ビットコインの基盤となるブロックチェーンの派生技術を用いたプロジェクトが、世界最大級の銀行9行の共同により執り行われることが発表された。
プロジェクトに合意した銀行はバークレイズ、UBS、コモンウェルス、BBVA、ステート・ストリート、クレディ・スイス、JPモルガン、RBSだ。さらにゴールドマン・サックスも関与する。ブロックチェーンやその派生技術の業界標準規格を検討し、金融セクターへの新技術の採用を促進しネットワークを構築することが狙いだ。
パートナーシップを主導したのはR3CEV、金融サービスのイノベーションを支援するニューヨーク・ベースのスタートアップだ。R3CEVのCEOを務めるデビッド・ラター氏は声明において「今後、数週間以内に動き出す」と話した。
プレスリリースによれば、パートナーシップの締結にあたりグループはセキュリティ、信頼性、効率性、スケーラビリティ、可視性の5軸から分散型元帳技術を検討し、情報の相互共有を行いつつ金融機関のための共有プロトコルの研究、実験、設計、開発を行うとされている。RBSのディレクターを務めるケビン・ハンリー氏は次のように述べた。
「金融セクターにおいて、強固な共有元帳を保持することで得られる恩恵は計り知れず、R3を起点としたこのコラボレーションモデルは極めて大きな進歩だと言えましょう。[…]たった今、我々はゲーム・チェンジの瞬間を迎えようとしているのです。」
金融機関の間で共通のブロックチェーンを用いることで、企業は重要な情報を保護するファイアウォールの外側にリアルタイムで更新される元帳を配置することができる。元帳は一連のトランザクション履歴を時系列に記録したチェーンとなっており、外部からの攻撃によって書き換えられることのない強固な性質を持っているのだ。
「我々のプランは高速です。既存システムの目的に適合し、統合可能な技術を1〜2年の間に実証できると考えています。」ラター氏は自身のプランを語り、さらに「そして来年度中には、実際に稼働するいくつかの事例をつくる。それが我々のゴールとなります。」と述べた。
またパートナーシップの締結に伴い、R3CEVは同行らより数百万ドル規模の支援を得たことも発表した。グループの検討技術はブロックチェーンを使ったすべてのもの、スマートコントラクトやトークンの発行、決済、精算技術にまで及んでいる。しかしながらバークレイズのCTOを務めるブラッド・ノバック氏は、ブロックチェーンですべて解決できるとは考えておらず、現実にフィットした課題解決を講じるためのプロセスが重要であると語った。
「重要なのは価値観や信念、そしてフォーカスです。他の人々のすることは問題ではなく我々の展望を象ることが最重要であり、そして我々はそれを実現できると確信しています。」