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  • 【ガジェ通発のクール・ジャパン・プロジェクト!?】須崎祐次のコスプレイシリーズ最新作は「でんぱ組.inc」とコラボ!

    2013-07-08 17:192
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    「sweet joshi」「bon bon lolita」「COSPLAY made in Japan」と写真集の3連続ヒットを飛ばした作家の須崎祐次。2012年夏リリースの「COSPLAY made in Japan」は、ガジェ通でも取り上げ、瞬く間にアマゾンの写真集ランキングで1位を獲得しました。有隣堂ヨドバシAKIBA店や代官山蔦屋書店でのイベント開催、海外オタクメディアでの取材を経て、今年7月からはアメリカ、ヨーロッパの書店でも発売される等、従来とは一線を画した日本の最先端コスプレイアートを世界に浸透させつつあります。


    そして新作写真集第4弾、『DEMPA MODELS X 100 COSPLAY』が8月8日に発売することが決定しました。今回は、音楽ユニット「でんぱ組.inc」を被写体とし、衣装界の老舗“クリアストーン”とタッグを組んで100体のcosplayに挑戦。6人6様のキャラクターを生かし、ファッション写真のおしゃれ感を出しつつも、少しエッチでかわいくCuteな総写真ページ176Pの豪華版に仕上がっています。まだどこのメディアにも出ていない本作の中身を、チラッとお見せしちゃいます!


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    「でんぱ組.inc」は、古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音からなる6人組ユニットで、「秋葉原ディアステージ」に所属しているメンバー全員が、アニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクであることも魅力。最近は、東京コレクションへの参加、ミキオサカベをはじめとする日本のトップ・クリエイターとのコラボレーションや、海外での活動も活発に展開しています。

    2013年第一弾のシングル『W.W.D / 冬へと走りだすお!』は、オリコン10位。5月29日リリースの最新シングル『でんでんぱっしょん』は、6位を獲得しています。TOYʼS FACTORY×もふくちゃんの新レーベルMEME TOKYO所属の今、もっとも熱いJapanユニットと評しても過言ではありません。

    さらに先日、仏パリで開催の『Japan Expo 2013』で、初主演映画『白魔女学園』の9月21日劇場公開と全世界同時動画配信が発表され、ネットでも話題沸騰中のでんぱ組.inc。

    このタイミングでの写真集発売、ということで、なにやら「巨大なクール・ジャパン・パワー」が発動しているのか?と訝る読者もいるかもしれませんが、実はこの写真集企画の発端は「ガジェット通信」なのです。



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    衣装界の老舗“クリアストーン”は、パーティーコスチュームに特化したブランド展開で日本のコスチュームカルチャーを引率してきたリーディングカンパニー。これまでも小倉優子さんやスザンヌさんといった旬なタレントを起用したプロモーションや、三越や表参道ヒルズにコンセプトショップをオープンする等、日本のコスプレカルチャーのメジャー感創出をしてきました。


    そしてこのクリアストーンの「中の人」が、ガジェ通の「COSPLAY made in Japan」記事を一読、写真集を購入したことで、でんぱ組.incとのコラボブランド「トキメキグラフィティ」のディレクションをTeam COSPLAYに依頼するに至ったとのこと。当初計画にはなかった写真集もみんなの力で「出しちゃいましょう!」ということで急遽書籍化が決定しました。


    それぞれの個性を活かしつつ、須崎祐次ならではのエロスがスパイスになったキュートなでんぱ組.incメンバーたち。可愛い衣装やポップなデザインの本作は、男性だけでなく、女性でも楽しめる作品になっています。


    でんぱ組.incを巻き込んだ、まさかの「ガジェ通」発のクール・ジャパンなコスプレ・プロジェクト。今後は、国内に留まらず海外展開も密かに計画中!? まずはこの写真集をチェック!


