続・社会の多様性についてみんなが間違えていること(メカAG)

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

■続・社会の多様性についてみんなが間違えていること(メカAG)
プログラミングの世界で「多様性」というのは、継承関係と不可分なんだよね。継承関係というのは性質を継承しているということ。「犬」や「猫」は「動物」という性質を継承している。動物が持っている性質は犬も猫も持っている。餌を食べるとか子供を産むとか。

だからぜんぜん違うカテゴリに属するものに対して「多様性」という言葉は使わない。たとえば「整数」と「犬」は似ても似つかぬ概念だから、この2つの間に多様性は存在しない。

「タンポポ」と「犬」はどうだろうか。植物と動物だから違うカテゴリだ。しかし「生物」という意味では同じカテゴリでもある。すなわち多様性というのは視点によって決まるということ。

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ハンバーガーショップというカテゴリに属するから、マクドナルドとモスバーガーが存在するのはハンバーガー業界の多様性だ。万が一一方が潰れても、もう一方が生き残れば業界全体は存続できる。

一方マクドナルドとJRは全然別な業種だから、もしハンバーガーショップがマクドナルドしかなければ、JRが健在でもマクドナルドが倒産してしまえば、日本のハンバーガー業界は壊滅してしまう。

しかし日本の産業としてみれば、ハンバーガー産業が壊滅しても鉄道産業があるから、日本の産業全体が壊滅することはない。その意味では多様なわけだ。

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漠然と「いろんなものがある=多様性」という大味な定義だと、なにを話してるのかわからなくなってしまうと思うんだよね。代替可能か否かが多様性。

世間から役立たず扱いされている人間が力を合わせてすごいことをやる、みたいなストーリーがよくある。「ブレーメンの音楽隊」なんかもそうだよね。年老いて役に立たなくなって見捨てられたロバや雄鶏がブレーメンを目指す。ところが途中でなんかしらないけど、力を合わせて泥棒をやっつける。

それぞれ得意分野(カテゴリ)が異なる人間を集めて、すごいことを達成するというのは、小気味いいストーリーだけど、それと生存競争における多様性は違うと思うんだよね。別にそういうことを否定してるわけではなく、分けて考えるべきだ、ということ。

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プログラミングでいえば、ブレーメンの音楽隊の方は、多様性(継承)というよりも、委譲(所有)に近いのではなかろうか。たとえば「犬」の場合手足や尻尾は犬のパーツなんだよね。それらの合成が犬。犬と尻尾は代替可能じゃない。ブレーメンの音楽隊も音楽隊がロバや雄鶏によって合成されているわけで。

まあ日本語としての「多様」という言葉はどちらに意味でも使われるから、どっちが正しいとか言うつもりはないけど、いま自分がどちらの意味で使っているかは意識的に区別しないと、思考の整理ができないと思う。

関連記事:

「社会の多様性についてみんなが間違えていること」 2014年09月02日 『ガジェット通信』

http://getnews.jp/archives/649396

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年08月31日時点のものです。

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