まだ小学生だった頃から、ずっとこだわり続けてきたテーマがある。「天皇」という存在についてだ。

僕が小学校1年のときに、大東亜戦争が始まった。教師をはじめ、大人たちは、「君たちも20歳になったら、天皇陛下のために戦って死ね」と僕たちに言った。そして僕自身も、「海軍に入って、天皇陛下のために死ぬ」ことが将来の夢であった。

ところが、小学5年のときに戦争が終わると、大人たちは態度をがらっと変えた。「今度の戦争は悪い戦争だった。アメリカ、イギリスが正しい、日本が間違えていたのだ」と言うようになった。そして、僕たちの教科書をどんどん墨で黒く塗り潰させた。

当然、昭和天皇もGHQに逮捕され、裁判にかけられると僕は考えていた。もちろん昭和天皇に反発を感じることはなかった。けれど、戦争に負けるということはそういうものだと思っていたからだ。だが、昭和天皇は裁判にかけられることはなかった。そして、天皇制は存続した。

この大きな疑念が、僕の根底にいつもあり続けていた。だから「朝まで生テレビ!」でも、何度か「天皇」をテーマに取り上げたりした。そして数年前から、この問題に、真っ向から挑むようになった。数えきれないほどの文献にあたり、多くの学者に話を聞いた。そして『日本人と天皇』として上梓した。