2023年6月にフランス・カンヌで開催された「Cannes Lions 2023」。健康や医療を中心とした社会課題の解決に貢献した作品に贈られる「Health」部門において、個々人の健康の向上を表現した作品を評価する「Health & Wellness Lions」、健康に関する社会課題の解決を図った作品を評価する「Lions Health Grand Prix for Good」、規制が厳しい医療・医薬品業界の中で卓越したクリエイティビティを発揮した作品を評価する「Pharma Lions」の3つの賞におけるグランプリをご紹介します。

Health & Wellness Lions

「The Last Performance」(Partners Life)

ニュージーランドの保険会社Partners Lifeが、生命保険に加入することの大切さを描いたタイアップ企画がグランプリを受賞しました。国民の87%は自動車保険に加入しているにもかかわらず、生命保険になるとその加入率は28%に減少してしまうニュージーランドは「生命保険嫌い」な国であるとも言えます。

そんな同国において生命保険の重要さを説くために、Partners Lifeは大人気クライムサスペンスドラマThe Brokenwood Mysteriesとコラボ。毎話必ず誰かが殺害されてしまうという番組の構成を逆手に取り、毎話のエンディングの直前にその回で命を落としてしまった人がが蘇り、自らの人生の後悔と生命保険に入っていればどう変わったかを語るというミニコーナーを放映しました。

人気エンタメコンテンツとコラボすることで、国民の45%にリーチし、サイト流入は135%も増加。Partners Lifeが提携しているファイナンシャルプランナーへの相談件数も75%増え、結果的としてそれまで生命保険に無関心だった国民を振り向かせることに成功しました。

Lions Health Grand Prix for Good

「Working with Cancer」(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)

Congratulations to the Winners of the United Nations and Lions Health Grand Prix for Good. Setting the benchmark in impactful creativity with ‘Working with Cancer’.

Explore all winning work, exclusively on The Work here: https://t.co/4UPYofq5K2#CannesLions70 | #CannesLions2023 pic.twitter.com/DT2z9PVAJB

— LIONS | The Home of Creativity (@Cannes_Lions) June 19, 2023

人類の1/2がいつかはなってしまうと言われている病気、がん。その患者の多くは治療と向き合うまでの間に雇用主から解雇されたり、降格や時短社員扱いにされてしまうといった不当な扱いを受けてしまいます。治療にお金がかかる病気なのにそのお金を稼ぐことが叶わず、日常生活のすべてを奪われてしまうという事象を撲滅すべく、ニューヨークに拠点を置くがん研究所Memorial Sloan Kettering Cancer Centerは世界的な企業に待遇是正を呼びかけるキャンペーンを公開しました。

結果的にアマゾンやグーグル、トヨタやユニリーバをはじめとした世界的企業が390社も賛同を表明し、それらの企業で働く1,300万人もの従業員たちの生活を守るという約束を実現しました。

Pharma Lions

「Scrolling Therapy」(Europharma)

Congratulations to Dentsu Creative in Buenos Aires, New York and Chicago | Grand Prix winners in the Pharma Lions for ‘Scrolling Therapy’.

Explore all winning and shortlisted work, exclusively on The Work here: https://t.co/2e1TYDvFrn#CannesLions70 | #CannesLions2023 pic.twitter.com/jJTq0tSfYE

— LIONS | The Home of Creativity (@Cannes_Lions) June 19, 2023

動作緩慢や筋固縮、ふるえなどさまざまな運動症状が生じるパーキンソン病の治療法として、1日に40分ほど顔中の筋肉を動かすことが有効であると言われています。40分という長い時間がかかるためか実際にこの運動を行なっている人は全患者の内わずか3%であるというデータもあり、残念ながらあまり浸透していません。そんな事態を解決するために、ブラジルの製薬会社Europharmaはパーキンソン病と戦う人専用のスマートフォンアプリを開発しました。

専用アプリで顔の凹凸を読み取り、背景で開いた状態でSNSを操作すると笑顔の表情は「いいね」の動作、驚いた表情は「下スクロール」、怒った表情は「スワイプ」になり、顔の筋肉の運動を行いながらSNSを楽しむことができる世界初の試みとなりました。10億インプレッションを獲得した施策は多くのメディアに取り上げられ、Europharmaのアピールを行いつつパーキンソン病の啓蒙も行うことに成功しています。

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