「ちょっとオサダさん、これ面白そうだから裸で全身スキャンされてきてよ」
「な…、何を言っているのかわからねー」と思うでしょうが、編集部に降りてきた“神の声”は確かにそう言っておりました。
皆さんは“ボディスキャナー”って聞いたことがありますか?ちなみに僕は初耳でした。
ボディスキャナーとは人間の全身を3D的に測定する装置。ボディスキャナーを使うと僕の体型を数値化してフィギュアを作ったりすることもできるし、オーダーメイドの服を作ったり、精密なダイエットのデータを取ることができちゃうそうなのです。
しかし、これまでの一般的なボディスキャナーは、測定するのに数十秒~10分ほど必要でした。もちろん、撮影されている間、撮られる人は動いてはいけません。カメラを多数設置した大掛かりな規模のものであれば、一瞬で撮れるものもあるようですが、それはもはや設備と呼ぶクラス。
ところが今、世界で最も高性能なクラスのボディスキャナーになると、その測定が0.5秒で完了してしまうというのです。10分が0.5秒ですよ。これって進歩の度合いで言ったら、江戸時代のカメラから一気にハイエンド1眼レフにワープとか、まあ、多分そういうことですよね。
「そう、そのスゴいボディスキャナーを試させてくれるそうだから、行ってきて」
まず、撮ってみよう
そんなわけで、銀座にある『スペースビジョン』社で、世界最高クラスの3Dボディースキャナー
『スクーブ G4』を試すことになりました。
「こちらへどうぞ」
10畳くらいの部屋でしょうか、身長測定器のようなものの中で、すでに全裸の女性がスタンバっていてギョッとする僕。よく見たらマネキンでした。びっくりした。
「今日はよろしくお願いします……ところで、裸にならないとダメですか?」おそるおそるスペースビジョンの人に聞くと「いえいえ(笑) 男性の方は、トランクスの上にボクサーパンツつけていただければ大丈夫ですので」と優しい返事。(よ、よかった……)
最初は髪の毛部分も覆うため、白い水泳帽をかぶりました。
「はい、それでは足のマークがあるところに立ってくださいね。」
緊張しながら、パンイチで三本の柱の真ん中に立つ僕。
「はい、手は真っ直ぐにして、ちょっと浮かせてください。手のひらは揃えてくださいね」
言われるがまま、体を固定する僕。
「3、2、1(パシャッ)……はい、終了ですー」
※通常は画面上の案内に従い、自分でスキャンボタンを押して自撮りできます
速い。さすがの0.5秒。ちなみにこの『スクーブ G4』は今回のバージョンで0.5秒の超高速撮影になったそうですが、初期型では2.0秒かかってたのだとか。2秒でも十分速いのですが、どうやら「人が立ったまま静止できるのは0.5秒まで」なので、精度を落とさずここまでスピードを稼いだようです。
「フェイススキャンも試してみますか?」
こちらは、近日発表予定で開発中の顔専用のスキャナーです。先の全身のスキャンと同様、一瞬で撮影が終わりました。そして待つこと数十秒……顔のテクスチャーまでバッチリ再現された僕の顔が、モニタに映っていました。これはすごい。
※写真は発表前の開発機のため、“目隠し”がされています
同行した、たけなぽ記者も微笑みながらパチリ。強烈な再現度です。
そうこうしているうちに、先ほどの全身スキャンのデータが出力されました。
ゲーム画面に入り込んでみた……うわあああ
ボディスキャナーによって撮影された“体形”データは、自動的に同社のサービスである『karada3D.com(ベータ版)』に保存されます。
僕のkarada3Dの画面を見てみると、親近感あふれるワイヤーフレームがたたずんでいます。……股下、短っ!!
「今回、特別にこんなこともしてみました。ボディスキャンで得られたデータは、こんな風に活用することもできます。」
バイオハザード風の画面に出てきたのは、まさしく僕。ゲーム風の画面に、僕の体形データを使ったキャラクターが動いています。キモい!すごい!
今回はたまたま合うボーンデータがあったので、こんなことも出来たそうです。ちなみに『Unity』というゲームエンジンに読み込んでいます。Unityに取り込む際の都合上、肌がちょっとテカっていますが、スキャンした際の元の質感はきちんとマットですのでご安心ください。
(※後述のスキャンサービスにUnityへの取り込みは含まれません)
「カラダのデータ」を得ることで未来が変わる
『スクーブ G4』は、先ほど述べたように0.5秒に短縮された3D撮影時間のおかげで、ブレもなく高い計測精度を保っています。
また、300ルクスほどの明るい場所での計測も可能となり、カラーテクスチャも高精彩。さらには、測定機材をスーツケース1つに入れて運べるほどのコンパクトさ。
廉価な全身スキャンや、高精度なボディスキャナーは他にも存在しています。しかし安いものは精度が低かったり、高精度なものは部屋に埋め込まれ数千万円の規模のものでした。そう考えると『スクーブ G4』は、これまでの3Dボディスキャナーの弱点を大きくカバーしていると言えそうです。
これは自社開発された独自のスキャナ部分という計測デバイスの優位性に加え、専用にチューンされたソフトウェアがあってこそ。実はスペースビジョン社のように、日本で10年以上にわたって3Dボディスキャナの開発を継続的にやっているところは、本当に少ないのです。
『karada3D.com(ベータ版)』に登録されたデータは、APIを通してやり取りすることができるので、たとえば、オーダーメイドシャツのサイトに最新の採寸データを送ったり、フィットネスクラブのサイトに登録して、ダイエット中の自分の体形を時系列で確認することも可能になります。
あるいは、「もし自分がこんな体形だったら?」みたいなこともできちゃいます。ダイエット成功後のイメージ体形をチェックすることもできますし、プリクラのように理想的なイメージに加工することもできるというわけです。僕ならまず、股下伸ばしますけどね!
自分が主人公のゲームはもちろん作れるでしょうし、これらにVR技術が加われば友人たちと好きな姿でリアルに会っているかのような空間も実現可能です。
銀座のスペースビジョン社オフィスでは、有料3D測定サービス(※)の体験が可能ですので、興味のある方は事前予約してみてはいかがでしょうか。
※2016年8月中は無料で試せます。
http://ja.spacevision.tokyo/karada3d/ [リンク]
これまで、ボディスキャンのデータは医者のカルテ同様、計測されたまま外に出ることがありませんでした。住所や口座番号のように“カラダの基礎データ”を各個人が持てるようになれば、ヘルスやアパレル、エンタメなど多くの分野で実現できることが増えそうですね。
自分の正確な3Dデータを計測してみた結果、「自分の寸法を知っている」という予想外の“安心感”を得られました。もっと活用できるような環境は、そう遠くなさそうです。僕はまず、このデータを使って、憧れのオーダーメイドのシャツを作ってみようと思いますよ。
karada3d.com BETA
https://karada3d.com/株式会社スペースビジョン
http://ja.spacevision.tokyo/ [リンク]