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    写真集タイトル: DEMPA MODELS X 100 COSPLAY
    発売日: 2013年8月8日
    著者: 須崎祐次
    価格:2800円(税込)
    発行:クリアストーン

    モデル:でんぱ組.inc




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  • 「ノンフィクション界の巨人」佐野眞一氏の「パクリ疑惑」に迫る(第1回)

    2012-10-22 02:503
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    橋下徹大阪市長の人となりを描く、ノンフィクション作家佐野眞一氏の大型連載「ハシシタ」が差別表現により第一回目にして打ち切りとなった。


    「人権問題」「編集権問題」など、様々な「権利の問題」が交錯する中で、クローズアップされるのが佐野眞一氏の「剽窃癖」の問題だ。


    ガジェット通信特別取材班は、佐野眞一氏の過去から現在までの作品を渉猟し、検証していくことにした。


    連載第一回目は、猪瀬直樹東京都副都知事がツイッターで指摘した27年前の剽窃事件だ――。


    【特別取材班より:この連載のすべてのリンクと画像をご覧になりたい方は、ガジェット通信サーバー上の記事をご覧ください。】


    ■「テキヤの口上」「人間のクズ」と悪口雑言のオンパレード

    佐野眞一氏といえば、大宅壮一ノンフィクション賞(97年『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』)や講談社ノンフィクション賞(2009年『甘粕正彦 乱心の曠野』)を受賞した「ノンフィクション界の巨人」として知られる。今年初頭に発刊した『あんぽん 孫正義伝』 (小学館)は、ベストセラーとしておおいに話題になった。1947年生まれの佐野氏は現在65歳。ノンフィクション作家として、まさに円熟のときを迎えている。


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    その佐野氏が「週刊朝日」(10月16日発売/2012年10月26日号)に執筆した新連載「ハシシタ 奴の本性」が大問題になっている。「新党の結成宣言というより、テキヤの口上」「田舎芝居じみた登場の仕方」「香具師(やし)まがいの身振り」「その場の人気取りだけが目的の動物的衝動」「一夜漬けのにわか勉強で身に着けた床屋政談なみの空虚な政治的戯言」など、大阪市の橋下(はしもと)徹市長をボロクソに非難。日本維新の会の面々については「国会議員というより、場末のホストと言った方が似合いそうな男たち」「人間のクズ」とまで言い切った。


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    さらに橋下市長が被差別部落出身であるとして地名をはっきり記し(「週刊文春」や「週刊新潮」は、これまでの報道でさすがに地名までは伏せてきた)、父親の自殺や親族に刑法犯がいる事実を晒している。被差別部落出身であることに加え、犯罪者がいる家系が現在の橋下徹というパーソナリティを作った、と言わんばかりだ。

    「週刊朝日」の表紙には「橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」と大書されている。本文はDNAのらせん構造を思わせるいびつなデザインだ。


    ■「週刊朝日」VS橋下徹市長のバトルが勃発

    この記事が発表されるや否や、橋下市長は猛反発。自身のツイッター(アカウントは@t_ishin)を使い、10月18日以降猛烈な勢いで反撃を始めた。


    【橋下市長によるTwitter発言過去ログ】

    http://twilog.org/t_ishin/asc


    【10月18日の橋下市長会見録(zakzak)】

    http://goo.gl/nKXxl
    http://goo.gl/SmnEK
    http://goo.gl/EJu26


    橋下市長は「週刊朝日」のみならず、系列の朝日新聞や朝日放送までも取材拒否すると表明(その後撤回)。「週刊朝日」VS橋下市長のバトルは、ほぼすべてのメディアでトップニュース扱いになった。


    こうなることを想定して「週刊朝日」が全面戦争に打って出るのかと思いきや、編集部は連載1回目にして「ハシシタ」の打ち切りを決定。執筆者の佐野氏は10月19日に「遺憾の意」を表明している(以下を参照)。


    『橋下市長「これでノーサイド」…週刊朝日おわび』 読売新聞 2012年10月20日

    http://goo.gl/i0Zm7


    こうした動きを踏まえ、10月23日発売の「週刊朝日」がどのような報道をするのか注目が集まる。


    ■東京都・猪瀬直樹副知事が暴露した驚愕の事実

    今回の騒動に関連し、佐野氏にまつわる驚愕の事実が次々と指摘されている。10月19日午前1時35分、東京都の猪瀬直樹副知事がツイッター*1 で驚くべき指摘をした。


    《1985年11月号月刊『現代』「池田大作『野望の軌跡』」(佐野眞一)は1981年三一書房刊『池田大作ドキュメントー堕ちた庶民の神』(溝口淳著)【※註/正確には「溝口敦」】からの盗用が10数箇所もあり、翌月『現代』12月号に「お詫びと訂正」があります。このときから品性に疑問をもち付き合いをやめました。》


