2016年9月3日(土)TOHOシネマズ新宿にて『planetarian~星の人~初日舞台挨拶』が開催された。当日、会場には劇場版の公開を楽しみに待つファンが集まり、声優・小野大輔と監督・津田尚克の登壇を待ちわびている様子。本作は、株式会社ビジュアルアーツが所有するゲームブランドの1つ”Key”の作品として、2006年に発売された。10年の時を経て、現代の技術を生かしたアニメーションとして世に放たれる。初日の舞台挨拶で、小野と津田監督はいったいどのような心持ちだったのか徹底取材を敢行。
「自分とリンクする部分を登場人物から共感して、自分の中で照らし合わせてほしい」
舞台挨拶の中で小野が発言した言葉が印象に残る。主人公・屑屋を演じる小野大輔(以下 小野)は、ステージで作品から感じ取ったテーマを語った。本作は主人公の屑屋視点で描かれ、普段の生活の中で多くの人たちが感じる気持ちを鮮やかに表現している。大切な人と接したときに抱く感情など、誰しも理解できる出来事を作品から読み取ってほしいとコメントした。津田尚克監督(以下 津田監督)も「一所懸命に生きている人ほどグッとくるものがあります」と話し、自分たちの人生観や仕事に対するわだかまりなどの答えを導き出せるストーリーだと見どころを明かす。
10年前にリリースされた作品が、最新の技術を駆使して2016年に再リリース。『planetarian』という10年前に生み出された作品を、新たなプロジェクトとして動き出す。制作までの道のりと過程、この2つも何かリンクしているように感じた。小野と津田監督のコメントは作品に対する心境だったが、実は本作の再始動そのものが制作メンバーにとって大きな出来事だったと思う。アニメーション制作者、キャストをはじめとする多くの人たちによってなし得た結果。そして、見事ファンの元に届けることへ成功した。まさにplanetarianに携わるメンバーが一致団結して形作った集大成だと筆者は実感する。
舞台挨拶終了時に、小野と監督はそれぞれ「『planetarian~星の人~』を見たあとに残る気持ちを大切な人へ伝えてほしい」(小野)、「この場に来ていただき、本当にありがとうございます!」と述べた。イベントのスタートから2人とも朗らかな表情で姿を現し、自身の心の内を観客に届ける。時折り見せる達成感からは、劇場版の公開に対する想いとは違う心情があった。もしかしたら、作品を作り上げたことやファンの元へ贈る喜びだけでなく、長い年月を超えて再び『planetarian』に関わらせてくれた環境への感謝の想いがあったのかもしれない。その気持ちを映画館のスクリーンで上映できることへの嬉しさや見る人へのメッセージ。それをどう読み取り、どう他の人へ伝えていけばいいのか、見る人それぞれの感想を持ってみると、より作品の深みが増していくように思う。
※写真は筆者撮影より
(c)VisualArt’s/Key/planetarian project
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(執筆者: バラン野島) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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