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  • 田原総一朗 『投票したい候補者・政党がないとき、こうやって「争点」を探せ!』

    2014-12-18 12:00
    330pt
    衆院選挙の投票日は14日だ。選挙戦が終盤に差しかかっても、盛り上がりの気配は、一向にない。このままだと投票率は、前回の59.3%どころか、50%を切るかもしれない。なぜか。はっきりいえば、争点がないのだ。

    安倍政権は、2015年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げを延期した。その消費税増税について、今回の選挙で「国民に信を問う」という。だが、そもそも消費税引き上げ延期に反対している政党などない。経済政策、つまりアベノミクスについても、野党はなんら対案を出すことができていないのだ。

    このような状況のなか、11月20日、自民党は在京テレビ局各社に要望書を出した。自民党筆頭副幹事長の萩生田光一さんと同党報道局長の福井照さんの連名で、次のような要望を出したのだ。今回の衆院選報道について、出演者の発言回数と時間は公平を期す、出演者の選定には公正中立を期す、特定政党出演者への意見が集中しな
  • 長谷川幸洋コラム【第71回】ハラハラなき総選挙のわずかな見どころは?

    2014-12-18 12:00
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    つまらない選挙!? 〔PHOTO〕gettyimages

    12月14日の総選挙・投開票日が近づいてきた。にもかかわらず、選挙ムードは一向に盛り上がってこない。
    最近、会食したベテラン編集者は「民主党の海江田万里代表や枝野幸男幹事長が落選するかどうか、無所属になった渡辺喜美元みんなの党代表はどうなるか、くらいですよね、興味があるのは」と言い放った。

    自民党が何と言おうと、数字が取れればテレビは扱う

    国民の関心も大方、そのあたりではないか。それが証拠に、いつもなら大々的に当落予想を載せる週刊誌も『週刊現代』12月20日号が「全295選挙区 これが最終『当落』予測だ 自民が圧勝、史上最多議席へ」という特集を組んではいるものの、トップ記事ではなく2番手の扱いだった。

    投開票日直前の当落予想が2番手扱い、というのは私が知る限り、前代未聞である。ちなみにトップ記事は「株価2万円に備えよ 全国民必読 株をやる人も、やらない人も」だった。総選挙より関心は株価なのだ。

    テレビ報道もめっきり少ない。朝日新聞は12月10日付け朝刊1面で総選挙に関するテレビ報道が激減している事情を報じたうえで、その理由について「自民党がテレビ各局に文書で『公平』な報道を求めたことで、放送に慎重になっている面もある」などと指摘している。

    だが、政党が選挙で公平な報道を求めるのは、べつに異例ではない。そんなことより、なんと言っても有権者の関心が低いのが一番の理由だろう。選挙報道で高い視聴率がとれるなら、自民党が何を言おうと、テレビはもちろん扱う。面白くないから報じないだけだ。
    番組が総選挙の話題を流し始めると、とたんに視聴率が下がる、という報道もあった。『週刊現代』が当落予想を2番手扱いにしたのも、トップにしたって雑誌は売れないからだ。話が面白くないから、トップにならない。それだけである。

    なぜ総選挙が面白くないか。答えが分かっているからだ。各紙は序盤戦から「自民、公明の与党で300議席超」などと一斉に伝えた。終盤戦を迎えても、共同通信や東京新聞が10日付けで、朝日新聞は11日付で同じく与党圧勝の見通しを報じている。

    国民を「えーっ!?」と思わせたのは最初の「与党が300議席超」までで、以後はハラハラ・ドキドキ感が失われてしまった。「戦う前から、すっかり興ざめ」という選挙はちょっと思い出せないくらいである。

    2009年総選挙は自民党から民主党への政権交代というドラマがあった。次の12年総選挙は逆に自民党への政権交代だった。第3極の躍進もあった。今回は政権交代どころか第3極もばらばらで、与党勝利で安倍晋三政権の継続という結果が確実である。

