暑い夏の日は、お部屋でゆっくりミステリを読み耽ってはいかがでしょう。遊園地のお化け屋敷やジェットコースターにも劣らないスリルを感じられますよ。今回は涼しいお部屋の中でも夏気分を満喫できる、夏が舞台の珠玉ミステリを厳選しました。
■『ぼくが探偵だった夏』(内田康夫 著/講談社)
内田康夫著の『ぼくが探偵だった夏』。2時間ドラマなどでおなじみの名探偵、浅見光彦の小学生時代が描かれています。
浅見家では夏の恒例行事として軽井沢の別荘に滞在していました。失踪した女性がいることを聞きつけた小学5年生の光彦は、棺のような物を埋める怪しい人影を見かけ、友人たち3人とその謎を追います。
誰もが経験のある少年少女時代の夏が蘇り、懐かしくなること間違いナシ。浅見光彦最初の事件とも言える物語ですので、ドラマでファンになった方も必読ですよ。
■『カカオ80%の夏』(永井するみ 著/理論社)
続いては永井するみ著『カカオ80%の夏』。三浦凪はカカオ80%のチョコレートとミステリをこよなく愛する17歳。夏休みにクラスメートの雪絵が書き置きを残して失踪し、凪は1人調査に乗り出します。
女の子向けの物語かと思いきや、カッコいいハードボイルド風な展開が待ってます。こちらも少女時代を懐かしく思える作品です。多感な年代を爽やかに描いた作品に、女性なら誰でも共感を覚えるでしょう。ワクワクしながら甘酸っぱい気分に浸ってください。
■『姑獲鳥の夏』(京極夏彦 著/講談社)
最後は京極夏彦著『姑獲鳥の夏』。古書店「京極堂」の主でありながら陰陽師の中禅寺秋彦が、憑き物を落とすがごとく難解な事件を解決していく物語です。
雑司ヶ谷の産婦人科医院にまつわる奇怪な噂から物語は始まります。その噂とは「病院の娘が20ヶ月も身籠ったままで、その夫が密室から失踪した」というもの。小説家の関口巽を語り手に物語は不気味な様相を見せ、衝撃の結末を迎えます。
そのぶ厚さから「枕」「電話帳」などと評される京極氏の作品ですが、第1弾だけあって少々の初々しさを感じられ、そのまま一気に読破できます。
どれもページを捲る手が止まらない、夏が舞台のミステリ。普段あまりミステリを読まない方にも、上記の本はデビューにおすすめですよ。
(文/六島京)