永井豪先生

10月18日、東京・新宿バルト9にて『009 RE:CYBORG』完成披露試写会が行われた。『009 RE:CYBORG』は石ノ森章太郎氏原作の漫画『サイボーグ009』を現代版にリメイクしたもの。石ノ森氏の死去によって未完の作品となっている本作だが、完成披露試写会には漫画家・イラストレーター約150人、アニメ関係者約100人を含む約700人が来場した。

●『サイボーグ009』が神山健治監督の手によって3Dで現代に蘇る!
神山健治監督
『009 RE:CYBORG』完成披露試写会では、本作品の監督である『東のエデン』や『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズなどの代表作を持つ神山健治監督による舞台挨拶と、1979年放送のアニメ版『サイボーグ009』の主題歌を担当した成田賢さんによる『誰がために』ライブが行われた。

神山監督は「次回作として『サイボーグ009』を発表したときは非常に意外だという意見が多かったのですが、石ノ森先生の作品は僕らの世代には骨の髄までヒーロー像みたいなのが染み込んでいます。混沌としていて、一人ひとりの正義が声高に叫ばれる時代において石ノ森先生の描いてきたテーマが今の人達にはシンプルに届くのではないかと思い、この原作をお借りすることになりました」とコメント。震災によって石ノ森先生の故郷である石巻市も被害を受け“石ノ森萬画館”も被害を受けた。その中で、この作品を作り続けることができるのか? という思いもあったが、脚本を変えることなく作り続けることができたのは、全人類共通の正義とは何かをずっと問い続けてくれた石ノ森先生の想いを引き継いでいるという自負があったからだという。

神山健治監督

この作品はすべてフル3Dで制作されている。日本人好みである漫画を源流とした“セルアニメーション”を3Dでどのように再現したのか? という質問に対し神山監督は「基本的にはセル(平面)に見えるが、空間の中にセルのキャラクターが存在しているようにするにはどうすればいいのかということを考えました。石ノ森先生の絵そのものを3D空間に存在させるには難しかったのですが、3D空間に石ノ森先生のキャラクターが新たに蘇って存在できるようにするというのが命題でした」と語り、従来のアニメーションのようでありながらも3Dで表現するということを課題としていたようであった。また、2Dのセルアニメーションのようでありながらあたかもつかめるような、でもフィギュアとも違う感覚を味わえるのではないかとも語っており、鑑賞した感じではまさに上映中に手を伸ばそうとしてしまうような立体感を味わうことができた。

●熱唱! 成田賢『誰がために』2012ver
成田賢ライブ
成田賢さんは「33年前に歌わせていただいて、いまだに愛されている歌で非常に光栄に思っております。33年ぶりに録音をやりなおして、あと33年間この復活版を歌い続けていこうと思います。そうするとちょうど100歳になるので、そこで再復活というのはかっこいいかな(笑)」とコメント。『誰がために』2012verのライブでは会場一体となって手拍子に包まれながらの熱唱であった。

●有名漫画家・イラストレーター多数来場! キャイ~ン天野さんも来たよ!
キャイ~ン天野
『009 RE:CYBORG』完成披露試写会には、漫画家・イラストレーター約150人、アニメ関係者約100人を含む約700人が来場し、会場となった映画館の2スクリーンを使用するまでに至った。中には富野由悠季氏、細田守氏、宮崎吾朗氏、永井豪氏、樋口真嗣氏や、石ノ森章太郎氏の過ごしたトキワ荘で暮らした仲間である鈴木伸一氏、水野英子氏の姿もあった。

永井豪009

永井豪氏は「3Dということで奥行きがすごく深くてよかったと思う。加速装置の表現にスピード感があってよかった」とコメントし、自身の描いた島村ジョーのイラストも紹介していだたいた。キャイ~ン天野氏は「神山さんの描く映像と川井さんの音楽で否応なしに興奮させられまして、アトラクションに乗っているような浮揚感がありました。スピード感というか疾走感があっていまもフワフワしてる感じです」と大満足のコメントであった。富野氏は「原作の印象があるから絶対に60点はあげられない。あと、あの黄色いマフラー邪魔だろって(笑)。そういうのがリアルに見えて、映像がリアルだから出てくる問題もあると感じた」と、クリエーターならではの辛口コメントも飛び出した。

『009 RE:CYBORG』は10月27日(土)より、全国の劇場にて公開。本作は全編フル3Dにて制作されている映画なので、3D上映にて鑑賞することでより世界観を楽しむことができる。原作を読み込んだ世代から、最新の3Dアニメファンまで幅広い層が楽しめる映画となっている。

009 RE:CYBORG 公式サイト

http://009.ph9.jp/

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