インディーズ作品を中心に構成された映画祭Brooklyn Film Festivalは、2022年度の開催告知にあたり「Something to Offend Everyone(誰かが傷付く作品しか用意していません)」という広告を公開し、製作者が本気で伝えたいメッセージを取り揃えた結果、多様な価値観を受け入れられる観客に足を運んでほしいと訴えました。

 

同僚風の男女が演技感満載のやり取りを繰り広げる動画では、女性が「わたしがBrooklyn Film Festivalで観てきた作品について語ってもいい?」と問いかける場面からはじまります。「待って、Brooklyn Film Festivalって、製作者の伝えたいことをありのままの形で表現することを許可しているんだろう? それって、僕が傷付くかもしれない表現が含まれているかもしれないってことだろう?」と返す男性。その表情は露骨に不安げに映っており、表現者が自由にクリエイティビティを発揮した結果、自身の価値観と一致しないケースを想定して身構えていることが伺えます。

「安心して、わたしは誰も傷付かないように作品について語る方法を事前に勉強しているから」と説得を促す女性ですが、男性は依然として「いや、他人への伝え方を勉強しないといけないほどの作品を観てきたってことだろう? それを聞いただけで僕は傷付くんだけど……」とスタンスを崩す気配を見せず、動画は幕を下ろします。多くの映画はさまざまなスポンサーや製作委員会の意見を反映した結果、本来のメッセージからかけ離れた表現になってしまう問題を皮肉を込めて描いています。

同時に公開されたOOHでは「広い心が入場料です」と書かれたものや「もしあなたが傷付かなかったら返金いたします」「ぜひあなたが大切にしている価値観と真逆のことを描いた作品を観てください」など、表現者側が配慮するのではなく、観客側に受け入れる姿勢があることが望ましいということを訴求しています。

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