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『逃げるは恥だが役に立つ』海野つなみ先生インタビュー 「結婚だけでなく、いろいろなつながりを描きたい」[オタ女]
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『逃げるは恥だが役に立つ』海野つなみ先生インタビュー 「結婚だけでなく、いろいろなつながりを描きたい」[オタ女]

2016-11-29 14:30
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    2012年から『Kiss』(講談社)で連載されている海野つなみ先生の『逃げるは恥だが役に立つ』。派遣切りに遭った森山みくりが父の元部下・津崎平匡の家事代行サービスをするうちに「就職としての結婚」を持ち出すというストーリーですが、バリバリのキャリアウーマンながら高齢処女というみくりの伯母の土屋百合や、平匡の同僚で結婚に関心がないイケメン風見といった脇役のキャラが立っていることもあり、毎回目の離せない展開となっています。
    そんな『逃げ恥』ですが、2016年秋にTBSでドラマ化。みくりを新垣結衣さん、平匡を星野源さんが演じて、キュートな“恋ダンス”などが話題となって好評なのは周知の通り。

    今回、『オタ女』では海野先生にメールでインタビュー。各キャラクターやストーリーについて、ドラマの感想、さらには今後の展開までお聞きしました。

    「契約結婚で描いた場合、男女の諸問題がクリアになるのではないか」

    --海野先生はこれまでの作品でも「女子」の置かれた社会的な状況に敏感に描いていらっしゃるように思います。「世間」や「社会」に置かれた女子を描く意味を教えて下さい。

    海野つなみ先生(以下、海野):SFでも歴史物でも現代物でも、主人公の生きている世界の描写は必要不可欠です。なので、大人の現代物を描く場合、そこは切り離せないと思っています。

    --『逃げるは恥だが役に立つ』は、就職できなかったみくりが「契約結婚」を選択するというストーリーですが、どこから着想を得たのでしょうか。

    海野:契約結婚自体は、少女漫画で昔からある定番のテーマです。でも、よくある玉の輿ものとかではなく、普通の男女をビジネスとしての契約結婚で描いた場合、普通の男女の諸問題が、いろいろクリアになるのではないかと思いました。

    --『逃げ恥』では「結婚」や「恋愛」のあり方についてさまざまな形が提示されますが、その多様性が登場人物やストーリーにどのような影響を与えようとしているのか、お考えをお聞かせ下さい。

    海野:あまり断言をしないように、と気をつけています。人によって、立場によって、状況によって正解というのは異なるもの。それを認めて許容するのが、多様性なのではないかと思っています。

    --沼田のようなゲイも登場します。これはLGBTを意識していらっしゃるのでしょうか。

    海野:特に意識して入れたわけではないのですが、漫画やドラマでよくある「オネエで良きアドバイザー」みたいな定番キャラにならないようになるべく普通の人として描こうと思いました。実際にゲイの方を紹介していただいて、いろいろお話を伺いました。

    --百合は「高齢処女」ですが、そのような設定にした理由を教えて下さい。

    海野:男女の、誰とも付き合ったことのない割合の高さにびっくりして、もう恥ずかしいことではなく普通のことなんだと思いました。それを、普通のこととして、かつ抱える悩みをきちんと描きたいと思いました。

    --結婚にメリットを感じない風見が百合に心動かされますが、彼にはなぜ心境の変化があったのでしょうか。

    海野:これはネタバレになってしまうのですが、風見さんは百合ちゃんと結婚をしたいと思ってはいません。結婚だけが答えではなく、いろいろな形のつながりを描きたいと思っています。

    --みくりが元カレに「小賢しい」とフラれるエピソードが重要なように思います。

    海野:みくりちゃんは賢い女の子ですが、そういう人って「小賢しい」と思われがちじゃないかと思って。そして、それが一番本人的に堪えるのではないかと思いました。

    --みくりの妄想シーンは微笑ましいですが、どのようなところから着想を得ているのでしょうか。

    海野:自分が普段からしょうもない妄想をしているので……(笑)。

    --平匡が人間関係に淡白な性格なのは、「草食系男子」を意識していらっしゃったのでしょうか?

    海野:草食系であり、こじらせている感じでしょうか。「こういう人、男女を問わず結構いるよな」、と思いながら描きました。

    --ドラマ化されました率直な感想と、ドラマの見どころはどこにあると考えていらっしゃいますか。

    海野:本当に原作を大事にしてくださっていて、感動しています。見どころはやはり、ムズキュンじゃないですかね。こんなに登場人物みんなが可愛いって、すごいと思います。

    --ドラマとマンガでは、ストーリーやテーマに相違は?

    海野:基本は同じ流れだと思います。脚本の野木(亜紀子)さんが「多様性を描きたい」と最初におっしゃっていたので「任せて大丈夫」と頼もしく思いました。

    --今後の『逃げ恥』の展開について「先のことはわかりません」とおっしゃっています。それは登場人物の心の動きをリアルにするためもあるのでしょうか。

    海野:さすがに『逃げ恥』だともう先は見えているのですが、いつも、大きな枠だけを決めて、最初からあまり細かく煮詰めすぎないようにしています。穴がたくさん開いていた方があとからいろんなものを詰め込めるし、その作業が楽しくて、描く原動力にもなるので。

    --みくりと平匡が婚姻届を出して夫婦になったならば一区切りになるようにも思えますが、読者を裏切るようなストーリーや、アナザーストーリーの構想があるのでしょうか。

    海野:どうかお楽しみに!(って、何も考えていません~)

    逃げるは恥だが役に立つ 海野つなみ(講談社コミックプラス)
    http://kisscomic.com/kc/nigehaji/index.html [リンク]

    RSSブログ情報:http://getnews.jp/archives/1561877
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