    *1 : 猪瀬直樹副知事ツイッター
    http://goo.gl/pmYRx


    猪瀬副知事はさらに、これ以外にもいくつもの前科があることを明かしている(本連載の第2回以降で順次検証しよう)。

    いったい佐野氏は、過去にどのような盗用や剽窃を繰り返してきたのだろう。佐野眞一氏は「ノンフィクション界の巨人」なのか。はたまた「ノンフィクション界の虚人」だったのか。猪瀬副知事が指摘した書物を取り寄せ、短期集中連載を通じてファクト(事実)を積み上げていきたい。


    まずは月刊「現代」(85年12月号)「編集室だより」に掲載されたお詫び文を全文ご紹介しよう。



    《■本誌十一月号「池田大作『野望の軌跡』」(筆者佐野真一)の記事中、出所を明記せずに、溝口敦氏の著書『堕ちた庶民の神』から引用した個所がありました。同氏にご迷惑をおかけしたことをお詫び致します。(T)》

    「T」というのは編集人の田代忠之氏を指すと思われる。このお詫び文を読むだけでは、いったい佐野氏が溝口氏の著書のどこから何を無断引用したのか皆目わからない。

    そこで「現代」(85年11月号)に掲載された佐野氏のレポート(『池田大作『野望の軌跡』/合計32ページに及ぶ)ならびに溝口敦著『池田大作ドキュメント 堕ちた庶民の神』(三一書房、81年6月刊行)を付き合わせながら検証してみた。


    以下、「現代」と『堕ちた庶民の神』はそれぞれ「佐野レポート」「溝口本」と略する。

    なお、佐野氏は1947年生まれの65歳だから、「現代」に問題の原稿を書いたのは38歳ということになる。


     それでは、佐野レポートにまつわる6件の疑惑を検証していこう。


    ■疑惑その1


    《四月二十八日、大石寺で宗旨建立七百年記念慶祝大法会が挙行された。その前日から戸田は創価学会員約四千名を引きつれ、大石寺に乗りこんでいた。(略)「狸祭り」といわれる暴力事件を敢行した。

     狸とは日蓮正宗の老僧・小笠原慈聞をさした。

     小笠原は戦時中、日蓮正宗の身延への合同を策し、神本仏迹論(神が本体で仏はその影)を唱えていた。戸田は創価教育学会弾圧の発端は彼が作ったとし、その責任を問う形で彼をデモンストレーションの犠牲に供した。》(溝口本110ページ)



    《昭和二十七年四月、立宗七百年を記念する大石寺への登山において、創価学会は「狸祭り」事件という暴力事件を起こす。狸とは、日蓮正宗の老僧・小笠原慈聞のアダ名で、小笠原は戦時中、日蓮正宗の身延派への合同を策し、神本仏迹論(神が本体で仏はその影の意)を唱えていた。戸田は、戦時下における創価学会弾圧の発端は彼が作ったものとして、その責任を問う形で、小笠原を下着姿にしてかつぎあげ、牧口常三郎の墓前でリンチを加えた。》(佐野レポート127ページ)

    一見してすぐわかるとおり、両者の記述はあまりにもソックリすぎる。


    ■■疑惑その2


    《水滸会の教材には『水滸伝』『モンテ・クリスト伯』『永遠の都』『三国志』『太閤記』『レ・ミゼラブル』等が使われた。これらはいずれも、不信と自信喪失の現代小説より前期の、血わき肉踊る情熱と行動の書といった点で共通しており、たしかに新興宗教幹部という一種の社会運動家を育成する教材としてはふさわしいものであった。》(溝口本122ページ)