    ハラハラ・ドキドキ感は「何が起きるか分からない」「これから大転換が始まる」という期待感があって初めて生じる。それがなくて、政権続行と分かっているのだから、面白くなるわけがない。

    増税派なぎ倒し解散

    では、ドラマはまったくなかったかといえば、実はあった。マスコミがしっかり伝えないから、多くの国民の目に見えなかっただけだ。11月14日付けコラムや21日付けコラムで書いたように、安倍首相は増税を目指した財務省とその応援団の与野党議員、ポチ・マスコミを解散によってなぎ倒してしまった。

    だから、私は今回の解散を「増税派なぎ倒し解散」と名付けている(東京新聞12月1日付け「私説」)。もしも解散を言わずに増税先送りだけを言っていたら、最終的に政権が倒れていた可能性もあった。安倍首相が解散を宣言するかどうかが、天下分け目の勝負どころだったのだ。

    解散なしだったら、与野党とマスコミが一体となった増税派の大抵抗に遭って結局、安倍首相は先送り撤回=増税に追い込まれただろう。その結果、首相の求心力は低下、景気は崖から転落状態になって内閣支持率は急降下したに違いない。

    いまになっても、まだ「与野党そろって増税先送りに賛成なのだから、先送りで解散をする意味はなかった」などという解説が流れているが、まったく事実を歪めている。

    安倍首相が解散を宣言する前は、自民党内は増税派が勢いを増し、民主党も増税賛成、マスコミも東京新聞を除いて、みんな賛成論を唱えていたではないか。私に言わせれば「寝ぼけたことを言うな」という話である。首相が解散を宣言したから、増税派は飛び上がって驚いて「先送りやむなし」と方針転換したのだ。

    首相からみれば「解散宣言だけで最大の獲得目標だった増税先送りを確実にした」のだから「戦う前から完勝」である。その後のアベノミクスをめぐる選挙戦は、いわば碁や将棋でいう「感想戦」のようなものではないか。

    戦っているプロ同士から見れば「あそこで解散を打たれたら、もう野党が打ち返すタマはない」と分かってしまうのである。

    実際、私が10月22日に解散総選挙の見通しを初めてニッポン放送の番組で喋ったとき、放送直前にある野党党首に電話して「解散になるぞ」と話したら、その党首は「それは(自分たちにとって)最悪のシナリオだ」と言った。そのときから、事実上「勝負あった」状態だったのだ。 
  • 田原総一朗 日本史上最大の奇跡、『日本人と天皇』という謎に迫る

    2014-12-11 20:00
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    まだ小学生だった頃から、ずっとこだわり続けてきたテーマがある。「天皇」という存在についてだ。

    僕が小学校1年のときに、大東亜戦争が始まった。教師をはじめ、大人たちは、「君たちも20歳になったら、天皇陛下のために戦って死ね」と僕たちに言った。そして僕自身も、「海軍に入って、天皇陛下のために死ぬ」ことが将来の夢であった。

    ところが、小学5年のときに戦争が終わると、大人たちは態度をがらっと変えた。「今度の戦争は悪い戦争だった。アメリカ、イギリスが正しい、日本が間違えていたのだ」と言うようになった。そして、僕たちの教科書をどんどん墨で黒く塗り潰させた。

    当然、昭和天皇もGHQに逮捕され、裁判にかけられると僕は考えていた。もちろん昭和天皇に反発を感じることはなかった。けれど、戦争に負けるということはそういうものだと思っていたからだ。だが、昭和天皇は裁判にかけられることはなかった。そして、天皇制は存続した。

    この大きな疑念が、僕の根底にいつもあり続けていた。だから「朝まで生テレビ!」でも、何度か「天皇」をテーマに取り上げたりした。そして数年前から、この問題に、真っ向から挑むようになった。数えきれないほどの文献にあたり、多くの学者に話を聞いた。そして『日本人と天皇』として上梓した。