・・二人っきりでね♪」
早る気持ちを抑え、俺達は帰路につくのだった。
~END~


ピロピロピロピロ~♪
「「ありがとーざいましたー・・・」」
再び店内にはラジオの音だけが聞こえてきた。
「・・・変な客だったなぁ、顔傷だらけだし、“一人”で笑いだしたかと思ったらなんか、ぶつぶつ言ってたし・・・」
~END~
No.33
77ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
「私、今日からあなたの彼女だから!」 目の前にいるのは可憐な美少女。 相対するは普段着のジャージにスイカバーを持った僕。 透き通るような白い肌が夏の日差しの下で眩しい。蝉の鳴き声が僕を囃し立てるように、深緑の中で響いていた。 何なんだ。一体何なんだ、この神様からの特大プレゼントは。 暑さではなく、体が火照るのを感じながら僕はゆっくりと彼女を見た。 こうしてこの夏、僕は運命のヒトに出会ってしまった。 ----------------- ジリジリと照りつけるような夏。 世間は夏休みなんだよなぁ、なんて思いながら僕は真っ白なカレンダーを見てため息をつく。このままでは記念すべき夏休み第一週目を浪費してしまいかねない。勿論それなりに年頃だし、彼女だって欲しいとは思っているのだが。 「どっかに超絶美少女、落ちてないかな……」 思わず口をついて出た独り言に苦笑しながら、重たい腰を上げる。よし、アイスでも買いに出かけようか。自分へのご褒美とやらだ。いや、誤解なきよう付け加えるが僕は他人にも頗る親切である。面倒見の良さで友達のペットを誑し込むのは得意だし、近所のお婆ちゃんにはモテモテだし、この前なんて傷だらけのカブトムシを助けたりした。 履き慣らしたスニーカーに着替え、僕は初夏の日差しを浴びに出かけた。  キィ、と古い音を立てる家のドアを開くと、夏独特の臭いが鼻をつく。 「あー、夏だなぁ」 澄み渡る青空。もくもくと広がる入道雲。毎年同じ、退屈なだけの夏休みが始まる…その期待は、いい意味で裏切られることとなる。 歩くこと数分。最寄のコンビニについた。 と_____。 一瞬で目を奪われる。 どこの子だろう。この辺じゃ見かけないな。 「……滅茶苦茶可愛いな、オイ」 アイスコーナーには先客がおり、何やら物色しているようだった。すっと鼻筋の通った横顔が綺麗だ。僕は思わず見入ってしまった。 「……あっ」 少女が僕の目線に気づいたのか、申し訳なさそうにこちらを見てくる。 「いや、すみません。大丈夫です」 あまりに澄んだ瞳に気押されてしまい、僕は早口で捲し立てながら扉を開け、適当なアイスを掴んだ。伏し目がちにしていたから、好きな味かも最早わからない。…スイカ味か。何だこれ。珍しい。 「……それ、好きなの?」 「えっ? あ……はい」 上ずった声で返事をした自分を心底全身全霊でディスりながら、僕は言った。何なんだこの美少女は。天使かよ。 「私もスイカ味好きなんだ!」  けらけら、と明るく笑う彼女。陳腐な言い方だが、花が咲いたような笑顔とはこのことだ。暑さではなく、ぼーっと見入っている僕を横目に、彼女は無邪気に言葉を続ける。 「せっかくだから、一緒に食べない?」  外で初対面の美少女とアイスを食べる。そんな構図にすっかり舞い上がってしまい、さっきから緊張のあまり無言を貫いている僕に彼女はさらに驚愕の発言をする。 「私、今日からあなたの彼女だから!」  彼女のこの言葉で、僕の夏が始まる気がした。
2018年7月20日~niconicoで開催している「ニコニコ的恋愛シミュレーション ときめきサマーストーリー」の美都との思い出を記しています。



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