    《池田は若き日の愛読書として、『三国志』『水滸伝』『レ・ミゼラブル』『モンテ・クリスト伯』などをあげているが、これらはいずれも正義と悪という単純な図式と、血わき肉躍る物語という点で共通しており、たしかに庶民をオルガナイズする新興宗教組織の幹部が身につける素養としてはふさわしいものだったかも知れない。》(佐野レポート118ページ)

    表現を変えてはいるものの、この記述も剽窃(=他人の文章を盗み取り、自分のものとして発表すること)と見られても不思議はない。


    ■■疑惑その3


    《かつて池田は日本最大最強の組織である創価学会のうえに君臨して「天皇にかわる時の最高権力者」と自らを規定し、あるいは池田組閣を夢見、また華々しい海外著名人との「民間外交」によって、ノーベル平和賞の受賞を真剣に望んだ人物である。》(溝口本8ページ)


    《かつてこの人物は“池田内閣”構想に真剣な思いをめぐらせ、さらには、おびただしい数の海外著名人との“民間外交”活動によって、いまなおノーベル平和賞受賞を夢想する人物である。》(佐野レポート113ページ)

    ■■疑惑その4


    戸田にインタビューした大宅壮一は彼の印象を「如才がなく、ぬけめのなさそうなところは、小さな印刷屋や製本屋のオヤジ、でなければ、地方の小学校校長か役場の収入役といった感じである。……そういえば金貸しにもむきそうな面がまえである」(『婦人公論』32年10月号)と記した。》(溝口本88〜89ページ)


    戸田をインタビューした故大宅壮一はその印象を、「如才がなく、抜け目のなさそうなところは、小さな印刷屋や製本屋のオヤジ、でなければ、地方の小学校長か役場の収入役といった感じである。そういえば金貸しにも向きそうな面がまえである」と記した。》(佐野レポート122ページ)

    溝口本には「婦人公論」からの引用を示すクレジットが入っているが、なぜか佐野レポートには引用元の明示がない。また、書物からの引用であるにもかかわらず、佐野レポートでは表記に変更が加えられているのも不思議だ。


    ■■疑惑その5


    前青年部員の要職占拠により、古参幹部は後退し、古参幹部に繰り入れられた石田も後退した。石田は聖教新聞編集部長の職を秋谷に追われ、実権のない主幹にタナ上げされた。また彼の妻・栄子は青年部参謀から本部婦人部常任委員に移され、彼の母・つかも婦人部長を柏原ヤスに譲り、婦人部最高顧問に祭りあげられねばならなかった。》(溝口本163ページ)


    《理事に就任した池田は、主要ポストに青年部出身者を配したが、この青年部の要職占拠で古参幹部は後退し、古参幹部に繰り入れられた石田も後退した。石田が聖教新聞編集部長の座から実権のない主幹にタナあげされたばかりか、妻・栄子も青年部参謀から本部婦人部常任委員に移された。また石田の母・つかも婦人部長を柏原ヤスに譲り、婦人部最高顧問に祭りあげられた。》(佐野レポート134〜135ページ)

    いかがであろうか。これを「盗作」と言わずして何と表現したらいいのだろう。


    インターネット全盛時代であれば、ネット上に転がっているテキストをパソコンの画面にペタリと貼りつけ、労力をかけずに盗用や剽窃ができてしまう。佐野氏が「現代」にレポートを執筆した85年当時は、パソコンなど一般家庭には普及していなかった。ワープロさえほとんど普及していない時代だから、おそらく彼は手書きでこの原稿を書いていたのだろう。


    デジタル機器を使ったコピー&ペーストができない時代に、他人が書いた書物を片手に手書きで一文字一文字原稿を複製していく――。

    溝口氏の書物から丹念に活字を写し取る佐野氏の姿を想像すると、もはやこれは「魔がさした」というレベルを通り越して「病的」と思えてならない。


    極めつけは、次に紹介する6番目の疑惑である。


    ■■疑惑その6


    《同年五月から池田は『冒険少年』の編集を手がけはじめ、原稿とりに野村胡堂や西条八十、挿絵画家などの家を訪ね、また時に山本紳一郎というペンネームで穴埋め記事を書いたという。》(溝口本83ページ)


