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VAIO Zやスマホのこと VAIO株式会社の“今”と“これから”を赤羽副社長に直撃
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VAIO Zやスマホのこと VAIO株式会社の“今”と“これから”を赤羽副社長に直撃

2015-02-18 14:00
     VAIO株式会社が、初めて完全に新設計のシャシーを採用した『VAIO Z』および、『VAIO Z Canvas』を発表した。両製品共に、Windows PCとしては他に並ぶモノがないほどユニークな製品となっており、VAIOの名前に恥じない製品になっている。

     この記事では、そうしたVAIOの首脳陣のひとりである、VAIO株式会社 執行役員副社長 赤羽良介氏にVAIOの今、そしてこれからについてうかがってきたのでその模様をお伝えしていきたい。

    VAIO 赤羽副社長 ↑VAIO株式会社 執行役員副社長 赤羽良介氏。

    ──新しい会社になって苦労したことはなんですか?

    赤羽氏 非常に大変でした、0からすべてを始めることになったので、システムもプロセス作りも、走りながらやらないといけない状態でしたので。ただ、非常に勇気づけられたのは、会社が動き出して、また新しいことをやってくれそうだとか、こういう製品を作ってほしいとか様々なお声をちょうだいしたことです。小さい会社になっても楽しいことができるんじゃないかとポジティブに見ていただけているのではないかと感じています。

     実際、以前に比べて現場との距離は縮まっています。以前のような大きな会社であれば、デザインひとつを決めるのでも、デザインセンターがあって、本部側会議があって……と様々なレポートラインがあって決めるだけで時間がかかってしまうのです。しかし、新しい会社になってからはそれがあっという間に決まってしまう。

    VAIO ↑VAIO株式会社本社でもある安曇野工場。

    ──しかし小さくなったが故に、調達コストに関しては当然上がってしまいますが?

    赤羽氏 もちろんそれは想定していました。パートナーとの協業関係で、数を追って伸ばしてというのは非常に難しい。そこで、我々ができることはなんなのか、それがまさに“本質+α”と呼んでいるPCの存在価値はなんなのかというところを追求した製品に集中することにしたのです。そうして素晴らしい製品を作っていき、ブランドも維持向上していって……という好循環を作り出していくことが大事です。また、コストというのは部材のコストだけではありませんから、大きな会社にいたときは考えなかったような部分までコスト削減に取り組んでいます。

     しかし、そんな弊社に対しても、ありがたいことに多数の企業の方が注目していてくださって、一緒にやろうよと申し出ていただいたパートナーの方も非常に多い。要はカスタムにするところと、標準品を使うところ、そのメリハリをつけることが重要なのです。価値を生み出す部分にはカスタム品を惜しみなく使っていきます。

    VAIO 赤羽副社長 ↑VAIOの新製品発表会での一幕。VAIOとしての新しい取り組みとして、他社とのコラボレーション協業をピックアップする同社の関取高行社長。

    ──今回発売するVAIO Zはまさにそうした製品なのでしょうか?

    赤羽氏 今回の製品は、会社を始めるときに、VAIOを愛して下さっているお客様にご期待に応えたい、そこから始まっています。そうしたVAIOを愛するお客様の象徴がVAIO Zだというのはありましたので、そのVAIO Zに相応しい製品というのはこういう製品が必要だというところからスタートしています。もうご覧頂いた通り、それに相応しい製品に仕上がって、うれしく思っています。

     といっても、この製品もいきなりできた訳ではなくて、新会社が0からスタートしないといけないですから、いろいろな課題に直面しました。特に、製品を構成するある重要な部品の納入日程がずれ込んだりということもあったりして、計画を修正しないといけない状況なども発生しまして、円安も進みそちらの面でも調達コストが上がるなど様々な障害を乗り越えてここまでやってきました。

     今回の製品はVAIO社員が全員自信を持って出荷できる完成度だと自負しています。バッテリーのもちも改善されていますし、キーボードやタッチパッド、ペンに至るまであらゆるところに手を加えており、高い品質を実現できています。製品としては自信がありましたので、あとはどういう値段設定をするか、それを社内で議論してきましたが、お客様が購入して後悔するような製品ではないと思っています。

    VAIO Z ↑VAIO Z。

    ──5月に発売されるVAIO Z Canvasはいかがでしょうか?

