15年前の事件の被害者と加害者が、都会から離れた田舎で夫婦となってひっそりと暮らしている......。吉田修一さんの同名小説を原作とした、難しいテーマを扱った映画作品『さよなら渓谷』が公開されます。
この映画、見どころはこの「ありえない!」と思えるテーマをどれだけ説得力を持って伝えられるかというところにあると思います。それが、小説では文章であり、映画では脚本や演技であり。
かつての被害者である「かなこ」を演じるのは、真木よう子さん。表情を変えず、何かを悟っているように見えるシーンが多いのですが、ときどきふと彼女の中にスイッチが入る。とても難しい役だったと思います。
映画後半、夫婦になるまでの経緯を追った回想シーンがあるのですが、そこが山場。衝激的で不可解な2人の関係が、観ているうちにそういう夫婦もあるかもしれないなと思わされる。真木よう子さんと夫役の大西信満さんの力かなと思います。
監督は大森立嗣さん。『ゲルマニウムの夜』『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』など、これまでも衝劇的なテーマを扱った作品を手掛けています。で、大森南朋さんの兄でもあります。
この作品には南朋さんも重要な役で出ています。元スポーツ選手の冴えない雑誌記者。その部下の超デキる女子を鈴木杏さん、家庭で夫を責めまくる常にキレ気味の妻を鶴田真由さんが演じていますが、素晴らしいキャスティング! みなさん役柄にぴったりで驚きました。
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『さよなら渓谷』[公式サイト]監督:大森立嗣
出演:真木よう子、大西信満、鈴木杏、井浦新、新井浩文、鶴田真由、大森南朋
6月22日(土)より有楽町スバル座、新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー
(c) 2013「さよなら渓谷」製作委員会
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(文/ミヤモトヒロミ)