    《池田はここで、大八車を引く「小僧」時代を経たのち「冒険少年」編集部に配属された。時に山本紳一郎というペンネームで穴埋め記事を書いたというから(略)》(佐野レポート121〜122ページ)

    《時に山本紳一郎というペンネームで穴埋め記事を書いた》という記述が一文一句同じだ。
    ここでガジェット通信特別取材班は「山本紳一郎」という固有名詞に着目した。
    溝口本にある「山本紳一郎」というペンネームは明らかな誤植であり、正しくは「山本伸一郎」だ。ペンネームについて、「SOKAnet」(創価学会の公式サイト)*2 を参照してみよう。

    *2 : SOKAnet
    http://www.sokanet.jp/kaiin/kofushi/12.html



    《小説『人間革命』に登場する「山本伸一」は、池田名誉会長のペンネームです。

    1949(昭和24)年1月、戸田第二代会長が経営する出版社に入社した若き日の名誉会長は、少年雑誌の編集を任され、「山本伸一郎」のペンネームで、ベートーベンの伝記などを執筆しました。戸田会長は「山に一本の大樹が、一直線に天に向かって伸びてゆく」と、このペンネームを評し、若き弟子の奮闘を温かく見守ったのです。》




    佐野氏が自ら一次資料に当たって調べていれば、正しく「山本伸一郎」と書いたはずだ。おそらく佐野氏は溝口本を参照しながら原稿を書き、「山本紳一郎」という間違ったペンネームに何の疑問ももたなかったのだろう。


    「タネ本」に誤植があったおかげで、はからずも佐野氏による盗用の事実が浮き彫りになった格好だ。


    以上、合計6件の盗用・剽窃疑惑を指摘してみた。


    上記で紹介した以外にも、溝口本と佐野レポートには聖教新聞をはじめとする引用文献の一致があまりにも目立つ。これはあくまで推測だが、佐野氏は一次資料の原典に自ら当たらず、溝口本を片手に資料を孫引きしながら原稿を書いたのかもしれない。


    その一端が「山本紳一郎」という固有名詞の誤植の共通点にあらわれている(固有名詞であるにもかかわらず、誤植を見事にスルーしてしまった月刊「現代」編集部の責任も大きい)。


    佐野氏は「週刊ポスト」(2012年1月1・6日号からスタート)で「化城の人 池田大作と創価学会の80年」という大型連載を執筆中だ(第1部が終了し、現在は連載休止中)。


    「現代」での悪質な前科があるテーマをズバリ扱った連載だけに、「化城の人」にも盗用・剽窃があるのではないかと疑いたくもなる。


    「週刊朝日」の「ハシシタ」が大問題とされるなか、佐野氏の取材手法や盗用・剽窃癖を検証することなく「週刊ポスト」は「化城の人」の連載(第2部)を再開して良いのだろうか。


    ことによると「週刊ポスト」編集部の面々は、月刊「現代」(85年11月号)で繰り広げられた悪質な盗用・剽窃の事実を知らないのかもしれない。


    「化城の人」が月刊「現代」と同じ轍を踏めば「週刊ポスト」の看板は地に堕ち、取り返しがつかないことになるだろう。


    (2012年10月21日脱稿/連載第2回へ続く)


    ●情報提供をお待ちしています
    追記:「現代」の佐野眞一氏レポートには、今回指摘した以外にも溝口敦氏の著作からの盗用・剽窃があるかもしれません。「これも盗用ではないか」と気づかれた読者がいれば、メールで blomagch@gmail.com まで情報をお寄せください。また、佐野氏の盗用・剽窃疑惑についての新情報提供も歓迎します。(ガジェット通信特別取材班)

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  • 週刊朝日は謝罪すべきではなかったし、連載を続けるべきだった

    2012-10-22 02:4920
    週刊朝日は謝罪すべきではなかったし、連載を続けるべきだった

    今回は橘玲さんのブログ『Stairway to Heaven』からご寄稿いただきました。


    ■週刊朝日は謝罪すべきではなかったし、連載を続けるべきだった
    出版の世界の片隅にいる者として、ノンフィクション作家・佐野眞一氏が『週刊朝日』に書いた「ハシシタ 奴の本性」と、その後の出版社の対応について思うことを述べておきたい。