    赤羽氏 VAIO Z Canvasというのは言ってみればこれまで世の中には存在していなかった製品です。ですが、去年プロトタイプとして公開して以来、たくさんのお客様から早く商品化してほしいというお声をいただきました。VAIOは、2012年にリリースしたVAIO Duo 11以来、そうしたクリエイター用途というのを意識した製品作りをしてきましたが、このVAIO Z Canvasでは、パフォーマンス、色の再現性、タブレットの使い勝手を実現しているので、クリエイターやフォトグラファーなど様々なユーザーの方に使っていただきたいです。

    VAIO Z Canvas ↑VAIO Z Canvas。

    ──今回も販売網はダイレクト販売のみということでよいのでしょうか? 日本の商習慣だと、量販店などで買えるようにしてほしいという声も小さくないとは思いますが?

    赤羽氏 私たちの想いとして、お客様とダイレクトにつながっていたいというのがありまして、ダイレクト販売を中心にスタートすることを選択しました。これにより、お客様の声はより直接に我々の元に届くようになっていますし、それはいいことだと考えています。ただ、さまざまなお客様の声があることは理解していますので、今後検討をしていかなければならないと思ってます。

     なお、今回のVAIO Zの発売に合わせて、周辺機器、たとえばACアダプターやそれに組み合わせて利用できるWiFiルーターなどを単品として販売することを開始します。これもお客様よりご要望をいただいていたことで、そのようひとつひとつ実現していきたいです。

    ──今月中には日本通信とコラボレーションしたVAIOブランドのスマホが販売される予定です。

    赤羽氏 ソニー時代から、日本通信様とは様々な協業を行なってきました。日本通信様も固有の技術を持っており、そこと我々が持っている技術を組み合わせることで新しいビジネスにつなげられるのではないかということで今回の協業に至ったのです。VAIO Pのときに両社が組んだことで、空気のようにインターネットにつながるPCということを実現しましたが、再び何か面白いことができるのではないかと思っています。

    VAIO 赤羽副社長 ↑今回の新製品発表会では新しいアナウンスはなかったが、日本通信とのコラボスマホも注目度の高いトピック。

    ──ソニー/VAIO時代には、春、夏、秋冬と年に3回の新製品を投入してきました。VAIO株式会社になってからはそうした製品サイクルではないのですよね?

    赤羽氏 新生VAIOではそうした製品サイクルは今のところ考えていません。商品をじっくりと開発し進化させ、十分長い間通用するような製品として出していきたい。

    ──今回はVAIO Z、VAIO Z Canvasが発表されましたが、『VAIO Pro』に関しても今後も継続されるのでしょうか?

    赤羽氏 VAIO Proに関しては、一般消費者のお客様だけでなく、法人のお客様にもご好評をいただいています。ビジネスユーザーが、薄くて軽くて格好良くて、それなりのコストでという製品を欲しがっておられると理解しているので、そうしたお客様が継続して使っていただける製品は引き続き継続して考えていきたいです。

    VAIO株式会社 ↑発売中の『VAIO Pro 11』

    ──今回発表されたVAIO Zも、一般消費者向けだけでなく、法人向けにも展開するという理解でよいのでしょうか?

    赤羽氏 基本、すべての製品は両方の市場に向けて展開していきます。ただ、軸足の置き方は製品によって違ってくると思います。法人のお客様でも、VAIOが重視している薄い、軽い、格好いいという価値を見いだしてくださるお客様がいらっしゃいますので、そうしたご要望にもしっかり応えていきたいです。

    ──昨年の発表会で、2015年度(筆者注:VAIOの会計年度は毎年6月からスタートする)に30〜35万台というかなり野心的な目標を掲げられました、それは今も変わっていないのでしょうか?

    赤羽氏 今も目標は変わっていません。簡単な目標ではないことは自覚していますが、それを実現するために、今様々な仕込みを行なっています。当初計画していた以上に、かなりアグレッシブな商品計画を行なっていますので、ぜひご期待ください。

    ──昨年の7月のスタート時点ではまずは日本市場に集中してというお話でしたが、今後海外展開もありなのでしょうか?

    赤羽氏 海外市場をやらないと宣言したつもりはありません。まずは選択と集中で、日本市場に集中する、これが現在です。しかし、いずれは海外展開も機会があればしていきたいと考えています。

    ──最後に週アスの読者に向けて一言お願いします

    赤羽氏 弊社も小さな会社となり再スタートを切りました、今は何をするのも新しいことの連続ですが、これからもそれを継続していきたい。ぜひとも、読者の皆さんにも何かにチャレンジしてほしいし、VAIOはそうしたチャレンジを支える製品を提供していきたい、そう思っています。

    VAIO 赤羽副社長 ↑赤羽副社長と本誌編集長の宮野。

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