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2020年1月29日(水)より、より快適な視聴環境を提供することを目的として、ニコニコ動画に「ラウドネスノーマライゼーション(自動音量調整)」機能を導入します。

この記事では、ラウドネスノーマライゼーションの導入に至る経緯と、技術的な詳細についてご説明します。

※ 「ラウドネスノーマライゼーション(自動音量調整)」のことを、以下「本機能」と記します。
※ 本機能についての概要は、こちらのニコニコインフォをご確認ください。


▼本機能導入の経緯

以前より、多くのユーザーのみなさまから
  • 「動画ごとに音量がバラバラで、連続して動画を視聴するときにいちいち音量を調整しなくてはならず面倒」
  • 「動画本編に対して動画広告の音量が大きすぎ、驚かされる」
といったご意見を頂戴しておりました。

それを受けて、より多くの方々に快適に動画をご視聴いただけるよう、
「動画」「動画広告」「いきなり!動画紹介」を対象に、大きすぎる音量感を一定の基準値に揃える機能を導入することにいたしました。

※ 会員種別に関わらず、すべてのユーザーに適用されます。
※ 「いきなり!動画紹介」は、2019年11月13日より提供を開始しているサービスです。詳細はこちらのニコニコインフォをご覧ください。



▼本仕様の詳細

2020年1月29日に、以下の仕様をPC版ニコニコ動画に導入します。
その後、Androidのスマートフォンブラウザ版ニコニコ動画や、iOS・Android版niconicoアプリにも同様の仕様が導入される予定です。

(1)動画の音量感(ラウドネス)を計測し、一定の基準値以上であった場合、動画全体の音量を引き下げて調節します。

動画全体の音量感(Integrated Loudness)が、基準となるラウドネス値を超えていた場合、音量感が基準となるラウドネス値と等しくなるように動画全体のボリュームを調整します。
動画全体の音量感が、基準となるラウドネス値以下だった場合、なにも調整を加えません。
この機能は、動画プレーヤーの設定より視聴者がOFFにすることもできます(プレミアム会員限定ではありません)。


(2)動画本編の音量感を超えないよう、「動画広告」「いきなり!動画紹介」の音量感を調節します。

「動画広告」は動画本編の音量感より少し静かな音になるように、「いきなり!動画紹介」は動画本編と同じくらいに聴こえるように、音量を調節します。
これは(1)と違い、基準となるラウドネス値より小さな音量感になることもあります。

※ 2021年6月30日追記: ラウドネスノーマライゼーション導入時は「動画広告」「いきなり!動画紹介」ともに動画本編の音量感より少し静かになるように調節していましたが、「いきなり!動画紹介」においては音量感を動画本編と揃えるほうが連続再生時に聴き疲れしにくいと考えられることから、2021年6月30日に上記仕様へ変更いたしました。


(3)PC版動画プレーヤーの音量バーのデフォルト値を、50%から100%に変更します。

(1)の導入に伴って、これまでより音が小さく聞こえることが想定されるため、動画プレーヤーの音量バーのデフォルト値を100%に変更します。
すでに音量バーをご自身で調整している場合は影響しません。



▼技術的な情報

ニコニコ動画では、以下を基準にラウドネスノーマライゼーションを実施します。

・基準となるラウドネス値: -15LKFS/LUFS (Integrated Loudness)
・ラウドネス計測方法: EBU R 128 / ITU-R BS.1770-3

・本機能は、大きすぎる音量感を一定の基準値に揃えるものです。動画全体の音量感が基準値以下の場合、なにもしません。
・本機能は、動画全体の音量感(Integrated Loudness)を参考に、音量調整のみを実施します。
・基準となるラウドネス値は、状況に応じて変更される可能性があります。


なお、ニコニコ動画では以下の音声フォーマットでの投稿を推奨しています。

・AAC-LC 48kHz 2ch 192kbps





▼FAQ

Q. ラウドネスとはなんですか?
A. ラウドネスとは、聴覚上の特性を考慮した「人間が感じる、聞こえる音の大きさ」のことです。
計測方法が国際規格で定められており、LKFSまたはLUFSという単位で表現されます。
1LKFS/LUFSが1デシベルに相当します。


Q. ラウドネスノーマライゼーションによって音質が下がるのではありませんか?
A. ニコニコにおけるラウドネスノーマライゼーションは、動画全体の音量を調整する処理のみを行います。
いわば、「視聴者の代わりにボリュームを自動調節している」だけです。
みなさんが投稿した音声波形に手を加えるわけではありません。


Q. 私の動画の音声は、意図的に静かな部分と激しい部分を含んでいます。勝手に変えて欲しくないのですが。
A. ニコニコにおけるラウドネスノーマライゼーションは、動画全体の音量を調整する処理のみを行います。
いわば、「再生前に一度だけ、視聴者の代わりにボリュームを自動調節する」だけです。
したがって、動画音声中の静かな部分と激しい部分の差は、投稿者の意図したとおりに表現されます。


Q. 私の動画の音声は、意図的にダイナミックレンジを狭めています。勝手に変えて欲しくないのですが。
A. ニコニコにおけるラウドネスノーマライゼーションは、動画全体の音量を調整する処理のみを行います。
したがって、EDMのようにあえてダイナミックレンジを狭く(クレストファクターを低く)している場合も、そのまま表現されます。


Q. 私の動画の音声は、意図的にクリッピング(音割れ)させています。勝手に整えて欲しくないのですが。
A. クリッピング(音割れ)の表現ができなくなる、ということもありません。ご安心ください。


Q. 今後は、基準となるラウドネス値以上・以下の音声を含む動画は投稿できなくなるのですか。
いいえ、これまで通りに変わらず投稿していただけます。


Q. 視聴者は、これまでより小さな音でしか視聴できなくなるのですか?
いいえ。動画プレーヤーの音量バーや再生機器のボリューム等を使って、これまで通りに好きな音量に調整することができます。
また、前述の通り、視聴者はこの機能を無効にすることもできます。


Q. 本機能は、「動画プレーヤーの音量バーの値が自動的に変更される」ということですか?
いいえ。本機能は、動画プレーヤーの音量バーとは別に、動画全体の音量を調整します。
また、前述の通り、視聴者はこの機能を無効にすることもできます。


Q. 音量が小さすぎると感じる動画が投稿されています。ラウドネスノーマライゼーションによって、そういった動画の音量を自動的に引き上げて欲しいのですが、なぜそうしないのですか?

動画全体のラウドネス値が基準値より小さい場合、動画全体の音量を基準値まで引き上げることも検討しました。しかし、以下の理由から、ニコニコ動画では当面、大きすぎる音量感を抑制する方向でのみ、ラウドネスノーマライゼーションを実施することにいたしました。
  • 一部の端末では、技術的に動画音量を100%以上にできない場合があること。
  • 「穏やかなシーンでの会話劇」のように、計測上のラウドネス値が低くてもそれが投稿者の意図であると考えられる場合もあること(※)
※ この判断を下すにあたり、民放連のT302運用ガイドラインも参考にさせていただきました。





▼謝辞

本記事を執筆するにあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。感謝申し上げます。