    いまから20年ちかく前のことだが、私はその頃小さな出版社に勤めていて、屠場労組の主催する糾弾の場に出たことがある。当時の糾弾というのは、十数社の新聞社・出版社の幹部や編集責任者が一堂に集められ、100人あまりの組合員の前で差別表現を謝罪するというものだった。


    典型的な差別表現は「士農工商」「屠殺」「屠所に引かれる羊のように」で、こうした言葉を注釈なしに使った出版社は「差別に対する意識が足りない」として謝罪を迫られた。このとき会場を埋め尽くした組合員から、「お前は踏まれた者の痛みを知っているのか!」などと怒号を浴びるのが“糾弾”の由来だ(もっともこうした糾弾は70年代がもっとも激しく、私が参加したときはかなり形骸化していた)。


    これらがなぜが差別表現になるのか理解できないひともいるだろうからすこし説明しておきたい。その時の屠場労組の説明は、次のようなものだった。

    士農工商:江戸時代の身分制は“穢多非人”という被差別階層を前提に成立していたのだから、歴史学の研究ならともかく、現代の階級社会の比喩として使うべきではない。

    屠殺:“屠る”というのは人間の生命のために動物の生命を犠牲にする聖なる行為で、「屠殺」のように、そこに“殺す”という否定的な単語を組み合わせるのは生き物を屠る聖なる職業に対する差別意識の現われだ。

    屠所に引かれる羊のように:イザヤ書に出てくる言葉だというが、誰でも羊がかわいそうで屠人は残酷だと思うにちがいないのだから、差別的な歴史表現を安易に比喩として使ってはならない(こうして「ドナドナ」は歌えなくなった)。


    こうした主張はその後、「言葉狩り」として批判されるようになるが、ここではそれについては論評しない。


    糾弾という「儀式」の特徴は、出版社(と書き手)が無意識のうちに差別表現を使用して、それを指摘されて謝罪することだ。これはフロイト的な理屈でもあって、「無意識の差別意識を糾弾によって意識化することで、社会の矛盾や自らの差別意識とはじめて向き合うことができる」とされていた。


    ところがメディア側は、このことを「うっかり差別表現を使うとヒドい目にあう」と学習し、「差別だと指摘されたら即座に謝罪し、絶版・回収する」のが常識になった。これが、メディア側の自主規制だ(これについては以前書いた)*1。


    *1:「Back to the 80’s いまでもときどき思い出すこと(6)」2011年5月23日『Stairway to Heaven』
    http://www.tachibana-akira.com/2011/05/2416


    私はこうした対応には批判的だが、謝罪するのも、絶版・回収するのも著者と出版社の自由ではある。だがこれは、著者も出版社もそれが差別表現だとは知らなかった、ということが前提になってはじめて成立する話だ。知らずに書いてしまって、指摘によって今はそれが間違っていたとわかったからこそ謝罪するのだ。


    ところが佐野眞一氏の「ハシシタ 奴の本性」は、こうした過去の差別問題とはまったくちがう。それは佐野氏が、絶対的な確信のもとに書いているからだ。


    佐野氏は、「一番問題にしなければならないのは、敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性である。そのためには、橋下徹の両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べあげなければならない」と書く。


    もちろん佐野氏は、この記事によってどのような事態が起きるかも正確に予想していた。


     オレの身元調査までするのか。橋下はそう言って、自分に刃向かう者と見るや生来の攻撃的な本性をむき出しにするかもしれない。そして、いつもの通りツイッターで口汚い言葉を連発しながら、聞き分けのない幼児のようにわめき散らすかもしれない。


     だが、平成の坂本龍馬を気取って“維新八策”なるマニュフェストを掲げ、この国の将来の舵取りをしようとする男に、それくらい調べられる覚悟がなければ、そもそも総理を目指そうとすること自体笑止千万である。


     それがイヤなら、とっとと元のタレント弁護士に戻ることである。


    当然のことながら、『週刊朝日』編集部もこうした認識は共有していたはずだ。


    『週刊朝日』編集部は、表紙に橋下市長の顔写真を大きく掲載し、大々的に新聞広告まで打って、佐野氏の記事を世に問うた。そして予想していたとおり、橋下市長から激しい反発と批判を浴びた。だったらなぜ、ここで謝罪して連載を中止するのか?


