今、都民の皆様にとって原発とエネルギーは最も大きな関心事の1つです。

 原発の推進と廃止の議論は、不安を抱えながら安い原子力発電を使うか、高くて環境には悪いが比較的に安全な火力発電を使うかという対立で終始しています。

 自然エネルギーの論議も盛んです。太陽電池によるソーラー発電、風力発電、植物を使うバイオ燃料、地熱発電と多くの選択肢に対して、それぞれの立場での主張が繰り返され、それぞれに費用が投じられてきました。

 このような議論とそれに基づく開発は、1970年代のオイルショックの時や、1990年代の地球温暖化の問題が浮上した時にも議論されてきました。その結果、効率の良いもの、簡単なもの、使い易いものに選択肢を絞ることが出来るようになりました。つまり、選択と集中によって、革新的技術が開発され、最も安価になるということにつながり、爆発的な普及へとつながっていくのです。

 太陽の光を最も効率よく、人間が最も使い易い電力に変え、しかも簡単に設置出来るのが太陽電池です。今、日本は太陽電池を次の主要なエネルギーとして選べる時に来ています。

 日本人の開発努力とグローバル企業の生産努力のおかげで、太陽電池パネルの価格は劇的に安くなりました。太陽電池の寿命は20年以上あります。これで起こせる電気量をお金に換算すると、キロワットアワー当り、わずか5円にまで下がっています。これに、交流を直流に変える装置を付けるだけで、発電が可能です。

 今、太陽電池の発電コストを押し上げているのは、むしろ小さな面積に小さい規模の太陽電池を設置するためのコストです。大事なことは、広い面積を確保し、一度に大量の電力を発電するためのシステムを作ることです。

 関東一円に広い土地を確保して、巨大ソーラーパワー発電施設(ギガソーラー)を造り、それを東京都が支援するという仕組みを作れば、原発や天然ガス発電で起こすより、はるかに安価な電力を供給することが可能となります。

 まずは、10年間でゴルフ場70個分の面積を確保して、東京のピーク時電力の30%を賄うことを目標とします。東京電力管内(関東一都六県+山梨県)には約700のゴルフ場が存在します。例えば、その1割の70個分の面積を太陽光発電施設に変えるだけで、東京のピーク時電力30%を生産することができるのです。ここまでやれば、設置費用もかなり安くなり、原発よりも太陽電池が得だという時代になります。ここで起こせる電力は、2ギガワットということになります。大工場やゴルフ場の跡地、遊休農地、手入れされていない人工林などが候補地です。利用されていない土地が富とエネルギーを生む土地に一変します。これによって、韓国の電力価格と同じ程度の電力料金になると予測できます。

 ここまで来たら、民間の力で太陽電池を主流の電源力とする流れを完全に作ることが出来るでしょう。

 これを実現するために、関東各県、市町村と連携していくのです。大量のパネルを製造し、土地を確保し、パネルを貼り、電力を作り、消費者に届けるという一連のシステムを作ります。

 関東の各県・市町村と連携・協力するのは、水源確保のためのダム建設に東京都が費用負担するのと同じ考え方です。

 東京都はこのような構想を企画し、制度の設計と運用法のモデル作りを行います。実行は既存電力会社、新電力会社など民間の企業や団体に任せます。そして、民間がこの事業を行うための信用保証を東京都が行います。


 東京都で使う電力の太陽光による発電を、関東各地との連携で行うという発想の転換で、太陽公光発電の大量普及を実現していきます。