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1月21日(土)に日本公開を迎える映画『沈黙-サイレンス-』。『タクシードライバー』『ディパーテッド』のアカデミー賞監督マーティン・スコセッシが、「戦後日本文学の最高峰」とも称される遠藤周作の小説『沈黙』(新潮文庫刊)を映画化した話題作だ。

物語で重要な鍵を握るキチジロー役を演じた窪塚洋介が、ハリウッドへの挑戦と驚き、そして自身が見据える今後について語った。

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窪塚:「“オーディションがあるけど来るか?”って誘われて、マーティン・スコセッシの映画に出られるかもしれないなら絶対に参加しますよね。恥ずかしながら、遠藤周作さんの小説は存じ上げなかったのですが、その時に原作を読みました。どうやって映画化するのか想像できない作品だったので楽しみに向かいました」

実はこれが“1度目の”オーディションの話。その時はスコセッシ監督に会う間もなく不合格を言い渡されたという。

窪塚:「控室だと通されたら、そこがオーディション会場で。ガムを噛んでたらソッコーで落とされました。キャスティング・ディレクターが、“マーティンはお前みたいなヤツ大っ嫌いだから!”って。慌てていたので上手いこと英語で言い訳できず、焦って日本人のスタッフの顔を見たら、みんな目を逸らしてて……」

改めてオーディションに呼ばれたのは、それから2年後のことだ。

窪塚:「まだ探してるのかと思いました(笑)。その時に、マーティンが“想像していたキチジロー像とは違う、もっとキチジローを演じられるヤツが現れた”みたいなことを言ってくれたんです」

『沈黙-サイレンス-』は、スコセッシ監督が原作と出会った1988年に映画化を希望し、28年かけてようやく完成した待望のプロジェクトだ。17世紀江戸初期、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるべく、日本にたどり着いた宣教師の目を通して映る世界が描かれる。彼らを長崎へと導くガイド役を務めるのがキチジローだ。

窪塚:「いろんな原因があって制作が延期になっていたみたいですけど、究極を言えばキチジロー役が見つからなかったのも大きな理由のひとつらしいです」「(完成した映像は)目にしたどのシーンも僕が今までに携わってきた日本のソレとは違うな、と。たった1秒でもパッと映った時に持つ画のチカラを感じました。ある牢屋のシーンではまるで教会に見えるような光の演出をしていて、特に照明の表現が凄く美しいと思いました」

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アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライヴァーに加え、日本からは浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシなど、豪華な俳優陣が集結した本作。映画『GO』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を史上最年少で受賞し、その後も数々の作品に出演してきた窪塚だが、今回の撮影現場は日本でまったく経験したことがなかったものだと語る。

窪塚:「撮影当初はトレーラーハウスが3台あって、マーティン、アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライヴァーの3人がそれぞれ利用していました。何日か経ったら1台増えていて、“KUBOZUKA”と書いてある。マーティンが僕専用のトレーラーハウスを用意してくれたんです。でも、他の先輩俳優たちは使ってないんですよ。気まずいですよね(笑)。本当に実力主義で、日に日に待遇が変わっていきました。ホテルでも、“今日からラウンジ使い放題だから”って。日本は事務所などの政治力が必要ですけど、実力を評価してくれる現場だと感じました

スコセッシ監督については、現場で醸し出す空気や貫録に加え、そのキャパシティの広さに驚かされたそうだ。

窪塚:「モキチ役の塚本晋也さんとのやり取りが印象深いです。台本では“讃美歌が聴こえたそうだ―”というナレーションが入る場面で、塚本さんは“讃美歌を歌いたい”と申し出たんです。当時歌われていた讃美歌を調べてきて、その場で4つほど歌ってみせて、マーティンは“ほうほう”と聞いている。それで、いざ現場に入ってみると、完璧にそのシーン(塚本案)を撮れるセッティングがしてあるわけです。ただ年を取って頑固なワンマンのタイプとは違い、役者の意見を受け入れることができる懐の深い監督です

次回作として、第2次世界大戦中の出来事を描いた『Rita Hayworth With a Hand Grenade(原題)』でエリザベス・バンクスの相手役を演じることが決定している窪塚だが、「この作品をキッカケにハリウッドへの扉が開いたとは思っていません」と、浮かれた様子は微塵もない。

窪塚:「(ハリウッド映画の)2本目のオファーが来たのはたまたまであって、例えば、“土曜日の夜にマディソン・スクエア・ガーデンの前で生粋のニューヨーカーが彼女と待ち合わせしているシーンを撮ります”なんて言われたら恐怖ですよね。日本で育って日本語でインタビューを受けているのと同じ感覚で英語も使えるようになって勝負したい。フリをするのではなく、その人物を生きるのが役者だから。まだその準備が整っていないのが正直なところです」

「あとは、日本でも役者をやっていたいとは思います。ただ、向こうに行った人間にちょっと冷たいお国柄だったりするから、どうなるか分からないですけどね。まぁ、ブレずにマイウェイを歩いていけたら、それでイイかなと思います」「(俳優は)一回きりの人生の中で、いろんな人生を体感できる。それが作品として残って、その中で生き続けてくれる。欲張りな僕にはピッタリの仕事だと思います」

映画『沈黙−サイレンス−』日本語版予告編(YouTube)
https://youtu.be/01gVn4SJtCc

映画『沈黙-サイレンス-』公式サイト:
http://chinmoku.jp/

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