    私たちはごくふつうに、初対面のひとに向かって、「ご出身はどちらですか?」とか、「お父さんはなにをされていたんですか?」と聞く。出身や血筋が本人の性格や人生に大きく影響すると、当然のように考えているからだ。


    「ハシシタ 奴の本性」を読めばわかるように、佐野氏は、「血(ルーツ)」こそがひとの生き様を支配する、という人間観を持っている。佐野氏の作品が多くの読者を獲得したのは、こうした人間観が広く受け入れられているからでもある。「原発とプロ野球の父」正力松太郎の実像に迫った『巨怪伝』にしても、ダイエーの創業者・中内功の栄光と挫折を描いた『カリスマ』にしても、佐野氏の視点は常に一貫している。違うのは、対象との距離だけだ(『カリスマ』が傑作たりえたのは、佐野氏が中内功という人物に魅了されていたからだ)。


    私は「DNAを暴く」という考え方には与しないが、「日本国の首相の座を目指す公人は、父母や祖父母の代まで遡ってすべてのルーツを国民に開示すべきだ」というのが、ひとつの考え方(思想信条)であるとは思う。過去を隠していては首相になどなれない。実の父親がヤクザだったことや自殺したことなど、不幸なルーツを国民に率直に打ち明けたうえで、新しい日本のリーダーとして名乗りを上げるべきだ……。


    もちろん、父親が被差別部落出身者で、その「血」を引き継いでいるから「非寛容な人格」になった、などという主張が許されるはずはない。橋下氏が批判するように、連載第1回を読むかぎりでは、そのように取られかねない記述が随所にあることも事実だ。


    しかしその一方で、優性思想のような「血の呪い」がはっきりと述べられているわけでもない。橋下氏の実父の縁戚にあたる人物の証言はあるが、それがどのように「ハシシタの本性」につながっていくのかは、第1回を読んだだけではわからないのだ。


    私は一人の表現者の端くれとして、作品は完結してから評価されるべきものだと信じている。そしてこうした信念は、出版社(編集者)と共有されるべきだと思っている。


    今回の『週刊朝日』の対応で私がいちばん不満なのは、著者である佐野氏が事態をどのように考えているのか、あるいは、謝罪や連載の中止に同意しているのか、いっさいの説明がないことだ(報道によれば、佐野氏は「週刊朝日に『取材には応じないように』といわれている」らしい)。


    佐野眞一氏は、大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞を受賞し、日本のノンフィクション界の頂点に立つ。ジャーナリストとしての経歴を考えれば、被差別部落の出自と個人批判を重ねればどのような事態が引き起こされるのか熟知していたことは間違いない。その佐野氏が、激しい批判を覚悟のうえで、「確信犯」として、自らの名声を賭けてこの連載を始めた。『週刊朝日』編集部は、佐野氏とその覚悟を分かち合っていたのではなかったのか?


    誤解のないようにいっておくが、私は佐野氏の「橋下批判」には同意しない。しかしそれでも、次のことだけはいっておきたい。


    佐野氏とともに批判に耐える覚悟がないのなら、『週刊朝日』編集部はそもそもこの連載を始めるべきではなかった。


    覚悟を決めて記事を掲載したのなら、中途半端な謝罪などせず、批判に耐えて、連載を最後まで続けるべきだ。そして連載が終わり、「作品」として完結したときに、そこから生じるすべての責任を引き受けるべきだ。


    責任を引き受ける気も、著者を守る覚悟もないのなら、出版などやるべきではない。出版と表現の自由というのはそういうことだと、私は思っている。


    執筆: この記事は橘玲さんのブログ『Stairway to Heaven』からご寄稿いただきました。

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